移植の予後に、筋肉の「質」が影響する可能性/京都大学

提供元:ケアネット

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公開日:2022/07/15

 

 造血器腫瘍治療で行われる同種造血幹細胞移植(allo-HSCT)において、患者の筋肉の質及び量が移植後の予後に関係する可能性があるという。京都大学の濱田 涼太氏らによる本研究と結果はTransplantation and Cellular Therapy誌オンライン版2022年6月19日号に掲載され、京都大学は7月12日にプレスリリースを発表した。

 骨格筋量の減少は、移植後の生存に影響を及ぼすことが複数の研究グループから報告されているが、このような骨格筋量の減少はコンピュータ断層撮影(CT)などを用いて評価されるため、脂肪変性が進行した「質の悪い」骨格筋においては骨格筋量が過大評価されてしまい、正確な評価が出来ていない可能性があるという。

 研究者らは、京都大学医学部附属病院で実施された同種造血幹細胞移植後の患者186例のデータを用いて、大腰筋の臍の高さの断面積と平均CT値から算出される大腰筋質量指数(PMI)とX線画像密度(RD)を用いて、それぞれ筋肉の量と質を判断した。

 主な結果は以下のとおり。

・17~68歳(中央値49)の成人患者186例を対象に 、同じ性・年齢群の中で最も低い四分位値(下位 25%)の患者を低 PMI 群と低 RD 群に割り付けた。46例(24.7%)が低PMI群に、49例(26.3%)が低RD群に割り付けられた。
・初診からallo-HSCTまでの経過期間中央値は7ヵ月(範囲:2~46ヵ月)、95%の患者がECOG-PS(0-1)良好であった。
・低RDは、移植後の非再発死亡率増加の有意な因子であった(調整後ハザード比[HR]:2.54、95%信頼区間[CI]:1.42~4.51、p <0.01)。また、移植前の6分間歩行距離(6MWD)の減少が存在している場合、非再発死亡率が複合的に増加した(HR:0.97、95%CI:0.96~0.99、p=0.01)。
・一方で、低PMIと全生存率に有意な関連は見出されなかった。

 著者らは「多くの患者は移植前に集中的な化学療法を受けており、その結果、移植時にはがん性悪液質状態になっているケースが多い。我々のデータはRDによって評価される筋肉の質は長期予後のマーカーとなり得ること、そして従来から使用されている筋肉量マーカー(PMI)よりも感度が高いことを示すものであった。リハビリテーションと栄養を含む集学的アプローチにより、筋肉の量だけでなく質を改善することが、同種造血幹細胞移植の予後を改善する可能性がある」としている。

(ケアネット 杉崎 真名)