ECMO中の抗凝固療法、未分画/低分子ヘパリンでも出血低減/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2026/07/17

 

 体外式膜型人工肺(ECMO)施行中の患者における抗凝固療法として、低用量のUFH(未分画ヘパリン)および治療用量のLMWH(低分子ヘパリン)は、重度出血・重度血栓塞栓性合併症・全死亡の複合エンドポイントに関して、標準用量のUFHに対し非劣性であることが認められた。オランダ・フローニンゲン大学医療センターのOlivier van Minnen氏らDutch ECLS Study Groupが、同国7施設の集中治療室(ICU)で実施した無作為化非盲検非劣性試験「RATE試験」の結果を報告した。ECMO中の血栓症リスク低減に対しては、活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)をベースライン値の2.0~2.5倍に維持することを目標としたUFH静脈内投与が標準治療であるが、このアプローチは出血リスクを高める可能性が懸念されていた。著者は、「本結果は、抗凝固療法目標値を低く設定することで出血関連有害事象を低減できる可能性を示唆するものであり、ECMO中の抗凝固療法目標値の見直しを支持するものであった」とまとめている。Lancet誌オンライン版2026年7月7日号掲載の報告。

低用量UFH、治療用量LMWHの標準用量UFHに対する非劣性を評価

 研究グループは、治療チームにより可逆性があると判断された重度の呼吸不全または循環不全、あるいは移植の橋渡しとして開始された静脈-静脈(VV)または静脈-動脈(VA)-ECMOを受けている18歳以上の成人患者で、全量抗凝固療法の絶対的適応(例:機械弁僧帽弁など)がない患者を、標準用量UFH群(aPTTをベースラインの2.0~2.5倍として静脈内投与)、低用量UFH群(同1.5~2.0倍)、LMWH群(体重および腎機能に応じて調整した用量を1日2回皮下投与)のいずれかに、1対1対1の割合で無作為に割り付けた。追跡調査担当の研究スタッフは、割り付けについて盲検化された。

 主要アウトカムは、ECMO中の重度出血(Extracorporeal Life Support Organization[ELSO]レジストリの基準に基づく)、ECMO中の重度血栓塞栓性合併症、および6ヵ月時点の全死因死亡の複合であった。

 解析は、6ヵ月後の追跡データがあり、意識回復後の事後同意が得られた無作為化されたすべての患者を対象として、ITTの原則に従って実施し、非劣性マージンは絶対リスク群間差の95%信頼区間(CI)の上限が7.5%ポイント未満とした。

重度出血、重度血栓塞栓性合併症および全死亡の複合で、非劣性を検証

 2020年10月22日~2024年9月12日に330例が標準用量UFH群、低用量UFH群、LMWH群に無作為に割り付けられた(各群110例)。このうち、6ヵ月時の主要解析の対象は、320例(男性225例[70%]、女性95例[30%]、年齢中央値56歳[四分位範囲:45~65]、白人255例[80%])であった。

 主要アウトカムのイベント発生は、標準用量UFH群107例中87例(81%)に対して、低用量UFH群では108例中78例(72%)に認められ(絶対リスク群間差:-9.1%ポイント、95%CI:-20.3~2.1)、LMWH群では105例中79例(75%)に認められ(絶対リスク群間差:-6.1%ポイント、95%CI:-17.2~5.0)、いずれも非劣性基準を満たしていた。

 重度出血は、標準用量UFH群70例(65%)に対して、低用量UFH群で63例(58%)、LMWH群で62例(59%)に認められ、重度血栓塞栓性合併症は、それぞれ12例(11%)、11例(10%)、9例(9%)に認められ、これらの差は統計学的に有意ではなかった。

 6ヵ月時点の死亡は、標準用量UFH群で54例(50%)、低用量UFH群で45例(42%)、LMWH群で46例(44%)であった。

(医学ライター 吉尾 幸恵)