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睡眠不足にカフェインはどの程度有効か

 夜更かしした翌日をコーヒーで乗り切ろうとしても、必ずしもうまくいくわけではないようだ。コーヒーなどに含まれるカフェインの摂取により覚醒状態は維持されるものの、パフォーマンスレベルは通常より劣り、特に、難易度の高いタスクの遂行が難しくなることが、米ミシガン州立大学心理学部のKimberly Fenn氏らによる研究で明らかになった。詳細は、「Journal of Experimental Psychology: Learning, Memory, and Cognition」に5月20日掲載された。  この研究では、276人の参加者を対象に、睡眠不足が認知機能に及ぼす負の影響をカフェインによりどの程度打ち消すことができるのかを調べた。参加者の認知機能は精神運動覚醒検査(PVT)とプレイスキーピングタスクの2種類の検査で評価した。前者は、光や文字に反応してボタンを押すスピードを計測する単純な注意力検査である。後者は、所定のタスクを、途中の手順を飛ばしたり繰り返したりすることなく、特定の順序で完了させる課題で、前者よりも困難である。Fenn氏らは、参加者を夕方に研究室に集めてこれらの試験を行った後、研究室に残って徹夜をする群と自宅で眠る群にランダムに割り付けた。翌朝、再び研究室に集まった参加者全員に、カフェイン200mg〔カップ1杯(約230mL)のレギュラーコーヒーに含まれるカフェインは75〜120mg〕、またはプラセボを摂取させた上で、再度、2種類の検査を実施した。

多くの化粧品には有害物質が含まれている

 メイクは自信の源となる一方で、健康に有害となる可能性もあるようだ。米国やカナダで販売されている化粧品の多くには、有機フッ素化合物のPFAS(パーフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物)が高濃度に含まれており、深刻な健康問題を引き起こす可能性のあることが、新たな研究で明らかにされた。米Green Science Policy InstituteのTomas Bruton氏らによるこの研究結果は、「Environmental Science and Technology Letters」に6月15日掲載された。

エンパグリフロジン、HFpEFに初の有効性を確認/EMPEROR-Preserved試験

 SGLT2阻害薬エンパグリフロジンが、左室駆出率の保たれた心不全(HFpEF)患者を対象とした第III相EMPEROR-Preserved試験において、主要評価項目(心不全による心血管死または入院いずれかの最初のイベントまでの期間)を達成し、糖尿病の有無にかかわらず、HFpEF患者の心血管死または心不全による入院の複合リスクを有意に減少させたことを、ドイツ・べーリンガーインゲルハイムと米国・イーライリリーが、7月6日、プレスリリースで発表した。本試験の結果は、2021年8月の欧州心臓病学会(ESC)年次学術集会で発表される予定。

ファイザー/モデルナワクチンに心筋炎・心膜炎の注意喚起/使用上の注意改訂

 新型コロナウイルスに対するmRNAワクチン(一般名:コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン(SARSCoV-2))であるコミナティ筋注(ファイザー)とCOVID-19ワクチンモデルナ筋注(武田薬品工業)について、使用上の注意の「重要な基本的注意」の項に心筋炎および心膜炎に関する注意喚起を追記するよう、7月7日付けで改訂指示が発出された。  今回の改訂指示は、国内ではこれらのワクチンとの因果関係が否定できない心筋炎および心膜炎の副反応疑い報告はないものの、以下の状況を考慮し、専門委員の意見も踏まえ、改訂することが適切と判断されたことによる。 ・海外において、因果関係は不明であるが、これらのワクチンの接種後に心筋炎および心膜炎が報告されていること ・海外において、心筋炎および心膜炎の注意喚起がなされていること ・国内においても、因果関係は不明であるが、症例集積が認められること ・心筋炎、心膜炎が疑われる症状が認められた場合には医師の診察を受ける旨をあらかじめ被接種者に指導することが、早期発見および重症化への対処の上で重要であると考えること ・接種対象者の拡大に伴うAYA世代への接種数増加が予想されること

タンパク質の効果的な摂取方法とは?

 昨年、厚生労働省が定める「日本人の食事摂取基準」において、65歳以上のタンパク質目標摂取量が総エネルギー量の15~20%に改定された(以前は、18歳以上の全年代で13~20%)。  これを受け、6月28日に一般社団法人Jミルク主催のメディアミルクセミナーが開催され、藤田 聡氏(立命館大学 スポーツ健康科学部 教授)が「タンパク質の“質“と効果的な摂取法」をテーマに講演を行った。  加齢と共にアミノ酸から合成される筋肉量が減少する。十分な運動を行った場合でも加齢に伴う筋肉量の低下を防ぐことは難しい。筋肉量の低下は、内臓脂肪の増加やインスリン抵抗性に関与し糖尿病のリスクとなることが報告されている。また、筋肉量の低下は心疾患や死亡のリスクを高めるとの報告もある。

中国製不活化ワクチン、3~17歳に良好な安全性と免疫応答

 新型コロナワクチンの成人に対する接種が世界的に広がっているが、小児に対する有用性を検証することを目的とした臨床試験も進んでいる。中国において3~17歳の小児および青年を対象とした研究の結果が発表された。The Lancet Infectious Diseases誌オンライン版6月28日号掲載の報告。  中国・河北省にある疾病対策センターで、3~17歳の健康な小児および青年を対象に、中国Sinovac Biotech社の不活化ワクチン「CoronaVac」(WHO緊急使用リストおよび33ヵ国で承認済み)の二重盲検無作為化比較第I/II相試験を行った。

日本人反復性片頭痛患者に対するガルカネズマブの治療満足度~第II相試験

 京都・立岡神経内科の立岡 良久氏らは、反復性片頭痛の予防に対しガルカネズマブ(GMB)を投与された日本人患者の治療満足度(4~14ヵ月間の1ヵ月当たりの片頭痛日数)について、評価を行った。Neurology and Therapy誌2021年6月号の報告。  この第II相ランダム化二重盲検プラセボ対照試験では、日本の医療機関40施設において、18~65歳の片頭痛患者が登録された。対象患者は、プラセボ群230例、GMB皮下注120mg(GMB120群)115例、GMB皮下注240mg(GMB240群)114例にランダムに割り付けられ、6ヵ月間の投与を行った。治療に対する印象は、患者による重症度の改善度(PGI-S)、患者による全般印象度の改善度(PGI-I)、薬剤に対する患者の満足度質問票(PSMQ-M)を用いて評価した。PGI-Sはベースライン時および1~6ヵ月、PGI-Iは1~6ヵ月、PSMQ-Mは1および6ヵ月目に評価を行った。GMB群とプラセボ群におけるPGI-Iスコアの違い、PGI-Sスコアのベースラインからの変化、PGI-IとPSMQ-Mのポジティブな反応を評価するため、分析を行った。

抗精神病薬で治療された統合失調症患者における非アルコール性脂肪性肝疾患リスク

 統合失調症患者のメタボリックシンドローム有病率は、一般集団よりも高いことはよく知られているが、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の有病率については、あまり知られていない。下総精神医療センターの是木 明宏氏らは、抗精神病薬で治療された統合失調症患者におけるNAFLDリスクについて、調査を行った。Journal of Clinical Psychopharmacology誌オンライン版2021年6月4日号の報告。  腹部エコー検査を実施した統合失調症および統合失調感情障害患者253例の医療記録を分析した。

NTRK陽性固形がんにTRK阻害薬ラロトレクチニブ発売/バイエル

 バイエル薬品は、2021年7月7日、NTRK融合遺伝子陽性の進行・再発固形癌の治療薬として、ラロトレクチニブ(製品名:ヴァイトラックビ)を発売したと発表。  ラロトレクチニブは、NTRK遺伝子融合陽性の進行・再発の固形がん治療に特化したトロポミオシン受容体キナーゼ(TRK)阻害薬として開発された。同剤は、NTRK遺伝子融合を有する成人および小児固形がん患者に対する高い奏効割合と持続的な奏効、NTRK遺伝子融合を有する中枢神経系原発腫瘍に対する高い病勢コントロール率を示している。

COVID-19診療手引きを更新、デルタ株や後遺症などを追記/厚労省

 厚生労働省は、「新型コロナウイルス感染症 診療の手引き」について、最新の知見を踏まえて更新した「第5.1版」を作成し、6月5日付で都道府県などに周知した。最新版では、懸念される変異株の概要を更新し、インドで最初に検出された「デルタ株」について、推定される感染性や重篤度、ワクチンへの影響などが詳しく記載された。また、症状の遷延(いわゆる後遺症)について、日本国内の複数の調査(厚生労働科学特別研究事業)の中間集計報告が追記されている。  新型コロナウイルス感染症診療の手引き・第5.1版の主な改訂ポイントは以下のとおり

日本人進行乳がん患者でのアベマシクリブの安全性(MONARCH2、3)/日本乳癌学会

 ホルモン受容体陽性HER2陰性進行乳がんに対するアベマシクリブの国際共同第III相試験であるMONARCH2試験(内分泌療法既治療例におけるフルベストラントとの併用)とMONARCH3試験(1次治療における非ステロイド性アロマターゼ阻害薬との併用)で、日本人集団で多く発現した有害事象を詳細に検討した結果について、国立病院機構大阪医療センターの増田 慎三氏が第29回日本乳癌学会学術総会で発表した。  2つの試験における日本人の割合は、MONARCH2試験では14.2%(669例中95例)、MONARCH3試験では10.8%(493例中53例)であった。アベマシクリブ群でみられた有害事象において、日本人集団では下痢、好中球減少症、ALT上昇、AST上昇が比較的多く観察されている。増田氏らは、実地診療でアベマシクリブを使用する際の毒性管理に有用な情報を見いだすために、これらの有害事象について詳細に検討した。

日本における婚姻状況と認知機能との関連~富山県認知症高齢者実態調査

 敦賀市立看護大学の中堀 伸枝氏らは、日本における婚姻状況と認知症との関連について検討を行った。Psychogeriatrics誌オンライン版2021年5月25日号の報告。  分析には、富山県認知症高齢者実態調査のデータを用いた。富山県在住の65歳以上の高齢者より1,171人(サンプリング率:0.5%)をランダムに選択し、分析を行った。対象者の婚姻状況、社会経済的状況、ライフスタイル要因、生活習慣病について評価を行った。各ライフスタイル要因と病歴に対する婚姻状況のオッズ比(OR)は、ロジスティック回帰分析を用いて算出した。認知症に対する婚姻状況のORも、ロジスティック回帰分析を用いて算出した。

特定の降圧薬は記憶力の低下を緩やかにする?

 特定の種類の降圧薬を使用している高齢の高血圧患者は、年齢を重ねても記憶力が維持されやすいことが、米カリフォルニア大学アーバイン校のDaniel Nation氏らによる研究で示唆された。この研究結果は、「Hypertension」に6月21日発表された。  高血圧は認知機能の低下や認知症のリスク因子の一つとして確立されている。これに対して、厳格な血圧コントロールが、加齢に伴う記憶力や思考力の低下などの認知機能障害のリスクを低減するというエビデンスがある。例えば、2018年に報告されたSPRINT-MINDと呼ばれる臨床試験では、収縮期血圧を120mmHg以下に抑える厳格な血圧コントロールを行うと、標準的な血圧管理を行った場合と比べ、高齢の高血圧患者の軽度認知障害(MCI)リスクが19%低下することが示されている。

新型コロナ、パンデミックによる喫煙率の変化は?

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが、米国の喫煙者にさまざまな形で影響を及ぼしていることが、新たな研究で明らかにされた。それによると、ストレスで喫煙量が増えた人もいれば、感染リスク低減のために禁煙に至った人もいるようだ。米マサチューセッツ総合病院タバコ研究治療センター(TRTC)のNancy Rigotti氏らによるこの研究結果は、「Journal of General Internal Medicine」に6月7日掲載された。  Rigotti氏らは、2020年5月18日から7月16日にかけて、18歳以上の現在喫煙者および前喫煙者に対して調査への協力を依頼し、694人(平均年齢52±12歳、男性40%)から回答を得た(回答率55%)。回答者は、2種類の禁煙介入を比較検討するために、米マサチューセッツ州、ペンシルベニア州、およびテネシー州の病院で実施されている臨床試験への参加者であった。

開発が進む、汗を用いた血糖測定

 糖尿病治療のために、痛みを伴う指先穿刺による血糖測定を行っている患者は少なくない。その痛みを、汗を検体として血糖値を測定するセンサーが解消してくれるかもしれない。そのような新しい血糖測定システムの開発状況を解説した、米カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)のJoseph Wang氏らの論文が、「ACS Sensors」に4月19日掲載された。同氏は、「穿刺を必要とせず、迅速かつ簡便な測定法であり、患者のコンプライアンス改善と糖尿病管理の強化につながるもの」と期待を語っている。

世界初、がん治療用ウイルスG47Δテセルパツレブが国内承認/第一三共

 第一三共は、2021年6月11日、東京大学医科学研究所 藤堂具紀氏と共同で開発したがん治療用ウイルスG47Δテセルパツレブ(製品名:デリタクト)について、悪性神経膠腫の治療を目的とした再生医療等製品として国内で条件及び期限付承認に該当する製造販売承認を取得したと発表。  G47Δは、藤堂氏らにより創製された、がん細胞でのみ増殖可能となるよう設計された人為的三重変異を有する増殖型遺伝子組換え単純ヘルペスウイルス1型である。

ふるさと納税、最も高額な寄付金と返礼品は?/医師1,000人に聞きました

 2008年から始まった「ふるさと納税」。言葉としては定着しているようだが、実際に医師の間にはどの程度浸透しているのだろうか。今回、医師の1回あたりの最高寄付金額や申込みの多い返礼品についてアンケート調査を行った。その結果、利用率は83%、人気の返礼品は肉類であることが明らかになった。また、1回の寄付金額が100万円以上と回答したのは14人(利用者の1.7%)だった。一方、ふるさと納税を利用していない17%における大半の理由は“面倒くさい”だったが、「地元の税収を減らしたくない」「趣旨に賛同できない」などの意見も挙げられた。

アトピー性皮膚炎、黄色ブドウ球菌自家株を用いた細菌療法で重症度改善

 近年、アトピー性皮膚炎(AD)患者の皮膚マイクロバイオーム(微生物叢)に注目した研究が進んでおり、その中でも検出頻度の高い黄色ブドウ球菌(S. aureus)について、繰り返す皮膚炎症状との関連が指摘されるようになっている。  米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校のTeruaki Nakatsuji氏らは、成人11例を対象とした無作為化二重盲検試験において、AD患者の皮膚から培養したS. aureus自家株を用いた細菌療法が、S. aureusのコロニー形成を安全に減少し、疾患重症度を改善する可能性が示されたと報告した。著者は、「より大規模な研究が必要だが、S. aureusを減らすというこの個別化アプローチは、抗菌薬、免疫抑制剤、免疫モジュレーションに代わるAD患者の治療法となりうるだろう」と述べている。JAMA Dermatology誌オンライン版2021年6月16日号掲載の報告。

糖尿病+睡眠障害で早期死亡リスクが上昇

 睡眠障害と糖尿病が組み合わさると、早期死亡のリスクが大幅に上昇することを示すデータが報告された。米ノースウェスタン大学フェインバーグ医学部のKristen Knutson氏らの研究によるもので、詳細は「Journal of Sleep Research」に6月8日掲載された。論文の上席著者のKnutson氏は、「糖尿病でない人でも睡眠障害が死亡リスクの増加と関連しているが、糖尿病患者ではその関連がより強くなるようだ」と述べている。  この研究は、英国の大規模ヘルスケアデータベース「UKバイオバンク」に登録されている48万7,728人のデータを解析したもの。対象者に、「寝付くのに苦労したり、夜中に目が覚めたりするか」という質問をしたところ、「まったくない/まれにある」との回答が24.2%、「時々ある」が47.8%であり、「常にある」との睡眠障害と判定される回答が28.0%だった。睡眠障害の有無に糖尿病の有無を加えて4群にグループ分けし、平均8.9年追跡した。

菜食はCOVID-19重症化リスクを下げる?

 植物性食品中心の食習慣は、心臓病などの慢性疾患のリスクの低さと関連しているが、最新の研究から、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)罹患時の重症化リスクが低いこととも関連しているというデータが報告された。米スタンフォード病院のSara Seidelmann氏らの研究によるもので、詳細は「BMJ Nutrition Prevention & Health」に6月7日掲載された。  COVID-19パンデミック以降、食習慣とCOVID-19の罹患率や重症度との間に、何らかの関連があるのではないかとの仮説が立てられている。しかし検証はされていない。Seidelmann氏らは、欧米6カ国(米国、英国、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン)の医療従事者を対象とするWebアンケートを行い、この仮説の検証を試みた。回答者の食習慣を過去1年間の食物摂取頻度に関する質問により把握し、COVID-19の罹患状況については、感染の有無と、感染していた場合は重症度と罹病期間を質問した。