前糖尿病の成人において、生活習慣の改善は多疾患併存の負担軽減と関連するが、メトホルミン介入ではそのような関連は示されなかった。米国国立老化研究所のMarcel E. Salive氏らDPP Research Groupによる、無作為化試験の被験者を長期にわたって追跡評価した観察コホート研究で示された。個別疾患のみならず多疾患併存の予防や発症遅延についての研究は、公衆衛生上きわめて重要であるが、長期的な追跡調査で有効性が実証された介入方法はほとんどない。今回の結果について著者は、「生活習慣改善プログラムは、慢性疾患の発症を長期にわたって抑制する可能性がある」とまとめている。JAMA誌オンライン版2026年6月15日号掲載の報告。
無作為化試験に参加した前糖尿病患者を、試験後21年間にわたり追跡
研究グループは、前糖尿病の成人における多疾患併存の発症との関連性について、生活習慣への介入またはメトホルミンによる介入とプラセボを比較する検討を、1996年6月1日~2021年12月31日に米国27施設で実施した。1996年6月1日~1999年5月28日の3年間にわたるDiabetes Prevention Program(DPP)に、2型糖尿病リスクの高い成人3,234例が登録され、これらの被験者はその後にDPP Outcomes Study(DPPOS)に登録された。本コホートのうち、2021年までのCenters for Medicare & Medicaid Services疾患データが入手可能であり、同意が得られた1,173例のデータについて、2024年6月5日~2025年11月7日に解析を行った。
DPPにおいて被験者は、生活習慣改善群、メトホルミン群、プラセボ群に無作為化された。DPPOSにおいては、プラセボ投与が中止され薬物治療が非盲検化された。メトホルミン治療は継続された。
生活習慣改善群には年2回の集団介入が提供され、また全被験者について2014年までに年4回、生活習慣改善の介入が提供された。
主要アウトカムは多疾患併存の発症で、Medicare支払いデータベースで定義される15の主要な慢性疾患のうち2つ以上の発症が認められる場合と定義した。
Cox比例ハザードモデルを用いて、各治療群のアウトカム発症リスクを推定した。
対プラセボの多疾患併存リスク、生活習慣改善群は低下、メトホルミン群は差異なし
1,173例(年齢中央値74歳[四分位範囲[IQR]:70~80]、795例[68%]が女性)のうち、993例(85%)で2つ以上(中央値5[IQR:3~7])の疾患の併存が、フォローアップ終了時点までに認められた(生活習慣改善群316/385例[82%]、メトホルミン群327/385例[85%]、プラセボ群350/403例[87%])。
多疾患併存のリスクは関連する共変量補正後、生活習慣改善群がプラセボ群と比較して低下した(ハザード比[HR]:0.79、95%信頼区間[CI]:0.68~0.93)。メトホルミン群とプラセボ群では有意差がみられなかった(HR:0.91、95%CI:0.78~1.07)。
これらの関連性は、多疾患併存の定義から糖尿病を除外した場合も維持されていた。また、最も医療費が高い疾患の組み合わせに限定した場合、生活習慣改善群とプラセボ群を比較した関連性のHRは0.57(95%CI:0.38~0.85)であった。
(ケアネット)