医療一般|page:5

アマゾン先住民は脳の加齢変化が緩やか

 産業革命以前のライフスタイルで生活している南米の先住民は、欧米先進国に暮らす人よりも脳の加齢変化のスピードが遅い可能性のあることが報告された。米南カリフォルニア大学のAndrei Irimia氏らの研究によるもので、詳細は「The Journal of Gerontology, Series A: Biological Sciences and Medical Sciences」に5月26日掲載された。  ボリビアのアマゾンの僻地に約1万6,000人が居住するチマネ族は、狩猟、採集、農作、釣魚による生活を送っている。つまり、加工食品を口にせず、ソファで過ごしたり動画サイトをストリーミングしたりしない。これまでの研究から、チマネ族では高齢者でさえ、肥満や高血圧、糖尿病、心血管疾患など、今日の先進諸国で一般的な疾患がほとんど見られないことが明らかになっている。Irimia氏らは、そのようなチマネ族は脳の健康状態も良好であるのではないかとの仮説を立て、今回の研究を行った。

尿酸値が高い人は適度な飲酒が腎臓に良い?―国内地域住民の横断研究

 尿酸値が高いことは腎臓の働き(腎機能)が低下するリスク因子の一つだが、適量のアルコール摂取が尿酸値の高い人の腎機能低下リスクを抑制する可能性を示すデータが報告された。愛媛大学大学院医学系研究科地域医療学講座の川本龍一氏らの研究によるもので、詳細は「Journal of Clinical Laboratory Analysis」に5月7日掲載された。  この研究は、愛媛県西予市の地域住民対象横断研究として行われた。健診受診者から、尿酸降下薬の服用者や腎不全患者(腎機能を表すeGFRが10mL/分/1.73m2未満)を除外。解析対象者数は男性が742人(平均年齢69±11歳)、女性は977人(69±10歳)だった。男性は尿酸値7.0mg/dL以上、女性は6.0mg/dL以上をカットオフ値とした場合、男性の20.8%、女性の12.6%が尿酸高値に該当した。

PTSDの悪夢に対するトリヘキシフェニジル治療の有効性

 心的外傷後ストレス障害(PTSD)は、悪夢やフラッシュバックを特徴とする、外傷性イベント後に発症する可能性のある不安障害である。この悪夢やフラッシュバックの根底にあるメカニズムは解明されておらず、抗うつ薬や抗精神病薬を含むいくつかの薬剤が治療に用いられている。そごうPTSD研究所の十河 勝正氏らは、抗コリン薬ブチルスコポラミン臭化物によるケーススタディに続いて、PTSD関連の悪夢やフラッシュバックに対する中枢性抗コリン薬の効果について、検討を行った。Brain and Behavior誌2021年6月号の報告。

新型コロナ家庭内感染におけるワクチンの効果/NEJM

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチンの接種は、家庭内感染を減少させるのだろうか。英国の全国データを分析した結果、検査陽性となる21日以上前にワクチンを接種していた感染者では未接種の感染者に比べ、家庭内感染のオッズ比が0.52~0.54と低かった。また、14日以上前に接種していた場合に家庭内感染の予防効果が認められた。英国・Public Health EnglandのRoss J. Harris氏らが、NEJM誌オンライン版2021年6月23日号のCORRESPONDENCEに報告した。

日本のトラック運転手の不眠症に関連する因子

 トラック運転手の不眠症は、交通事故リスクの増加につながる重大な問題である。秋田大学の宮地 貴士氏らは、日本のトラック運転手における不眠症の有病率を調査し、不眠症に関連する因子を特定するため、検討を行った。Nature and Science of Sleep誌2021年5月18日号の報告。  対象は、65歳未満の男性トラック運転手2,927人。自己記入式質問票を用いて、不眠症状、状態-特性不安尺度(State-Trait Anxiety Inventory:STAI)、飲酒・喫煙習慣、BMI、カフェイン摂取量、毎日の運転時間、連続して自宅から離れた日数、走行距離に関する情報を収集した。不眠症状には、入眠障害、中途覚醒、早朝覚醒を含め、これらいずれかの症状が毎日観察された場合を不眠症と定義した。

塩はどれほど体に良くないのか?―AHAニュース

 塩分の取り過ぎが体に良くないことを多くの人が知っている。しかし、その理由を正しく理解している人は少ないかもしれない。米ヴァンダービルト大学のCheryl Laffer氏は、「一般的な米国人が摂取する塩分量で、健康がいかに害されるかを知った時、人々は驚くだろう」と語っている。  米疾病対策センター(CDC)によると、米国人の約9割がナトリウムを取り過ぎているという。そのナトリウムの大半は塩化ナトリウム、つまり塩だ。塩分が体に与える6つの影響と、その対策を以下にまとめる。

太極拳の腹部肥満に対する効果は一般的運動と同等

 太極拳のように、呼吸に合わせてゆっくりとした動きをする運動にも、中高年の腹部脂肪を減らす効果があるとする研究結果が報告された。50歳以上の人が12週間太極拳を続けたところ、エアロビクスや筋力トレーニングなどを行った人と同程度、ウエスト周囲長が減少したという。香港大学のParco Siu氏らの研究によるもので、結果の詳細は「Annals of Internal Medicine」6月号に掲載された。  Siu氏によると、太極拳は非活動的な人も含め、高齢者に適した運動と考えられているものの、健康上のメリットに関するエビデンスは限られているという。同氏は、「われわれの研究は太極拳が他の運動療法よりも効果的であることを示唆するものではないが、中高年者の腹部肥満改善に有効であり、その点では従来から提唱されてきた運動療法の代替となり得ることを示している」と語っている。

米国人の間で遠隔医療の利用が拡大

 多くの米国人が遠隔医療(テレヘルス)を利用したことがあり、半数以上が、今後はメンタルヘルスケアのために遠隔医療を利用する意向であることが、米国精神医学会(APA)が新たに実施したオンライン世論調査で明らかになった。調査結果はAPAのニュースリリースで5月27日に公表された。  この調査は、APAが18歳以上の成人1,000人を対象に、2021年3月26日から4月5日にかけて実施したもの。調査の結果、遠隔医療を通じて医師や精神科医の診療を受けたことがある人の割合は、2020年の秋の31%から、今回の調査での38%に上昇していたことが判明した。利用経験者の82%は、遠隔医療を初めて利用した時期として、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの発生後」と回答した。遠隔医療での医師とのコミュニケーション手段としては、ビデオ通話(69%)が最も多く、電話通話(38%)、オーディオ機能のみでのオンライン通話(13%)が続いた。

肺がん手術の遅れは再発と死亡のリスクを高める

 早期非小細胞肺がんでは、診断後すぐに手術を行うことが、がんの再発や死亡のリスクを低下させる上で重要であるとする研究結果が報告された。米ワシントン大学医学部教授で外科医でもあるVarun Puri氏らによるこの研究結果は、「JAMA Network Open」に5月27日掲載された。  米国では、肺がんは皮膚がんに次いで2番目に多いがん種であり、がんによる死亡原因としては最も多い。肺がんは、非小細胞肺がんと小細胞肺がんに大別される。米国がん協会(ACS)によると、非小細胞肺がんは全肺がん症例の84%を占め、5年生存率は25%とされている。

AZ製ワクチン接種後の血栓症の診療の手引き・第2版/日本脳卒中学会・日本血栓止血学会

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種が始まり、全国で一般市民に対しても接種が急速に進んでいる。その一方で、2021年3月以降、アストラゼネカ社アデノウイルスベクターワクチン(商品名:バキスゼブリア)接種後に、異常な血栓性イベントおよび血小板減少症を来すことが報道され、4月に欧州医薬品庁(EMA)は「非常にまれな副反応」として記載すべき病態とした。また、ドイツとノルウェー、イギリスなどからもバキスゼブリア接種後に生じた血栓症のケースシリーズが相次いで報告され、ワクチン接種後の副反応として血小板減少を伴う血栓症が問題となった。この血栓症は、ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)と類似した病態と捉えられ、VITTやVIPITという名称が用いられた(本手引きでは血小板減少症を伴う血栓症[TTS]を用いる)が、本症の医学的に適切な名称についてはいまだ議論があるところである。

東洋人のうつ病関連因子~日本での調査

 地域コミュニティにおけるうつ病に対する効果的な対策を検討するうえで、国や文化圏において、うつ病に関連する個人的および社会経済的要因を包括的に特定する必要がある。しかし、日本および東洋諸国の中年住民を対象とした研究は、十分ではない。慶應義塾大学の吹田 晋氏らは、東洋の日本における中年住民のうつ病に関連する要因を特定するため、横断研究を行った。Medicine誌2021年5月14日号の報告。  西日本の地方自治体で生活する40~59歳のすべての地域住民を対象に、アンケート調査を実施した。アンケートには、人口統計学的特徴、心理的要因、健康関連行動、社会経済的要因に関する項目を含めた。まず、うつ病と各因子との関連を分析するため、カイ二乗検定またはフィッシャーの正確確率検定を行った。次に、うつ病と関連因子の包括的な関連を特定するため、ロジスティック回帰分析を実施した。

誕生日会のCOVID-19リスクは?

 COVID-19の蔓延阻止のための政策の多くは、職場や食事の場などの集いに対応しているが、身内の集いが感染の場として重要かもしれない。米国・ランド研究所のChristopher M. Whaley氏らは、家族の誕生日後にCOVID-19が増加するかどうか調査することにより、パーティーと新型コロナウイルス感染との関連を調べた。その結果、COVID-19有病率の高い郡の世帯では、誕生日がCOVID-19診断の増加と関連していることが示唆された。JAMA Internal Medicine誌オンライン版2021年6月21日号に掲載。

米国では夏にベビーブームが到来か

 米国では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの初期段階では低下が見られた妊娠率と出生率が、夏以降に上昇に転じる可能性のあることが、新たな研究で明らかにされた。研究論文の筆頭著者である、米ミシガン大学アナーバー校産婦人科学のMolly Stout氏は、「夏にベビーブームが到来する兆候は既に見えている」と話す。詳細は、「JAMA Network Open」に6月3日掲載された。  Stout氏らは、米ミシガン大学病院システム(ミシガン・メディシン)の電子カルテを用いて、2017年以降の妊娠に関わる全てのデータを集めて出生率を調べ、予測モデルを使って、2021年10月までの出生率を予測した。

人生の目的と健康的生活習慣に有意な関連―健康管理士対象の調査

 人生の目的がしっかりしている人ほど、日々の生活を健康的に過ごしていることが明らかになった。埼玉医科大学総合診療内科の廣岡伸隆氏らの研究によるもので、詳細は「BMC Public Health」に4月29日掲載された。著者らはこの結果から、「生活習慣が健康的であるということは、人生に明確な目的があるということでもある」と記している。  人生の目的が明確な人ほど健康リスクとなる行動を避けることが既に報告されている。しかしそれらの研究の多くは、禁煙や身体活動など、個別の習慣との関連についての調査であり、生活習慣全般を評価した研究は少ない。廣岡氏らの研究は、国民健康・栄養調査と同様の広範な質問項目によって生活習慣を総合的に評価した上で、人生の目的意識との関連を検討したもの。

COVID-19後遺障害に関する実態調査/厚生労働省

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対策として定期的に厚生労働省で開催されている「新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード」の第39回(令和3年6月16日)において、「COVID-19 後遺障害に関する実態調査(中間集計報告)等」が報告された。  本報告は、2つの中間報告と1つの最終報告で構成され、(1)中等症以上を対象としたCOVID-19の後遺障害、(2)COVID-19の長期合併症の実態把握と病態理解解明、(3)COVID-19による嗅覚、味覚障害の機序と疫学、予後の解明の3つが報告された。

関節リウマチ診療ガイドライン改訂、新導入の治療アルゴリズムとは

 2014年に初版が発刊された関節リウマチ診療ガイドライン。その後、新たな生物学的製剤やJAK阻害薬などが発売され、治療方法も大きく変遷を遂げている。今回、6年ぶりに改訂された本ガイドライン(GL)のポイントや活用法について、編集を担った針谷 正祥氏(東京女子医科大学医学部内科学講座膠原病リウマチ内科学分野)にインタビューした。  本GLは4つの章で構成されている。主軸となる第3章には治療方針と題し治療目標や治療アルゴリズム、55のクリニカルクエスチョン(CQ)と推奨が掲載。第4章では高額医療費による長期治療を余儀なくされる疾患ならではの医療経済的な側面について触れられている。

臓器移植患者、ワクチン3回接種で抗体価が大幅上昇/NEJM

 固形臓器移植を受けた患者は、新型コロナワクチンを2回接種しても免疫応答が弱いことが報告されている。そして、移植患者はワクチン2回接種後であっても感染後の重症化リスクが高いことが報告されている。これらを受け、フランス公衆衛生庁は、免疫抑制状態の患者に3回目の接種を行うことを推奨している。NEJM誌オンライン版2021年6月23日号「CORRESPONDENCE」では、3回接種した臓器移植患者の抗体価が報告された。

片頭痛日数減少に対する抗CGRP抗体の有効性~ネットワークメタ解析

 2016年のGlobal burden of disease研究によると、片頭痛は世界の一般的な疾患の第6位にランキングされており、重大な社会的および経済的な影響を及ぼす。エジプト・Fayoum UniversityのAhmed Taher Masoud氏らは、片頭痛に対する潜在的な薬理学的アプローチとしてのカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)受容体遮断薬の有効性を評価するため、システマティックレビューおよびネットワークメタ解析を実施した。Journal of the Neurological Sciences誌オンライン版2021年5月21日号の報告。

統合失調症の再発に対する抗精神病薬の減量リスク~メタ解析

 統合失調症の維持療法において抗精神病薬の減量は、副作用発現を最小限にとどめるという点で望ましい方法であると考えられるが、この戦略に対するエビデンスは十分ではない。デンマーク・University of Southern DenmarkのMikkel Hojlund氏らは、抗精神病薬の標準用量での治療と減量によるリスクとベネフィットの比較を行った。The Lancet. Psychiatry誌2021年6月号の報告。  2020年6月17日までの成人の統合失調症または統合失調感情障害患者を対象とした24週以上のランダム化比較試験をEmbase、Medline、PsycINFO、Cochrane Libraryより検索した。ベースライン時に臨床的に安定している患者および同一抗精神病薬を2回以上投与し比較した研究を含めた。初回エピソードまたは治療抵抗性統合失調症を対象とした試験は除外した。標準用量は、国際コンセンサス研究によって推奨されている治療用量の下限よりも高用量と定義した。低用量(標準用量の下限の50~99%)および超低用量(標準用量の下限の50%未満)と標準用量との比較を行った。患者数、治療、性別、年齢、イベント数、精神病理学的スコアの変化に関する文献データは、2人以上の著者により独立して抽出した。不足しているデータを収集するため、研究者またはスポンサーに電子メールで連絡した。共通の主要アウトカムは、再発およびすべての原因による中止とした。研究レベルのデータは、ランダム効果モデルを用いてメタ解析し、二値データではリスク比(RR)、連続データではHedges' gを算出した。プロトコールは、OSF registriesに登録した。

COVID-19患者を襲う脳卒中はより重症の可能性

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者は、重症の脳卒中リスクが高く、また、特に若い患者で、脳卒中全般のリスクの高いことが明らかになった。多国間COVID-19脳卒中研究グループが行ったこの研究結果は、米ガイジンガー・ヘルスシステム神経科学研究所のShima Shahjouei氏が筆頭著者となり、「Stroke」5月号に論文掲載された。  今回、Shahjouei氏らは、COVID-19患者が発症する脳卒中の種類や重症度、および患者の転帰に対する地理的要因や医療費の影響について検討した。  分析対象者は、COVID-19と脳卒中を併発した17カ国の432人で、42.4%に相当する183人が女性だった。対象者の地理的分布は、米国が114人(26.4%)、ヨーロッパが82人(19.0%)、中東が228人(52.8%)、アジアが8人(1.9%)であった。また、そのうち104人(24.1%)は55歳未満であり、105人(24.4%)は、脳卒中発症時に特定可能な血管系のリスク因子を持っていなかった。