exa-cel細胞療法、小児の輸血依存性βサラセミア・鎌状赤血球症に有効/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2026/07/13

 

 エクサガムグロゲン オートテムセル(exagamglogene autotemcel:exa-cel)は、体外でのCRISPR-Cas9法を用いた遺伝子編集により、BCL11A遺伝子の赤血球特異的エンハンサー領域で、胎児型ヘモグロビン合成を再活性化するように改変した自家CD34+造血幹細胞と前駆細胞を用いた細胞療法である。米国・Children’s Hospital at TriStar CentennialのHaydar Frangoul氏らは「CLIMB THAL-141試験」および「CLIMB SCD-151試験」において、exa-celの静脈内投与により、輸血依存性βサラセミアのすべての小児で輸血からの離脱が、鎌状赤血球症のすべての小児で重度の血管閉塞性発作の解消が達成され、その一方で全例にGrade3または4の有害事象が発現することを示した。研究の成果はNEJM誌オンライン版2026年6月11日号で報告された。

5ヵ国の非盲検第III相試験

 CLIMB THAL-141試験およびCLIMB SCD-151試験は、年齢5~11歳の小児患者を対象に、2022年5月に5ヵ国(カナダ、ドイツ、イタリア、米国、英国)の8施設で開始された進行中の非盲検第III相試験(Vertex PharmaceuticalsとCRISPR Therapeuticsの助成を受けている)。

 CLIMB THAL-141試験の対象は、輸血依存性βサラセミアと診断され、スクリーニング前の2年間に、少なくとも100mL/kg体重/年の赤血球輸血を受けていた患者15例(平均年齢7.5[SD 2.2]歳、女児5例[33%])であった。CLIMB SCD-151試験の対象は、鎌状赤血球症と診断され、登録前の2年間に年2回以上の血管閉塞性発作を発症した患者11例(平均年齢8.5[SD 2.6]歳、女児6例[55%])だった。

 被験者は、exa-cel投与前にブスルファンを用いた骨髄破壊的前処置を受けた。exa-celは、ブスルファン投与から2~7日目に、中心静脈カテーテルを介して1回、静脈内投与した。

 主要エンドポイントは、輸血依存性βサラセミアでは12ヵ月以上持続する輸血からの離脱、鎌状赤血球症では12ヵ月以上持続する重度血管閉塞性発作の解消であった。

全例で好中球の生着を達成、編集BCL11A遺伝子アレルも安定的に推移

 exa-cel投与後の追跡期間中央値は、CLIMB THAL-141試験16.0ヵ月(範囲:2.2~32.1)、CLIMB SCD-151試験16.9ヵ月(7.6~33.1)であった。

 CLIMB THAL-141試験では、全例で好中球の生着(生着までの期間中央値30日、範囲:19~38)が達成され、生着前に死亡した1例を除く全例で血小板の生着(51日、22~82)が得られた。また、CLIMB SCD-151試験では、全例で好中球の生着(28日、範囲:20~37)および血小板の生着(47日、24~78)が達成された。

 16ヵ月以上追跡した輸血依存性βサラセミアの8例では、全例が12ヵ月以上持続する輸血からの離脱を達成した。残りの7例は評価不能であった。輸血非依存となった8例の平均輸血非依存期間は23.4ヵ月(範囲:13.3~28.5)で、輸血中止までの平均期間は1.3ヵ月(0.5~2.4)だった。

 6ヵ月時の平均(±SD)胎児型ヘモグロビン濃度は10.8(±1.7)g/dLであった。編集されたBCL11A遺伝子アレルの割合の平均値は、3ヵ月以降は60%以上で維持されていた。6ヵ月時の骨髄のCD34+細胞における編集されたBCL11A遺伝子アレルの割合の平均値は77.4(±8.5)%で、これ以降は安定的に維持された。

 一方、16ヵ月以上追跡した鎌状赤血球症の8例では、全例が12ヵ月以上持続する血管閉塞性発作の解消を達成し、残りの3例は評価不能だった。血管閉塞性発作が解消した8例の平均発作消失期間は19.0ヵ月(範囲:13.2~30.1)で、exa-cel投与後の連続する12ヵ月以上、本症による入院を認めなかった。

 総ヘモグロビンに占める胎児型ヘモグロビンの割合の平均値は、3ヵ月時が38.1(±8.3)%、6ヵ月時は49.5(±6.4)%で、これ以降は45%以上で維持された。末梢血中の編集されたBCL11A遺伝子アレルの割合の平均値は、3ヵ月時が67.9(±7.3)%で、これ以降は66%以上で維持された。6ヵ月時の骨髄のCD34+細胞における編集されたBCL11A遺伝子アレルの割合の平均値は84.5(±4.9)%で、これ以降は安定的に維持された。

2例に前処置関連の重度静脈閉塞性肝疾患

 すべての小児患者で、少なくとも1件のGrade3または4の有害事象が発現した。輸血依存性βサラセミアの2例で重度の静脈閉塞性肝疾患を認めたが、いずれもブスルファンによる前処置に関連すると判定された。このうち1例が死亡した。

 著者は、「この新しい自家遺伝子治療は、移植片対宿主病や移植片拒絶のリスクがないため移植後の免疫抑制療法を必要としない。これは、患者の約80%が適切な同種ドナーを持たない輸血依存性βサラセミアおよび鎌状赤血球症の小児にとって重要である」としている。

(医学ライター 菅野 守)