去勢抵抗性前立腺がん、タラゾパリブ+エンザルタミドがOS改善(TALAPRO-2)/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2025/07/24

 

 転移のある去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)患者において、タラゾパリブ+エンザルタミドの併用療法はエンザルタミド単独療法と比較して、全生存期間(OS)を有意に改善し、この併用療法が標準的な1次治療の選択肢として支持されることが示された。米国・ユタ大学のNeeraj Agarwal氏らが第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験「TALAPRO-2試験」の最終解析結果を報告した。本試験の主要解析では、相同組換え修復(HRR)遺伝子変異の有無を問わないmCRPC患者において、タラゾパリブ+エンザルタミド併用療法が、画像上の無増悪生存期間(rPFS)を有意に改善したことが示されていた。OSは、同解析時点ではデータが未成熟であった。本稿では、事前に規定されたOSの最終解析結果、rPFSの最新の記述的分析結果およびHRR遺伝子変異未選択コホートにおける安全性が報告された。Lancet誌オンライン版2025年7月16日号掲載の報告。

タラゾパリブ+エンザルタミドvs.エンザルタミド+プラセボ

 TALAPRO-2試験は、北米、欧州、イスラエル、南米、南アフリカ、アジア太平洋地域の26ヵ国にある200施設(病院、がんセンター、医療センター)で無作為化された遺伝子変異未選択コホートの患者を対象とした。

 18歳以上(日本は20歳以上)、無症候性または軽度症候性のmCRPCで、アンドロゲン除去療法を継続中かつCRPCに対する延命目的の全身療法歴のない患者を、mCRPCの1次治療として、タラゾパリブ0.5mg+エンザルタミド160mgまたはエンザルタミド+プラセボを1日1回経口投与する群に無作為に1対1で割り付けた。HRR遺伝子変異の状態(欠損vs.非欠損または不明)、去勢感受性に対する治療歴(ありvs.なし)で層別化した。

 試験の資金提供者、患者および試験担当医師は、タラゾパリブまたはプラセボ投与については盲検化され、エンザルタミド投与は盲検化されなかった。

 主要評価項目は、盲検下独立中央判定によるrPFSであり、重要な副次評価項目はOS(無作為化から全死因死亡までの期間)であった(OSの最終解析時点のα閾値は0.022[両側])。いずれもITT集団で評価した。

 OSの追跡調査は、計画された最終解析まで継続が予定されていた。安全性は、試験薬を少なくとも1回投与された患者を対象に評価された。

OS中央値、タラゾパリブ群45.8ヵ月、対照群37.0ヵ月

 2019年1月7日~2020年9月17日に、993例が適格性について評価を受け、そのうち188例(19%)が除外され、805例(81%)が無作為化された(タラゾパリブ+エンザルタミド群402例[タラゾパリブ群]、エンザルタミド+プラセボ群403例[対照群])。

 追跡期間中央値52.5ヵ月(四分位範囲:48.6~56.0)の時点で、OSはタラゾパリブ群が対照群と比べて有意に改善した(ハザード比[HR]:0.80、95%信頼区間[CI]:0.66~0.96、p=0.016)。OS中央値は、タラゾパリブ群45.8ヵ月(95%CI:39.4~50.8)、対照群37.0ヵ月(34.1~40.4)であった。

 OSは、HRR欠損患者(169例)ではタラゾパリブ群が対照群よりも改善が大きかったが(HR:0.55[95%CI:0.36~0.83]、p=0.0035)、HRR非欠損患者(636例)でその程度は低かった(HR:0.88[0.71~1.08]、p=0.22)。

 rPFSもタラゾパリブ群が優れており(HR:0.67[95%CI:0.55~0.81]、p<0.0001)、rPFS中央値はタラゾパリブ群33.1ヵ月、対照群19.5ヵ月であった。

 タラゾパリブの安全性プロファイルは既知のものと一貫しており、タラゾパリブ群で多くみられたGrade3以上の有害事象は、貧血(195例[49%]vs.18例[4%])、好中球減少症(77例[19%]vs.6例[1%])であった。

(ケアネット)