淋菌感染症リスクが高い男性間性交渉者(MSM)において、B群髄膜炎菌ワクチン(4CMenB)はプラセボと比較して、淋菌感染症の発生率の低下をもたらさなかった。オーストラリア・Griffith UniversityのKate L. Seib氏らGoGoVax Study Teamが、多施設共同二重盲検無作為化プラセボ対照試験の結果を報告した。現状、淋菌感染症の予防として承認されているワクチンはない。淋菌と髄膜炎菌は近縁な細菌であり、観察研究において、4CMenBが淋菌感染症のリスクを低下させる可能性が示唆されていた。NEJM誌オンライン版2026年7月8日号掲載の報告。
淋菌感染症または梅毒既往のMSMを対象に、4CMenB vs.プラセボ
本試験の対象は、HIV陰性でHIV曝露前予防(PrEP)を受けている、またはHIV陽性の年齢18~50歳のMSMで、直近18ヵ月以内に淋菌感染症または梅毒の診断記録があることを適格条件とした。
研究グループは対象者を、4CMenBまたはプラセボ(生理食塩水)を受けるよう1対1の割合で無作為に割り付け、3ヵ月の間隔を空けて2回の筋肉内投与を行った。無作為化は、Webベースシステムを用い、試験施設ごとに層別化した順列ブロック法にて実施した。
四半期ごと2年間にわたり、泌尿生殖器、肛門直腸、中咽頭から採取した検体を用いた核酸増幅検査で淋菌を含む性感染症のスクリーニングを実施した。
主要アウトカムは、ワクチンまたはプラセボ投与後の初発の淋菌感染症とした。解析は、per-protocol集団(4CMenBまたはプラセボを受け、2回投与後、予定されていたスクリーニングを少なくとも2回受け、有効性の評価に関する除外基準をいずれも満たさなかった参加者)で評価した。
淋菌感染症の発生率比は1.01
2021年7月~2023年5月に、654例が無作為化され、587例が主要解析の対象に含まれた(4CMenB群296例、プラセボ群291例)。ベースラインの患者特性は両群で類似しており、平均年齢は34.2歳、HIV陽性者は9.5%、淋菌感染症の診断既往者は89.6%であり、61.4%(データが入手できた565例のうち347例)が直近6ヵ月に10人超と性交渉を持っていた。
淋菌感染症の発生率は100人年当たり、4CMenB群48.1件(296例において160件)、プラセボ群47.8件(291例において155件)であり(発生率比:1.01、95%信頼区間[CI]:0.80~1.26、p=0.97)、ワクチンの有効率([1-発生率比]×100で算出)は-0.5%(95%CI:-26.2~19.9、p=0.97)であった。
ワクチン有効率は、症候性感染症に対しては5.5%(95%CI:-56.0~42.8)、無症候性感染症は-6.4%(95%CI:-47.5~23.2)であり、部位別では、泌尿生殖器に対しては-20.0%(95%CI:-90.2~23.9)、肛門直腸は-1.2%(95%CI:-33.0~23.0)、中咽頭は2.6%(95%CI:-27.7~25.7)であった。
重篤な有害事象は、4CMenB群の4.7%、プラセボ群の2.8%で発現した(p=0.20)。
(ケアネット)