2026年2月に行われたサンバイオのメディアラウンドテーブルにて、日本高次脳機能障害友の会理事長の片岡 保憲氏とサンバイオ代表取締役の森 敬太氏が、高次脳機能障害者が置かれた現状と、昨年(2025年)に成立した同支援法に対する期待について発表した。
高次脳機能障害を取り巻く課題
高次脳機能障害として国内で診断を受けている当事者数は約23万例だが、未診断者を合わせると30万〜50万例に達する可能性もあるとされる。原因の8割は脳卒中などの脳血管疾患である。
高次脳機能障害では、主に注意障害(1つのことが続けられないなど)、記憶障害(新しい記憶が覚えられないなど)、遂行機能障害(計画が立てられないなど)、社会行動障害(些細なことでイライラしたり興奮するなど)などが現れる。
これらの障害は、社会から理解を得られず、「反省しない人」「仕事ができない人」といった人格的な言葉に変換されてしまう。
高次脳機能障害に対する社会的課題として、疾患啓発の不足、医療機関と地域・福祉の連携不足、診断できる医師の不足といったものが挙げられる。
新法成立が当事者にもたらす期待
そのような中、高次脳機能障害者支援法が2025年12月に成立、2026年4月からの施行予定である。
同支援法は、国と地方公共団体に、体系的かつ計画的な支援計画の策定と、その実行状況の随時公表を義務付ける特徴的な法律であり、地域格差是正の礎となることが期待される。
従来の支援は、食事や排泄といった「やらなければ命に関わること」に偏りがちである。しかし、当事者・家族会の活動を通じて重要だと考えられるのは、旅行、趣味、スポーツ観戦といった「やらなくても命に関わらないこと」と片岡氏。同氏はまた「同支援法によって、障害があっても当事者が1人の人として人権が尊重され、暮らしたい場所で社会と繋がっていくこと、地域格差なく、障害当事者を支える仕組みが充実していくことを期待している」と訴える。
高次脳機能障害も含めた周辺情報の提供
森氏は、外傷性脳損傷に関連して条件及び期限付承認されている、ヒト(他家)骨髄由来加工間葉系幹細胞治療薬の開発試験では、脳機能障害に対する多くの問い合わせを受けていると述べる。その多くは疾患理解の不足からくるものだという。
外傷性脳損傷も高次脳機能障害の原因の1つであることから、同社が運営する外傷性脳損傷の情報サイト「TBIナビ」を通して、周辺情報を提供していきたいとしている。
(ケアネット 細田 雅之)