IB~IIIB期ALK陽性NSCLC、完全切除後ensartinibが有効/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2026/07/22

 

 完全切除されたIB~IIIB期のALK陽性非小細胞肺がん(NSCLC)の術後補助療法において、経口投与が可能で強力なALK阻害薬であるensartinibはプラセボと比較して、24ヵ月の時点で生存かつ無病状態(非再発)を維持していた患者の割合が有意に高く、新たな安全性シグナルを認めないことが、中国・Tianjin Medical University Institute and HospitalのDongsheng Yue氏らELEVATE Study Groupが実施した「ELEVATE試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2026年7月9日号に掲載された。

無病生存を無作為化第III相試験で評価

 ELEVATE試験は、IB~IIIB期ALK陽性NSCLC患者における完全切除術後のensartinib補助療法の安全性と有効性の評価を目的とする二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験(Betta Pharmaceuticalsの助成を受けた)。

 2022年7月~2024年7月に、年齢18歳以上、全身状態の指標であるECOG PSが0または1で、完全切除されたIB、II、IIIA、IIIB期のNSCLCであり、ALK陽性の患者を登録した。IIB~IIIB期の患者は術後補助化学療法を受けることが求められた。

 被験者274例を、完全切除および予定された術後化学療法の終了後に、ensartinib(225mg、1日1回)の経口投与を受ける群(137例、年齢中央値55歳、女性91例[66.4%])、またはプラセボ群(137例、年齢中央値54歳、女性84例[61.3%])に無作為に割り付けた。投与期間は最長24ヵ月であった。

 主要評価項目は、II~IIIB期のNSCLC患者における無病生存(無作為化から再発または全死因死亡までの期間)とした。

全患者でもII~IIIB期と同等に、無病生存率が改善

 IIB~IIIB期の患者の89.1%(172/193例)と、IBまたはIIA期の患者の23.5%(19/81例)が、白金製剤ベースの術後補助化学療法を受けた。ensartinib群では94例(68.6%)、プラセボ群では97例(70.8%)が受けていた。

 24ヵ月時点で、II~IIIB期の患者における生存かつ無病状態の患者の割合は、プラセボ群が53.5%であったのに対し、ensartinib群は86.4%と有意に優れた(再発または死亡のハザード比[HR]:0.20、95%信頼区間[CI]:0.11~0.38、p<0.001)。

 また、24ヵ月時の全患者(IB~IIIB期)における生存かつ無病状態の患者の割合は、プラセボ群の57.2%に対しensartinib群は87.3%であり、有意に高かった(HR:0.20、95%CI:0.10~0.37、p<0.001)。

 ほぼすべてのサブグループにおいて、ensartinib群で一貫して良好な無病生存の有益性を認めた。

 最も多い再発部位は脳であった(ensartinib群5/137例[3.6%]、プラセボ群17/137例[12.4%])。中枢神経系(CNS)の再発または死亡のリスクはensartinib群で低かった(HR:0.22、95%CI:0.08~0.60)。全生存のデータは未確定であった。

Grade3以上・重篤な有害事象が多い

 ensartinib群の安全性プロファイルは、以前の進行病変に関する報告と一致しており、新たな安全性シグナルは認めなかった。

 Grade3以上の有害事象は、ensartinib群の49例(35.8%)およびプラセボ群の25例(18.2%)で発現した。Grade3以上の治療関連有害事象は、それぞれ27.0%および6.6%に認められた。重篤な有害事象は、それぞれ25例(18.2%)および14例(10.2%)で報告された。ensartinibに関連すると判定された重篤な有害事象はすべて解消した。

 有害事象による投与中断、減量、治療中止は、ensartinib群でそれぞれ48例(35.0%)、41例(29.9%)、3例(2.2%)、プラセボ群ではそれぞれ20例(14.6%)、2例(1.5%)、2例(1.5%)で発生した。

 著者は、「ensartinibによる補助療法は、ALK陽性NSCLCで完全切除を受けた患者にとって、有効な新たな治療戦略となる」としている。

 また、「補助療法としてのALK阻害が、治癒した患者の割合を増加させるのか、それとも主に疾患の再発を遅らせるのかについては、現時点では決定的な判断を下せない」「最新の知見によると、ALK変異は早期NSCLC患者において、脳再発の素因となる可能性が示唆され、CNS限局病変は積極的な局所療法で治療可能であることから、無症状のCNS再発を早期に検出することが重要である」「ALK阻害薬の今後の検討事項として、術前補助療法が挙げられる」と指摘している。

(医学ライター 菅野 守)