フレマネズマブの12週間に1回675mgを皮下投与した場合の長期的なアドヒアランスや有効性に関するリアルワールドデータは、依然として不足している。静岡赤十字病院の吉田 昌平氏らは、反復性片頭痛(EM)および慢性片頭痛(CM)に対する2年にわたるフレマネズマブ675mgの有効性およびアドヒアランスを評価し、治療中止理由の分析を行った。The Journal of Headache and Pain誌2025年3月11日号の報告。
対象は、静岡赤十字病院の頭痛センターに通院している患者のうち、2021年11月〜2022年6月にフレマネズマブの12週間に1回675mgを皮下投与する治療を行った15歳以上の患者。頭痛の頻度および重症度は、頭痛日誌を用いて記録した。観察期間は、治療開始後24ヵ月間までとした。治療中止理由は、フォローアップ時のカルテ記録より収集した。
主な結果は以下のとおり。
・登録患者数は28例。内訳は、CM患者15例、EM患者13例。
・CM患者のうち1例は、初回投与後に治療を中止したため除外した。
・評価対象患者27例のうち、フレマネズマブ675mg治療が有効であった患者の割合は、70.4%(19例)であった。
・観察期間終了までフレマネズマブ675mg治療を継続した患者の割合は44.4%(12例)。
・2年間フレマネズマブ治療を継続した患者のうち、毎月頭痛カレンダーを更新していた患者は7例(CM患者:2例、EM患者:5例)。
・ベースラインからの1ヵ月当たりの片頭痛日数の平均変化は、3ヵ月で−2.2、12ヵ月で−1.8、2年で−1.6±3.0であった。
・25.9%(7例)の患者は、継続的な改善が認められたため、治療中止が可能であった。
・効果不十分で治療中止に至った患者の割合は22.2%(6例)。
・注射部位反応のため治療を中止した患者は1例(3.7%)のみ。
・1例(3.7%)は、妊娠のため治療を中止した。
・治療反応が不十分であった患者のうち3例は、フレマネズマブからエレヌマブに切り替えを行った。その後1例は、エレヌマブの効果が減弱し、フレマネズマブ4週間に1回225mg皮下投与に変更された。
・2例は、ガルカネズマブへ切り替えられた。
・すべての切り替え患者は、その効果により切り替えた薬剤で治療が継続された。
・1例は、フォローアップ調査から脱落した。
著者らは「フレマネズマブ12週間に1回675mg皮下投与は、長期にわたり頭痛の頻度を効果的に減少させ、大幅な回復が認められた患者では、治療中止が容易になる可能性が示された」と結論付けている。
(鷹野 敦夫)