ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:1

精神疾患の疾病負担、その世界的現況:GBD 2023/Lancet

 「疾病、傷害、リスク要因に関する世界疾病負担(GBD)研究」2023年版では、375の疾病・傷害について調査が行われ、このうち12が精神疾患であった。オーストラリア・Queensland Centre for Mental Health ResearchのDamian F. Santomauro氏らMental Disorder Collaboratorsは、2023年の時点で、利用可能な医療資源の有無を問わず、すべての国・地域で精神疾患が大きな健康上の負担をもたらし、場合によっては、この負担は時間とともに増大し、人口集団間で不均等に分布していることを示した。研究の成果はLancet誌2026年5月23日号に掲載された。

介入効果を検討したコホート研究、約半数でアウトカム切り替え/BMJ

 介入の効果を検討したコホート研究のほぼ半数は根拠を示さずにアウトカムを変更し、そのほとんどが統計学的に有意な結果をもたらす方向への変更であることを、カナダ・Women’s College HospitalのZexing Song氏らが示した。治療介入に関する系統的レビューの3分の1以上には非無作為化研究(多くが観察コホート研究)が含まれ、その研究結果は無作為化比較試験の結果と統合されて実臨床の指針として活用される。コホート研究におけるアウトカムの切り替え(主要アウトカムが、事前に規定されたものと、結果の報告で異なること)はバイアスの要因となるが、その発生状況や特徴などは明らかでなかった。研究の成果は、BMJ誌2026年5月27日号で報告された。

侵襲的冠動脈造影を受ける患者、冠微小循環障害の予後への影響/Lancet

 虚血性心疾患が疑われ侵襲的冠動脈造影検査を受けた患者において、冠微小循環障害(CMD)は心外膜冠動脈疾患と併存しており、CMDを有する患者は全死因死亡、心筋梗塞、臨床的に必要と判断された再血行再建術、または心不全による入院の複合リスクが有意に高いことが示された。韓国・成均館大学校のJoo Myung Lee氏らが同国の3次医療機関7施設において実施した研究者主導の前向き多施設コホート研究「FLOW-CMDレジストリ」の結果を報告した。CMDは、心外膜冠動脈疾患と併存することが多いが、侵襲的冠動脈造影を受ける患者におけるCMDの有病率と予後に関するデータは乏しかった。Lancet誌オンライン版2026年5月21日号掲載の報告。

未就学児の急性喘鳴へのアジスロマイシン、症状改善せず/NEJM

 救急外来を受診した中等度~重度の急性喘鳴を呈する未就学児において、アジスロマイシンはプラセボと比較して喘鳴関連症状を改善しなかった。米国・アリゾナ大学のKurt R. Denninghoff氏らPECARN AZ-SWED Trial Study Groupが、米国のPediatric Emergency Care Applied Research Network(PECARN)に加盟している小児救急外来8施設で実施した無作為化プラセボ対照試験「Azithromycin Therapy in Preschoolers with a Severe Wheezing Episode Diagnosed at the Emergency Department trial:AZ-SWED試験」の結果を報告した。喘鳴を伴う疾患は未就学児の入院の主な原因であり、また、抗菌薬による治療がしばしば行われている。

開発中の塩基編集治療薬、単回投与でPCSK9およびLDL-Cを低下/NEJM

 LDLコレステロール(LDL-C)を管理する現行の治療モデルの限界を打ち破るために開発中のVERVE-102の第I相試験の結果が、米国・Verve Therapeutics(Eli Lillyの完全子会社)のScott B. Vafai氏らによって報告された。単回投与により、PCSK9およびLDL-C値が用量依存的に持続的かつ顕著に低下したことが示されたという。PCSK9機能喪失型変異を有する人は有さない人よりも、LDL-C値が低く、アテローム動脈硬化性心血管疾患を呈する人が少ないことが知られている。VERVE-102は、肝臓でのPCSK9産生を永続的に抑制するようデザインされた、体内で塩基編集を行う治療薬であり、アデニン塩基編集タンパク質をコードするメッセンジャーRNA(mRNA)と、PCSK9を標的とするガイドRNA(gRNA)から構成され、これらがN-アセチルガラクトサミンを含む脂質ナノ粒子(LNP)に封入されている。NEJM誌オンライン版2026年5月25日号掲載の報告。

未治療MCLへのイブルチニブを含む1次治療±ASCT、長期解析結果(TRIANGLE)/Lancet

 18~65歳の未治療マントル細胞リンパ腫(MCL)患者において、標準的な免疫化学療法へイブルチニブを追加した治療に、自家造血幹細胞移植(ASCT)を追加する意義を検討した「TRIANGLE試験」の長期追跡評価(55ヵ月)の結果が、ドイツ・LMU University HospitalのMartin Dreyling氏らEuropean Mantle Cell Lymphoma Networkによって報告された。イブルチニブ追加療法群は治療成功生存期間(Failure Free Survival:FFS)のみならず全生存期間(OS)の改善との関連も示された。一方で、イブルチニブ追加療法+ASCT群ではASCT追加のベネフィットは示されず、毒性の増加が認められた。

骨折・転倒予防、CaとビタミンDに効果認めず~メタ解析/BMJ

 これまでの系統的レビューでは、カルシウムおよびビタミンDは、単独では骨折の減少をもたらさず、これらを併用しても結果に一貫性はなく、転倒に対するビタミンDの効果にもばらつきがみられる。それにもかかわらず、ガイドラインなどは筋骨格系の健康維持にビタミンD(±カルシウム)の補充を推奨し、2000年代初頭以降、これらの処方量は大幅に増加しているという。カナダ・CIUSSS du Nord-de-l’Ile-de-MontrealのOlivier Masse氏らは、骨折および転倒の予防において、カルシウム、ビタミンD、またはこれらを併用した栄養補充製品の有益性はほとんど、あるいはまったく認められないことを示した。研究の成果は、BMJ誌2026年5月20日号で報告された。

IPFへの吸入トレプロスチニル、TETON-1試験とTETON-2試験の統合解析結果/NEJM

 特発性肺線維症(IPF)患者において、52週間の吸入トレプロスチニル投与はプラセボと比較し、努力肺活量(FVC)の低下および臨床的悪化のイベント発現を抑制したことが示された。米国・Inova Fairfax HospitalのSteven D. Nathan氏らが、「TETON-1試験」の結果と、先に発表されていた「TETON-2試験」の結果の統合解析結果を報告した。IPFは現在、3剤の治療薬が承認されているが、予後は依然として不良であり、さらなる効果的な治療法が必要とされていた。NEJM誌オンライン版2026年5月18日号掲載の報告。

血栓回収療法前のtenecteplase、機能的自立を改善せず/JAMA

 脳梗塞発症後4.5時間を超えても、血管内治療(EVT)を迅速に受けられる環境にある患者において、EVT前のtenecteplase静注による血栓溶解療法の役割は不明とされる。中国・首都医科大学のYunyun Xiong氏らTNK-PLUS Investigatorsは、「TNK-PLUS試験」において、発症後4.5~24時間以内にEVTを実施可能な施設に直接搬送された近位中大脳動脈(MCA)閉塞による急性期脳梗塞患者では、EVT単独と比較して、EVT前にtenecteplase静注を行っても、機能的自立の達成率は改善しないことを示した。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2026年5月8日号に掲載された。

頻回増悪を示すCOPD、astegolimabの有効性・安全性(ALIENTO・ARNASAより)/Lancet

 インターロイキン-33(IL-33)とその受容体ST2は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の増悪時に生じる好中球性および好酸球性の炎症に関与するとされる。イタリア・フェラーラ大学のAlberto Papi氏らALIENTO and ARNASA investigatorsは、2つの臨床試験「ALIENTO試験」「ARNASA試験」において、頻回の増悪歴を有するCOPD患者を対象に、2週ごとのastegolimab(ST2を介するIL-33の活性を阻害するヒト抗ST2 IgG2モノクローナル抗体)投与の有用性を評価し、ALIENTO試験ではプラセボと比較して年間増悪発生率が有意に低下し、ARNASA試験でも効果の大きさは同等であったが統計学的有意性は示されなかったことを報告した。Lancet誌2026年5月23日号掲載の報告。

過体重・高齢の持続性AFの減量、重症度スコア改善につながらず/JAMA

 過体重を呈する持続性心房細動(AF)の高齢患者では、低カロリー食と行動支援プログラムを併用した介入は、安全上の懸念なく有意かつ持続的な体重減少をもたらすが、AF症状の重症度・負担や心臓リモデリング、追加のリズムコントロール介入の必要性には影響を及ぼさないことを、英国・オックスフォード大学のMatteo Sclafani氏らが、「LOSE-AF試験」の結果で示した。過体重はAFの強力なリスク因子であり、欧米の診療ガイドラインでは、肥満とAFを併発するすべての患者に対して減量が推奨されている。

標的試験エミュレーション、無作為化比較試験との一致度は中程度/BMJ

 現在の標的試験エミュレーションは、対応する無作為化比較試験の再現に関して、一致度は中程度であることが、英国・キングス・カレッジ・ロンドンのCanlong Wang氏らによるシステマティックレビューおよびメタ解析の結果で示された。標的試験エミュレーションが、対象とした無作為化比較試験で観察された効果を、どの程度再現できるかは依然として不明であった。著者は、「ベースラインの特性やアウトカムのエミュレーションの質を向上し、複数の情報源を連結したデータベースを活用するなど、エミュレーションデザインを改善することで、一致度は高めることができる」と述べている。BMJ誌2026年5月19日号掲載の報告。

複雑性尿路感染症と腎盂腎炎、nacubactam併用で有効かつ安全な治療法は/Lancet

 グラム陰性菌による複雑性尿路感染症(cUTI)または急性単純性腎盂腎炎(AP)患者において、イミペネム/シラスタチンとの比較により、セフェピム/nacubactamおよびアズトレオナム/nacubactam併用投与の有効性および安全性が確認された。札幌医科大学の高橋 聡氏らが、「Integral-1試験」の結果を報告した。nacubactam(OP0595)は、新たに開発されたジアザビシクロオクタン系β-ラクタマーゼ阻害薬で、セフェピムまたはアズトレオナムとの併用投与により、カルバペネム耐性腸内細菌目細菌および第3世代セファロスポリン耐性腸内細菌目細菌(ESBL産生菌を含む)に対する強力な活性を示すことが確認されていた。Lancet誌2026年5月16日号掲載の報告。

HFmrEF/HFrEFの心血管死・心不全増悪、ジギタリスが有効/JAMA

 左室駆出率が軽度低下した心不全(HFmrEF)または左室駆出率の低下した心不全(HFrEF)患者において、ジギタリス配糖体による治療は心血管死または初回心不全増悪イベントの複合アウトカムのリスク低下と関連しており、これは主に心不全増悪イベントのリスク低下が寄与していることを、オランダ・フローニンゲン大学のKevin Damman氏らが3件の大規模臨床試験のメタ解析の結果で示した。著者は、「心不全の治療の程度やジギタリス配糖体の種類など

広範囲脳梗塞でも血栓回収療法は有効か?~6試験メタ解析/Lancet

 広範囲の虚血性変化を呈する脳卒中患者は、従来、血管内血栓回収療法の対象から除外されることが多い。米国・University Hospitals Cleveland Medical CenterのAmrou Sarraj氏らATLAS Investigatorsは系統的レビューとメタ解析による「ATLAS研究」において、発症後24時間以内に受診した広範囲の虚血コアを有する虚血性脳卒中患者では、薬物療法と比較して血管内血栓回収療法は機能的アウトカムを有意に改善し、死亡率の低下をもたらすことを示した。研究の成果は、Lancet誌2026年5月23日号に掲載された。  ATLAS研究は、医学関連データベースを用いて2018年3月1日~2025年3月1日に発表された文献を検索し行われた。

症候性リウマチ性心疾患、ジゴキシン追加は有用か/JAMA

 リウマチ性心疾患(RHD)は、低・中所得国(LMIC)の若年層における罹患および死亡の重要な原因で、駆出率が保たれた心不全の25%を占め、死亡の大部分は心不全に関連するとされる。RHD患者の心不全症状は、主にさまざまな程度の僧帽弁狭窄によって発生し、とくに心房細動の発症に伴い悪化する。インド・All India Institute of Medical Sciences(AIIMS)のGanesan Karthikeyan氏らDig-RHD Investigatorsは「Dig-RHD試験」において、症候性RHD患者では経口ジゴキシンの連日投与により、全死因死亡または心不全の新規発症・悪化の複合アウトカムのリスクが軽減し、毒性の発現は少ないことを示した。

中等度~重度機能障害の中血管閉塞脳卒中、血管内治療は有効か/NEJM

 中血管閉塞に起因する急性虚血性脳卒中で中等度~重度の機能障害を有する患者では、血管内血栓除去術は薬物療法単独と比較し機能的アウトカムを改善することが示された。一方で、症候性頭蓋内出血リスクを高めることも明らかになった。中国科学技術大学のWei Hu氏らが同国48施設で実施した無作為化非盲検評価者盲検比較試験「ORIENTAL-MeVO試験」の結果を報告した。中血管閉塞による急性虚血性脳卒中に対する血管内血栓除去術は、試験によって結果にばらつきがみられ、中等度~重度の機能障害を有する患者において血管内血栓除去術が機能的アウトカムを改善するかどうかは不明であった。NEJM誌2026年5月14・21日合併号掲載の報告。

チルゼパチドで減量後の体重維持、継続vs.減量vs.中止/Lancet

 米国・University of Texas McGovern Medical SchoolのDeborah B. Horn氏らは、「SURMOUNT-MAINTAIN試験」の結果から、肥満の成人において減量後にチルゼパチド最大耐量(MTD)を継続投与することにより、体重減少および健康関連指標の改善が維持されることを示した。著者は、「チルゼパチド5mgへの減量は投与中止に代わる有用な選択肢となりうるが、治療反応にはばらつきがある可能性が示唆された。これらの知見は、長期的な肥満管理において継続的な治療が重要であることを裏付けるとともに、患者中心の個別化された肥満治療を行う根拠となるだろう」と述べている。Lancet誌オンライン版2026年5月12日号掲載の報告。

COVID-19患者の同居家族、エンシトレルビルで発症予防/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の症状発現後72時間以内に、患者の同居家族に対してエンシトレルビルを投与することにより、接触者のCOVID-19発症を抑制できることが示された。米国・バージニア大学のFrederick G. Hayden氏らSCORPIO-PEP(Stopping Covid-19 Progression with Early Protease Inhibitor Treatment for Post-Exposure Prophylaxis) Study Teamが、日本を含む5ヵ国共同で行われた無作為化二重盲検プラセボ対照試験「第III相SCORPIO-PEP試験」の結果を報告した。エンシトレルビルは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)3CLプロテアーゼの経口阻害薬であり、本邦においては軽症~中等症COVID-19の治療薬として承認されている。

肥大型心筋症の長期予後予測、心臓MRIとNT-proBNPが有用/JAMA

 肥大型心筋症(HCM)患者のリスク評価に、心臓MRIおよびNT-proBNPの組み入れが有用であることが示された。米国・University of Virginia HealthのChristopher M. Kramer氏らHCMR Investigatorsが、米国国立心肺血液研究所(NHLBI)主導の大規模前向き登録研究「NHLBI HCM Registry」の結果を報告した。HCMに関する現在のリスク予測ガイドラインは心臓突然死のみを予測するものであり、そのため回避可能であったはずの死亡や、不必要であったはずの植込み型除細動器装着という事態を招いているとされる。JAMA誌オンライン版2026年5月11日号掲載の報告。