日本発エビデンス|page:19

CKDを伴う関節リウマチにおけるJAK阻害薬の安全性・有効性

 虎の門病院腎センター内科・リウマチ膠原病科の吉村 祐輔氏らが慢性腎臓病(CKD)を伴う関節リウマチ(RA)患者におけるJAK阻害薬の有効性・安全性を評価し、腎機能が低下した患者における薬剤継続率を明らかにした。また、推算糸球体濾過量(eGFR)が30mL/分/1.73m2未満の患者については、帯状疱疹や深部静脈血栓症(DVT)の可能性を考慮する必要があることも示唆した。Rheumatology誌2025年1月25日号掲載の報告。  研究者らは、2013~2022年にJAK阻害薬を新規処方されたRA患者216例について、多施設共同観察研究を実施。腎機能に応じたJAK阻害薬の減量ならびに禁忌については添付文書に従い、患者を腎機能とJAK阻害薬の各薬剤で分類した。主要評価項目は24ヵ月間の薬剤継続率で、副次評価項目は関節リウマチの疾患活動性評価の指標の1つであるDAS28-CRPの変化、プレドニゾロン投与量、およびJAK阻害薬の中止理由だった。

免疫チェックポイント阻害薬関連の1型糖尿病、生存率との関連~日本人2万例を解析

 免疫チェックポイント阻害薬に関連した1型糖尿病(ICI-T1DM)の発現割合、危険因子、生存率への影響について、奈良県立医科大学の紙谷 史夏氏らが後ろ向き大規模コホートで調査した結果、ICI-T1DMは0.48%に発現し、他の免疫関連有害事象(irAE)と同様、ICI-T1DM発現が高い生存率に関連していることが示唆された。Journal of Diabetes Investigation誌2025年2月号に掲載。

日本人乾癬患者へのデュークラバシチニブ、年齢やBMIごとの有効性

 TYK2阻害薬デュークラバシチニブの乾癬に対する有効性は確認され、本邦においても2022年に承認・発売されているが、年齢およびBMIによる層別解析を含む長期的な実臨床での有効性の検討は十分ではない。日本医科大学千葉北総病院の萩野 哲平氏らは、日本人乾癬患者におけるデュークラバシチニブの実臨床における52週時での有効性を、年齢およびBMIにより層別化して評価する前向き研究を実施。結果をThe Journal of Dermatology誌オンライン版1月28日号に報告した。  本研究は、2022年12月~2024年8月に実施された。中等症~重症の乾癬を有する15歳以上の日本人患者107例を対象とし、デュークラバシチニブ6mgを1日1回、52週間投与した。治療効果は、Psoriasis Area and Severity Index(PASI)75、PASI 90、PASI 100の達成率およびその他の主要な臨床指標により評価。データは年齢(<65歳 vs.≧65歳)およびBMI(<25 vs.≧25)により層別化された。

よく笑う人にはオーラルフレイルが少ない

 笑う頻度が高い人にはオーラルフレイルが少ないことが明らかになった。福島県立医科大学医学部疫学講座の舟久保徳美氏、大平哲也氏らの研究によるもので、詳細は「Scientific Reports」に11月5日掲載された。  近年、笑うことが心身の健康に良いことを示唆するエビデンスが徐々に増えていて、例えば笑う頻度の高い人は心疾患や生活習慣病が少ないことが報告されている。一方、オーラルフレイルは、心身のストレス耐性が低下した要介護予備群である「フレイル」のうち、特に口腔機能が低下した状態を指す。オーラルフレイルでは食べ物の咀嚼や嚥下が困難になることなどによって、身体的フレイルのリスク上昇を含む全身の健康に負の影響が生じる。舟久保氏らは、このオーラルフレイル(以下、OFと省略)にも笑う頻度が関連している可能性を想定し、福島県楢葉町の住民を対象とする横断研究を行った。

日本における妊娠中の抗うつ薬継続投与、約10年の変化は

 近年、複数の日本の学会より周産期の抗うつ薬治療に関する治療ガイドラインが発表されており、最新の動向や妊娠中の抗うつ薬継続投与を評価し、出産前抗うつ薬処方を最適化することが重要であると考えられる。東北大学の石川 智史氏らは、日本での2012〜23年における妊娠中の抗うつ薬処方の変化を評価した。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2025年1月10日号の報告。  対象は、2012〜23年に日本で出産した女性。妊娠中の抗うつ薬処方率、傾向、継続性について、大規模行政レセプトデータを用いて評価した。年次変化は、出産時女性の年齢に合わせて調整された多変量ロジスティック回帰モデルを用いて評価した。

日本人HER2+進行乳がんへのペルツズマブ再投与、OS最終解析結果(PRECIOUS)/JCO

 ペルツズマブ治療歴のある、HER2陽性局所進行/転移乳がんに対し、ペルツズマブ再投与(ペルツズマブ+トラスツズマブ+主治医選択による化学療法)はトラスツズマブ+主治医選択による化学療法と比較して治験責任医師評価による無増悪生存期間(PFS)を有意に改善したことが、第III相PRECIOUS試験の主要解析結果として報告されている。今回、熊本大学の山本 豊氏らは、同試験の全生存期間(OS)の最終解析結果をJournal of Clinical Oncology誌オンライン版2025年1月24日号で報告した。  PRECIOUS試験では、局所進行/転移乳がんに対する1次または2次治療としてペルツズマブを含む治療歴を有する患者を、ペルツズマブ再投与群(PTC群)とトラスツズマブ+主治医選択による化学療法群(TC群)に1:1の割合で無作為に割り付けた(PTC群110例、TC群109例)。主要評価項目は治験責任医師評価によるPFS、重要な副次評価項目はOS、独立中央評価によるPFSであった。

COVID-19パンデミック前後で医療の利用状況が大きく変化

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック前後で、国内医療機関の利用状況が大きく変わったことが明らかになった。全国的に入院患者の減少傾向が続いているという。慶應義塾大学グローバルリサーチインスティテュートの野村周平氏、東京海洋大学の田上悠太氏、東京大学のカオ・アルトン・クアン氏らの研究の結果であり、詳細は「Healthcare」に11月19日掲載された。著者らは、「入院患者数の減少は通常の状況下では医療システムの効率化の観点からポジティブに捉えられる可能性がある一方で、パンデミック期間中には超過死亡も観測されていることから、入院患者数の減少による国民の健康への潜在的な影響も排除できない」としている。

日本における遺伝子パネル検査、悪性黒色腫の治療到達割合は6%

 悪性黒色腫(メラノーマ)は、アジア諸国では欧米に比べてまれな疾患であり、前向き臨床試験による検証が難しい状況がある。日本において、包括的がんゲノムプロファイリング検査(CGP)を使用して悪性黒色腫患者の遺伝子変異と転帰を解明することを目的とした後ろ向き研究が行われた。北海道大学の野口 卓郎氏らによる本研究の結果は、JCO Precision Oncology誌2025年1月9日号に掲載された。  研究者らは、標準治療が終了(完了見込みも含む)し、保険適用となるCGPを受けた悪性黒色腫患者のデータをがんゲノム情報管理センター(C-CAT)から得て、結果を分析した。

日本人の認知症予防に有効な緑茶やコーヒーの摂取量は

 緑茶やコーヒーには認知機能低下の予防効果があることが報告されているが、認知機能に対する長期的な影響は、よくわかっていない。慶應義塾大学の是木 明宏氏らは、中年期における緑茶やコーヒーの摂取が認知症予防に及ぼす影響を調査した。Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版2025年1月8日号の報告。  JPHC佐久メンタルヘルスコホートには、1,155人(1995年時点の年齢:44〜66歳)の参加者が含まれた。参加者の緑茶およびコーヒーの摂取量は、1995年と2000年のアンケートにより評価した。認知機能レベルは、2014〜15年に神経心理学的評価を行った。有意な認知機能低下(マルチドメイン認知機能低下およびより重篤な状態と定義)を従属変数としてロジスティック回帰分析を行った。性別および年齢による層別化解析も行った。

最初の3歩のビデオ撮影で働き盛りの転倒リスクを機械学習で推定/京都医療センターほか

 70歳までの就業が企業の努力義務となり、生涯現役時代が到来した。その一方で、職場での転倒による労働災害は最も多い労働災害であり、厚生労働省は2015年から「STOP!転倒災害プロジェクト」を展開している。しかし、休業4日以上の死傷者数は、令和3(2021)年度で転倒が最も多く(3.4万人)、平成29(2017)年度と比べ18.9%も増加している(労働者死傷病報告)。保健・医療・福祉分野においてさまざまな転倒リスクアセスメントトツール(AIを含めた)が開発されているが、元となるデータは診療録や看護記録であるため精度に限界があることが指摘されていた。

敗血症へのβ-ラクタム系薬+VCM、投与順序で予後に差はあるか?

 敗血症が疑われる患者への治療において、β-ラクタム系薬とバンコマイシン(VCM)の併用療法が広く用いられている。しかし、β-ラクタム系薬とVCMの投与順序による予後への影響は明らかになっていない。そこで、近藤 豊氏(順天堂大学大学院医学研究科 救急災害医学 教授)らの研究グループは、β-ラクタム系薬とVCMの併用による治療が行われた敗血症患者を対象として、投与順序の予後への影響を検討した。その結果、β-ラクタム系薬を先に投与した集団で、院内死亡率が低下することが示唆された。本研究結果は、Clinical Infectious Diseases誌オンライン版2024年12月5日号に掲載された。

上腕カフ式の家庭血圧測定により血圧が下がる/東北医科薬科大学ほか

 家庭での血圧自己測定の有用性に関する新たなエビデンスが報告された。日本高血圧学会による「デジタル技術を活用した血圧管理に関する指針」策定のためのタスクフォースとして、東北医科薬科大学医学部衛生学・公衆衛生学教室の佐藤倫広氏らが行ったシステマティックレビューとメタ解析の結果であり、詳細は「Hypertension Research」に11月21日掲載された。上腕カフ式の血圧計で家庭血圧測定を行っている場合に、血圧値がより厳格に管理されることが確認されたという。  家庭血圧測定に関する有用性は主に日本から多くのエビデンスが発信されてきており、国内のガイドラインでは診察室血圧より家庭血圧を重視することが推奨され、海外のガイドラインもそのように変化してきている。しかし、以前に行われたメタ解析では、家庭血圧の測定のみでなく、遠隔医療などを並行して行った場合において、顕著な臨床効果を期待できると結論付けられている。佐藤氏らは今回、新たな研究報告も対象に含めたシステマティックレビューとメタ解析を行い、改めて家庭血圧測定の有用性を検討した。

自閉スペクトラム症と統合失調症の鑑別に有用な評価尺度は

 統合失調症と自閉スペクトラム症(ASD)は、別々の疾患として認識されているが、症状の類似性により鑑別診断が困難な場合が少なくない。昭和大学の中村 暖氏らは、統合失調症とASDの症状について類似点と相違点の特定、より有用で客観的な鑑別診断法の確立、統合失調症患者におけるASD特性を明らかにすることを目的に、本研究を実施した。Frontiers in Psychiatry誌2024年12月18日号の報告。  対象は統合失調症患者40例(女性:13例、平均年齢:34±11歳)およびASD患者50例(女性:15例、平均年齢:34±8歳)。自閉症診断観察尺度第2版(ADOS-2)およびその他の臨床尺度を用いて評価を行った。

透析中の骨粗鬆症患者へのデノスマブは心血管イベントリスクを上げる可能性/京都大

 透析患者の骨粗鬆症の治療では、腎排泄に頼らないデノスマブが使用されている。しかし、その有効性、安全性を他の骨粗鬆症治療薬と比較した大規模研究はこれまでなかった。そこで、桝田 崇一郎氏(京都大学大学院医学研究科薬剤疫学分野)らの研究グループは、透析患者の骨粗鬆症に対するデノスマブは、ビスホスホネートと比較し、骨折リスクを低減させる一方で、心血管イベントのリスクを増加させる可能性があることを、電子レセプトデータを用いたコホート研究により明らかにした。本研究結果は、Annals of Internal Medicine誌2025年1月7日オンライン版に掲載された。

日本における片頭痛診療の現状、今求められることとは

 日本では、片頭痛を治療する医療機関および医師の専門分野における実際の治療パターンに関する調査は十分に行われていない。慶應義塾大学の滝沢 翼氏らは、日本の片頭痛患者の実際の臨床診療および治療パターンを医療機関や医師の専門分野別に評価するため、レトロスペクティブコホート研究を実施した。PLoS One誌2024年12月19日号の報告。  2018年1月〜2023年6月のJMDC Incより匿名化された片頭痛患者のレセプトデータを収集した。片頭痛を治療する医療機関および医師の専門分野別に患者の特性や治療パターンを評価した。

出産後の抜け毛の量が育児中の不安に独立して関連

 出産後に抜け毛が多い女性は不安が強く、交絡因子を調整後にも独立した関連のあることが明らかになった。東京科学大学病院周産・女性診療科の廣瀬明日香氏らの研究によるもので、詳細は「The Journal of Obstetrics and Gynaecology Research」に10月27日掲載された。  個人差があるものの、出産後女性の多くが抜け毛を経験し、一部の女性は帽子やかつらを使用したり外出を控えたりすることがあって、メンタルヘルスに影響が生じる可能性も考えられる。産後の脱毛症の罹患率などの詳細は不明ながら、廣瀬氏らが以前行った調査では、育児中女性の91.8%が「抜け毛が増えた」と回答し、73.1%がそれに関連する不安やストレスを感じていることが明らかにされている。今回の研究では、その調査データをより詳しく解析し、産後脱毛と育児中のメンタルヘルスとの関連を検討した。

緑茶に認知症予防効果?~65歳以上の日本人約9千人の脳を解析

 緑茶の摂取が認知症の予防につながる可能性が報告された。柴田 修太郎氏(金沢大学医薬保健学総合研究科 脳神経内科学)らの研究グループは、認知症のない65歳以上の日本人を対象として、緑茶およびコーヒーの摂取量と脳MRIの関係を検討した。その結果、緑茶の摂取量が多いほど、脳白質病変容積が小さい傾向にあった。一方、コーヒーには脳MRIの解析結果との関連はみられなかった。本研究結果は、npj Science of Food誌2025年1月7日号に掲載された。  健康長寿社会の実現を目指し、65歳以上の1万人超を対象として実施されている認知症コホート研究「JPSC-AD研究」の参加者のうち、認知症がなく脳MRIデータを取得できた8,766人を対象として、本研究を実施した。対象者を緑茶、コーヒーの1日当たりの摂取量(200mL以下、201~400mL、401~600mL、601mL以上)で分類し、脳白質病変、海馬、全脳の容積との関連を検討した。

自傷行為に関する誤った認識が少なくない

 自傷行為に関する人々の認識を調査した結果が報告された。固定観念を持つ人が少なくないこと、自傷行為を行う人に適切に対応できる自信があると答えた人ほど、かえってその傾向が強いことなどが明らかにされている。お茶の水女子大学生活科学部心理学科の高橋哲氏らの研究であり、詳細は「PCN Reports」に11月5日掲載された。  青少年の6人に1人が自傷行為の経験を有するというデータがある。自傷行為自体は自殺を意図しない行為であり、用いられる方法や予期する結果や機能などの点で自殺と区別して考えられるものの、同時に、既往者はその後の人生で自殺を試みるリスクが高いとする報告があり早期の介入が重要とされる。しかし、自傷行為に関する誤った認識が人々の間で広くいきわたっているとされ、一例を挙げると、自傷行為は単に他者からの注目を集めたいがために行われるといったものがある。このような誤解は偏見を助長し、当事者がサポートを求める妨げとなる可能性がある。高橋氏らは、自傷行為に関する人々の認識を把握するとともにその認識に関連する要因を検討するため、webを用いた横断研究を実施した。

歩くのが速いと自認している肥満者、代謝性疾患が少ない

 肥満者において、主観的歩行速度が代謝性疾患のリスクと関連のあることを示唆するデータが報告された。同志社大学大学院スポーツ健康科学研究科の山本結子氏、石井好二郎氏らが行った横断的解析の結果であり、詳細は「Scientific Reports」に11月15日掲載された。  歩行速度は、体温、脈拍、呼吸、血圧、酸素飽和度に続く“第6のバイタルサイン”と呼ばれ、死亡リスクと関連のあることが知られている。しかし、歩行速度を客観的に把握するにはスペースと時間が必要とされる。よって健診などでは、「あなたの歩く速度は同世代の同性と比べて速い方ですか?」という質問の答えを主観的歩行速度として評価することが多い。この主観的歩行速度も代謝性疾患リスクと関連のあることが報告されているが、疾患ハイリスク集団である肥満者での知見は限られている。これらを背景として山本氏らは健診受診者データを用いて、肥満者の主観的歩行速度が代謝性疾患の罹患状況と関連しているかを検討した。

アルコール飲み放題が飲酒問題に及ぼす影響はどの程度か

 国立国際医療研究センターの若林 真美氏らは、レストランやバーでのアルコール飲み放題と問題のあるアルコール消費パターンとの関連を調査した。BMJ Open誌2024年12月3日号の報告。  COVID-19パンデミック中の2022年2月の日本における社会と新型タバコに関するインターネット調査研究プロジェクト(JASTIS研究)のデータを用いて、横断的研究を実施した。問題のあるアルコール消費パターンは、アルコール使用障害スクリーニング(AUDIT)で特定した。飲酒対象者1万9,585人(男性の割合:55%、平均年齢:48.3歳)をAUDITスコアに基づき、問題のない飲酒(AUDITスコア:0〜7)、問題のある飲酒(同:8以上)、危険な飲酒(同:8〜14)、アルコール依存症疑い(同:15以上)の4つに分類した。AUDITの設問3で2以上のスコアの場合、過度な飲酒と判断される。説明変数は、COVID-19パンデミック中の過去12ヵ月間(2021年2月〜2022年2月)における定額制のアルコール飲み放題の利用歴とした。定額制飲み放題の利用と問題のある飲酒または過度な飲酒、危険な飲酒またはアルコール依存症疑いとの関連を分析した。