慢性片頭痛に対する抗CGRP抗体とCGRP受容体拮抗薬併用療法の有用性は?

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2026/03/06

 

 カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)をターゲットとした単独療法を受けている患者は、片頭痛症状への治療反応が遅延する場合がある。また、このような治療を受けている患者は、妥当な期間内に片頭痛症状の軽減がみられないこともある。一部の臨床医は、相乗効果を高めることを目的として、CGRP分子および受容体を標的とする低分子拮抗薬(SMA)とリガンドモノクローナル抗体(L-mAb)の併用療法を選択している。米国・ハワイ大学のHo Hyun Lee氏らは、相乗効果のあるSMAとL-mAbの併用療法を受けている患者におけるCGRP併用療法の安全性と有効性を、CGRP単独療法と比較するため、実臨床におけるレトロスペクティブレビューを実施した。Pain Physician誌2026年1月号の報告。

 本研究は、米国の神経内科ケアセンター1施設におけるレトロスペクティブマッチングコホート研究として実施した。2018年5月〜2024年2月にCGRP阻害薬(L-mAb[フレマネズマブ、ガルカネズマブ、eptinezumab]、SMA[ubrogepant、リメゲパント、アトゲパント]、またはL-mAbとSMAの併用)による治療を受けた18歳以上の慢性片頭痛患者90例を対象に分析を行った。本研究では、L-mAbとSMAの併用療法を受けた27例の患者と、L-mAb単独療法またはSMA単独療法を受けた63例の患者を、年齢と性別でマッチングさせ、比較した。変数は、現在の年齢、診断時年齢、性別、ボツリヌス毒素Aの使用、頭痛の頻度、持続時間、重症度、治療前および治療後3ヵ月の関連症状とした。両治療群において有害事象が記録された。すべての仮説検定は両側検定で実施し、p値<0.05で有意と判断した。

 主な結果は以下のとおり。

・CGRP単独療法では頭痛の重症度が10%減少したのに対し、CGRP併用療法では20%減少した(p=0.039)。
・CGRP併用療法を受けた患者では、頭痛日数が平均4日の減少(最大14日減少)が認められた。一方、CGRP単独療法を受けた患者では、頭痛日数の変化が認められなかったが、この結果に統計的に有意な差は認められなかった(p=0.112)。
・その他の片頭痛関連症状については、両群間で有意な差は認められなかった。
・CGRP単独療法群およびCGRP併用療法群における有害事象は軽度であり、重篤な有害事象や治療中止は報告されなかった。

 著者らは、本研究の限界として、サンプルサイズが比較的小さいこと、研究デザインがレトロスペクティブであること、新規CGRP薬が使用されていないこと、交絡因子をコントロールできないこと、患者間で少数のCGRP阻害薬が主に使用されていることなどが挙げられるとしながらも「CGRP併用療法は、有意な有害事象を引き起こすことなく、頭痛の重症度を軽減することで、片頭痛の症状コントロールを強化する可能性がある」としている。しかし「これらの知見は、より大規模なサンプルサイズを用いたランダム化プラセボ対照臨床試験によって確認する必要がある」としている。

(鷹野 敦夫)