医療一般|page:2

日本において複数のADHD治療薬を投与された小児患者の特徴

 注意欠如多動症(ADHD)は、多動性、衝動性および/または不注意の症状を呈す疾患である。日本で使用可能なADHD治療薬は、欧米諸国に比べ限られている。また、日本の臨床現場では、処方状況の評価が十分に行われていない。東京医科歯科大学の佐々木 祥乃氏らは、日本の臨床現場におけるADHD治療薬の現在の使用状況と複数のADHD治療薬を投与された患者の特徴について、調査を行った。PLOS ONE誌2021年6月3日号の報告。  対象は、2015年4月~2020年3月に国立国際医療研究センター国府台病院の児童精神科を受診した患者。メチルフェニデート徐放剤、アトモキセチン、グアンファシンを投与した患者を調査した。複数のADHD治療薬を投与された患者の特徴を評価するため、レトロスペクティブケースコントロールデザインを用いた。3つのADHD治療薬を投与された患者は、症例群として定義した。ADHDと診断された患者と年齢、性別が一致するランダムサンプリング患者を対照群として用いた。子供から親への暴力、反社会的行動、自殺企図または自傷行為、虐待歴、登校拒否、2つの心理的評価尺度(ADHD評価尺度、東京自閉行動尺度)のデータを比較した。

開業医の年収、コロナ前後でどう変化した?/会員1,000人アンケート

 コロナ禍における診療所経営の難しさについてメディアで話題になっているが、実態はどのような状況にあり、開業医の年収への影響や、とくに影響が大きい科目・地域等の傾向にはどうなっているのか。2021年7月に会員開業医(経営層)1,000人を対象にアンケートを行った。  2019年(コロナ前)と2020年(コロナ禍)の年収(役員報酬・所得)を聞いたところ、2019年では1,600万円未満とした回答者は全体の48%と半数未満に留まっていたが、2020年には56%と8ポイント上昇し、一部の層がマイナスの影響を受けたことがわかった。

花粉が新型コロナ感染を広める?

 花粉はアレルギー持ちの人を苦しめるだけでなく、新型コロナウイルスやその他の空中浮遊菌を拡散させる可能性のあることが、ニコシア大学(キプロス)のTalib Dbouk氏とDimitris Drikakis氏による研究で示された。Drikakis氏は、「われわれの知る限り、空中に浮遊する花粉の粒子が微風でどのように運ばれ、屋外にいる群衆の空気感染に寄与するかをモデリングとシミュレーションで示したのはこの研究が初めてだ」と話している。この研究の詳細は、「Physics of Fluids」に6月22日掲載された。  花粉の中にRNAウイルスの分子が検出されたことや、新型コロナウイルスの感染と花粉濃度が関連することなどは、過去の研究で報告されている。Dbouk氏らは今回、空中に浮遊する新型コロナウイルスの粒子や飛沫核(ウイルスなどを含んだ飛沫の水分が蒸発した小さな粒子)は、花粉に付着して運ばれるとの仮説を立てた。その上で、花粉により新型コロナウイルスのようなRNAウイルスの拡散がどのように促進されるのかを、最新のコンピューター技術を用いて調査することにした。

腎臓バウチャープログラムが移植希望患者の命を救う

 腎移植の世界にはジレンマがつきものだ。将来的に腎移植が必要になることが予測される若い患者に高齢の家族が腎臓を提供したいと思っていても、今すぐに移植が必要なわけではないからだ。それゆえ、家族は腎臓提供をしないままでいる。しかし、腎移植では、ドナーの供給は需要を満たしていないため、年齢や状況による絶好の移植の機会を失うことがたびたびあり、それが問題となってきた。そんな中、この問題を腎臓バウチャープログラムと呼ばれる制度により解決できる可能性のあることが、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)David Geffen医学部のJeffrey Veale氏により報告された。この研究の詳細は、「JAMA Surgery」に6月23日報告された。

スポーツ観戦でうつが抑制される可能性―日本人高齢者の横断研究

 スポーツで体を動かすとストレスが発散されることを、多くの人が体験的に理解しているだろう。しかし、スポーツをテレビで見ることも、うつ傾向の解消につながるかもしれない。日本人高齢者を対象とする研究から、その可能性が明らかになった。筑波大学体育系の辻大士氏らによる論文が5月19日、「Scientific Reports」に掲載された。  スタジアムなどでスポーツを観戦する高齢者は、主観的幸福感が高まる可能性が既に報告されている。ただし、これまで行われてきた研究は調査対象者数が少なく、またテレビでの観戦の影響はほとんど検討されていない。テレビの視聴はむしろ身体の健康に良くないとされることが多く、視聴時間を減らす啓発活動もなされている。このような状況を背景として辻氏らが行った研究は、対象者数が2万人を超えており、かつテレビやインターネットでの視聴も含めて、スポーツ観戦とうつ傾向との関連を調査している。

ペミガチニブ、FGFR2変異胆道がんに期待/インサイト

 インサイト・バイオサイエンンシズ・ジャパンは2021年7月15日、「胆道がんにおけるがんゲノム診断に基づく分子標的治療薬がもたらす新しい未来」と題したWebメディアセミナーを開催。日本胆道学会理事長の東北大学大学院 消化器外科学分野教授 海野倫明氏らが、胆道がん治療と本年発売されたFGFR2阻害薬ペミガチニブ(製品名:ペマジール)について紹介した。  胆道がんには3つの病型があるが、いずれも予後不良である。なかでも肝内胆管がんは、黄疸などの症状が現れにくく、初回診断時すでに進行した病期であることが多い。そのため、生存期間中央値13.5ヵ月と3病態のなかで、もっとも予後不良である。肝内胆管がんの罹患数は(肝臓がんの一部として集計される)、肝臓がんの6%とされる。

乳がんの新サブタイプ、HER2低発現症例の特徴/Lancet Oncol

 抗HER2抗体薬物複合体の開発により、HER2低発現の患者を含む乳がん患者に新たな治療オプションがもたらされている。この新たなサブタイプの臨床的・分子生物学的特徴は、HER2陰性乳がん患者とどのように異なるのか。ドイツ・University Hospital of Giessen and MarburgのCarsten Denkert氏らが、術前化学療法への反応や予後を含む、HER2低発現症例の特徴をHER2陰性乳がん症例と比較し、Lancet Oncology誌オンライン版2021年7月9日号に報告した。

温水洗浄便座が院内感染を媒介する可能性?

 いまや、日本の世帯の8割超が使用していると見られる温水洗浄便座。患者の清潔にも有用であるため、医療機関でも多く導入されているが、便座のウォータージェットノズルを介して多剤耐性菌が院内感染を広がるリスクを示唆する新たな研究結果が明らかになった。これは、東京医科大学病院感染制御部・感染症科准教授の中村 造氏らの研究チームが、今月、オンライン開催された第31回欧州臨床微生物学・感染症学会(ECCMID)で報告したもの。著者らは、「温水洗浄便座に関連した院内感染の報告は初めてで、感染制御に大きな影響を与える可能性がある」と述べている。

精神疾患治療薬と自動車運転能力~システマティックレビュー

 モビリティは、日常生活において重要な機能であるが、薬理学的な治療を行っている精神疾患患者では、交通安全に関する特定の課題を抱えている。ドイツ・kbo-Inn-Salzach-KlinikumのAlexander Brunnauer氏らは、精神疾患治療薬と自動車運転能力との関連を調査した。The International Journal of Neuropsychopharmacology誌オンライン版2021年5月26日号の報告。  PRISMAガイドラインに従って、PubMedより1970~2020年に公表された文献をシステマティックに検索した。主要評価項目として、交通法規に従って運転するための対象患者の適合性を推定するため、路上教習でのパフォーマンス、ドライビングシミュレータでのパフォーマンス、精神運動、視覚機能を評価した。

糖尿病患者のリスク管理向上が停滞している

 糖尿病の人々のリスクコントロールは、着実に向上してきた。ところが近年はその向上が停滞していることが、米国立心肺血液研究所の資金提供で実施された研究で明らかになった。コントロール状態をさらに改善することの根拠が得られていないことも、この背景にあると考えられるという。米ジョンズ・ホプキンス大学ブルームバーグ公衆衛生大学院のElizabeth Selvin氏らの論文が、「The New England Journal of Medicine」に6月10日掲載された。

高血圧治療とCOVID-19リスクは逆相関する―都道府県別の検討

 日本国内で高血圧治療を受けている患者数の人口比と、新型コロナウイルス陽性者の人口比とが逆相関するとのデータが報告された。国立病院機構宇多野病院脳神経内科の木下真幸子氏らが、全都道府県の状況を比較検討した結果であり、詳細は「International Journal of Infectious Diseases」に6月2日掲載された。著者らは、高血圧に対する治療が新型コロナウイルス感染に対して保護的に働いている可能性を述べている。  新型コロナウイルスはアンジオテンシン変換酵素II(ACE2)を足場として細胞内に侵入する。ACEは血圧調節にかかわっており、ACE2はACEと同族だが逆の働きを持つ。国内では高血圧の治療にACE阻害薬やアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)が多用されている。これらの降圧薬はACE2を増加させるため、パンデミック当初は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)発症や重症化リスクを高める可能性が懸念されていたが、その後に否定され現在に至っている。ただし、高血圧自体がリスクを高める可能性については議論が続いており、また日本人対象の研究報告は十分でない。

勾配の多い環境に住む高齢者はうつ傾向が強い―島根県での調査

 自宅周辺に勾配が多い環境で生活する高齢者は、うつ傾向が強い人が多いというデータが報告された。島根大学研究・学術情報本部地域包括ケア教育研究センターの安部孝文氏らが行った研究の結果であり、詳細は「International Journal of Environmental Research and Public Health」に4月24日掲載された。  自宅周辺の環境が、うつのリスクに影響を及ぼすことが近年報告されている。例えば近隣の治安の悪さは、住民のうつリスクを高めるという。ただしそれらの研究の多くは都市部で行われており、農村部での研究は少ない。日本の農村の多くは丘陵地にあり、土地の勾配が少なくない。安部氏らの研究は、このような日本の農村の特徴に着目し、島根県の高齢者を対象に、自宅周辺の勾配の多さとうつとの関連を検討した。

コロナワクチンのアナフィラキシー、患者さんに予防策を聞かれたら?

 7月に入り、新型コロナワクチン接種が65歳未満でも本格化している。厚生労働省の副反応報告1)によると、現時点では「ワクチンの接種体制に直ちに影響を与える程度の重大な懸念は認められない」との見解が示されており、アナフィラキシーやその他副反応のリスクよりも新型コロナの重症化予防/無症状感染対策というベネフィットが上回るため、12歳以上へのワクチン接種は推奨される。  しかし、接種対象者の年齢範囲が広がることで問題となるのが、SNS上での根拠のないワクチン批判である。その要因の1つが「アナフィラキシー」だが、患者自身で出来る予防策はあるのだろうかー。今回、日本アレルギー学会のCOVID-19 ワクチンに関するアナウンスメントワーキンググループのひとりである中村 陽一氏(横浜市立みなと赤十字病院アレルギーセンター センター長/)に話を聞いた。

ニルセビマブがRSウイルスの高リスク乳児に有効/第II/III相MEDLEY試験

 アストラゼネカは、RSウイルス(呼吸器合胞体ウイルス)感染の高リスク乳児を対象にニルセビマブの安全性と忍容性を評価した第II/III相のMEDLEY試験において、良好な結果を示したことを7月8日付けのプレスリリースで発表した。  ニルセビマブはアストラゼネカとサノフィにより開発中のアストラゼネカ独自の半減期延長(YTE)技術を用いた長時間作用型抗体。乳幼児に直接免疫を与え、RSウイルスに対する感染予防効果を発揮させる可能性がある。

体内で分解するペースメーカーの開発へ一歩前進

 心臓手術直後などの一時的な必要性にあわせて体内で機能した後、不要になる頃には自然に分解される心臓ペースメーカーの開発状況が報告された。米ノースウェスタン大学のJohn Rogers氏らの研究によるもので、詳細は「Nature Biotechnology」に6月28日掲載された。現在はまだ動物の生体内およびヒトの心臓組織を用いた研究であり、開発の初期段階ではあるが、研究者らは「刺激的な成果があがっている」と述べている。将来的には、数日から数週間だけペースメーカーが必要な患者の治療のあり方が変わる可能性もあるという。  ペースメーカーは、不整脈治療のために体内に留置するデバイスで、心臓の筋肉に電気的な刺激(パルス)を与えて、心臓の異常なリズムを修正する。以前から使われている恒久的な使用を前提としたペースメーカーは、パルスを発生させる装置や電池、リードと呼ばれる導線、電極などで構成され、それらを体内に留置する。

非肥満者での断続的断食の効果は摂取エネルギー制限に及ばない

 食事を摂取する日や時間帯を限定する断続的断食の人気が高まっているが、その減量効果は古くから行われている摂取エネルギー制限を上回るものではないとする研究結果が報告された。英バース大学のJames Betts氏らが行った非肥満者対象の研究結果であり、詳細は「Science Translational Medicine」に6月16日掲載された。  この研究では、異なる2タイプのレジメンによる断続的断食を行う2群と比較して、単に1日の摂取エネルギー量を25%減らした群で、3週間の介入による体重と体脂肪の減少幅が最も大きかった。また、心血管代謝リスク関連マーカーに有意差はなかった。つまり、断続的断食は減量効果に劣り、かつ減量以外の“隠れたメリット”があるというわけでもなかった。論文の上席著者であるBetts氏は、「体脂肪を減らすためには、断続的断食よりも標準的な食事療法の方が効果的なようだ」と述べている。

6割以上の人が目薬の点眼に失敗している―国内の緑内障患者で調査

 目薬(点眼薬)をしっかりさせていない人が6割以上に及ぶ可能性を示すデータが報告された。山梨大学医学部眼科の柏木賢治氏らが、緑内障患者を対象に行った研究の結果であり、詳細は「PLOS ONE」に5月24日掲載された。  緑内障は国内の視覚障害の原因の第1位であり、高齢者の増加とともにその患者数が増えている。緑内障による視覚障害を防ぐ最大のポイントは、眼圧降下薬をきちんと点眼し続けることで、誤った方法での点眼では眼圧コントロールが不十分になったり、副作用が現れやすくなる。しかし、緑内障患者がきちんと点眼できているか否かを検討した報告は少ない。

治療抵抗性統合失調症の遺伝的研究~COMTおよびGAD1遺伝子

 前頭前野におけるドパミン作動性ニューロンからガンマアミノ酪酸(GABA)介在ニューロンへの投射は、統合失調症の病因と関連している。統合失調症の臨床像に対するドパミンシグナルとGABA発現との相互作用の影響は、これまで研究されていなかった。これらの相互作用は、前頭前野の機能と密接に関連している可能性があり、関連分子との特定の対立遺伝子(遺伝的機能の低下または脆弱)を有する患者では、治療抵抗性へ移行する可能性がある。千葉大学の小暮 正信氏らは、治療抵抗性統合失調症に特有の対立遺伝子の組み合わせを調査するため、COMTおよびGAD1遺伝子に焦点を当て、遺伝子関連研究を実施した。Journal of Molecular Neuroscience誌オンライン版2021年6月14日号の報告。  対象は、治療抵抗性統合失調症群171例、非治療抵抗性統合失調症群592例、健康対照群447例。

日本での既感染者は現在何%?コロナの“今”11知識/厚労省

 9日、厚労省は「新型コロナウイルス感染症の“いま”に関する11の知識(2021年7月版)」を公表した。これは、COVID-19に関する現在の状況とこれまでに得られた科学的知見について、新たに11の知識としてQ&A形式でとりまとめたもの。主に、感染者数・病原性、感染性、検査・治療、変異株について示されている。以下に一部を抜粋して紹介する。 Q1.わが国では、どれくらいの人が新型コロナウイルス感染症と診断されていますか。 A.これまでに79万6,835人が新型コロナウイルス感染症と診断されており、これは全人口の約0.6%に相当します。※感染していても症状が現れず医療機関を受診しない人などがいるため、必ずしも感染した人すべてを表す人数ではありません。 ・Q2.新型コロナウイルス感染症と診断された人のうち、重症化する人や死亡する人はどれくらいですか。  A.重症化する割合や死亡する割合は以前と比べて低下しており、2020年6月以降に診断された人の中では、重症化する人の割合は約1.6%(50代以下で0.3%、60代以上で8.5%)、死亡する人の割合は約1.0%(50代以下で0.06%、60代以上で5.7%)となっています。

ロックダウン中のメンタルヘルスに天気は影響しない

 通常、天気が良いと気分も良くなり、逆に、嵐の日は気持ちも沈みがちだ。しかし、英国での新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行の第一波の間、天気は人々のメンタルヘルスに特段の影響を与えなかったことが明らかになった。英イースト・アングリア大学医学部のApostolos Davillas氏らによるこの研究の詳細は、「Health Economics」に6月11日掲載された。  ロックダウンにより社会生活と経済活動の抑制を余儀なくされた結果、公衆衛生上、少なくとも2つの大きな悪影響がもたらされたことは、さまざまな研究により明らかにされている。それは、ジムの閉鎖と移動制限による屋内外での運動量の減少とメンタルヘルスの悪化である。また、COVID-19パンデミックの発生前に行われた研究では、気象条件とウェルビーイングが関連することが報告されている。そこで、Davillas氏らは、英国での第一波パンデミック中(2020年3月23日の最初のロックダウン開始から2020年7月4日のロックダウン緩和までの間)の気象条件と人々のモビリティ(移動率)およびメンタルヘルスとの関連を調べることにした。