小児期ビタミンD不足で、将来のCVDリスク増

提供元:ケアネット

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公開日:2025/08/04

 

 ビタミンD不足は心血管イベントと関連するという既報があるが、小児期におけるビタミンD値低下も成人後のアテローム動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)リスク増と関連している可能性があることが、新たな研究で示唆された。フィンランド・トゥルク大学のJussi Niemela氏らによる研究はEuropean Journal of Preventive Cardiology誌オンライン版2025年4月29日号に掲載された。

 研究者らは、「若年フィンランド人における心血管リスクの前向き研究」(Young Finns study)の参加者を対象に、25-OHビタミンD濃度と従来の小児期のリスク因子(BMI、LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪、収縮期血圧、果物・野菜・魚の摂取量、身体活動、社会経済的地位、喫煙歴)を調査し、フィンランド国民全員をカバーする全国登録データベースを用いてASCVDアウトカムを追跡調査した。これらのデータから小児期のビタミンDレベルと成人発症のASCVDイベントとの関係を評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・3,516例(平均年齢10.5歳、女子50.9%)が組み入れられた。参加者が3~18歳時の1980年に採取・保存された冷凍サンプルから、25-OHビタミンDの血清濃度を測定した。ビタミンD欠乏症のカットポイントは30nmol/L未満とした。
・2018年までに95例(2.7%)が、少なくとも1回のASCVDイベントの診断を受けた。初回のイベント発生時の平均年齢は47歳だった。
・小児期のビタミンDの低レベルは、37nmol/L(調整ハザード比[aHR]:1.84)、35nmol/L(aHR:2.19)、33nmol/L(aHR:1.76)、31nmol/L(aHR:2.07)それぞれのカットポイントで、成人期のASCVDイベントのリスク増加と有意に関連していた。
・これらの結果は、従来の小児期のリスク要因の調整後、成人のビタミンDレベル調整後、ビタミンD欠乏のカットポイント30nmol/L未満を使用した場合、いずれにおいても一貫していた。

 著者らは「この結果は、約40年間の追跡調査において、小児期の25-OHビタミンD濃度が37nmol/Lに満たないことが、成人期におけるASCVDイベントと関連していることを示した。小児期の最適化されたビタミンD補給を支援することで、CVDリスクを簡単かつ費用対効果の高いかたちで軽減できる可能性がある」と記している。

(ケアネット 杉崎 真名)