アルツハイマー病治療薬lecanemab、病態進行を2~3年遅延/エーザイ

提供元:ケアネット

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公開日:2023/04/06

 

 エーザイは4月4日付のプレスリリースにて、同社の早期アルツハイマー病(AD)治療薬lecanemabについて、長期的な健康アウトカムへの影響をシミュレーション評価した結果が、Neurology and Therapy誌オンライン版2023年4月2日号1)に掲載されたことを発表した。本シミュレーションでは、lecanemabによる治療により、AD病態進行を既存治療よりも平均2~3年遅らせ、患者が早期AD段階に留まる期間が延長され、QOL改善の可能性が示された。また、より早期の軽度認知障害(MCI)の段階で投与を開始した場合、病態進行を遅らせる効果がより大きい可能性も明らかとなった。

 今回掲載となった論文は、2022年4月に発表された臨床第IIb相試験(201試験)の結果を用いた長期的健康アウトカムのシミュレーション評価を、臨床第III相Clarity AD試験データによってアップデートしたもので、アミロイド病理を有する早期AD患者において、標準治療群(アセチルコリンエステラーゼ阻害剤もしくはメマンチンの安定投与を含む)とlecanemab群(標準治療+lecanemab投与)の長期的臨床アウトカムが比較された。

 解析は、lecanemabの有効性と安全性を評価したClarity AD試験のデータおよび公表文献を用い、ADの自然な進行をシミュレートした、疾患シミュレーション・モデル(AD ACEモデル)に基づいている。

 主な結果は以下のとおり。

・lecanemab群では、標準治療群と比較し、軽度、中等度、高度ADへの病態進行の推定生涯リスクがそれぞれ7.5%、13.7%、8.8%減少する可能性が示された。
・lecanemab投与により約5%の患者が介護施設への入所を回避できる可能性が示された。
・標準治療群と比較して、lecanemab群では軽度ADへの進行は2.71年(標準治療群vs. lecanemab群:2.35年vs.5.06年)、中等度への進行は2.95年(同:5.69年vs.8.64年)、高度への進行は2.24年(同:8.46年vs.10.79年)遅延することが示された。
・介護施設への入所は0.60年(同:6.25年vs.6.85年)遅延することが示された。
・質調整生存年(QALY)は、標準治療群と比較して、lecanemab群では0.71QALY(同:3.68QALY vs.4.39QALY)増加した。
・ベースライン時の年齢や病態の進行度別のサブグループ解析を行った結果、より早期の軽度認知障害(MCI)の段階で投与を開始した場合、病態進行を遅らせる効果がより大きい可能性が明らかとなった。lecanemab群では標準治療群と比較して、軽度への進行が2.55年(同:2.46年vs.5.01年)、中等度への進行は3.15年(同:6.02年vs.9.17年)遅延した。

質調整生存年(QALY)は、健康アウトカムの価値を示す指標で、生存年(=量)と生命の質(QOL)を1つの指標数値にまとめたもの(QALY=QOLスコア×生存年)。1QALYは、完全に健康な状態での1年間に相当。

(ケアネット 古賀 公子)