日本における婚姻状況と認知機能との関連~富山県認知症高齢者実態調査

提供元:ケアネット

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公開日:2021/07/08

 

 敦賀市立看護大学の中堀 伸枝氏らは、日本における婚姻状況と認知症との関連について検討を行った。Psychogeriatrics誌オンライン版2021年5月25日号の報告。

 分析には、富山県認知症高齢者実態調査のデータを用いた。富山県在住の65歳以上の高齢者より1,171人(サンプリング率:0.5%)をランダムに選択し、分析を行った。対象者の婚姻状況、社会経済的状況、ライフスタイル要因、生活習慣病について評価を行った。各ライフスタイル要因と病歴に対する婚姻状況のオッズ比(OR)は、ロジスティック回帰分析を用いて算出した。認知症に対する婚姻状況のORも、ロジスティック回帰分析を用いて算出した。

 主な結果は以下のとおり。

・認知症の有病率は、既婚者で7.4%、未婚者で20.6%であった。
・未婚者は、既婚者よりも、脳卒中歴が有意に高かった。
・年齢、性別で調整した認知症に対する婚姻状況のORは、既婚者と比較し、未婚者で1.99(95%信頼区間[CI]:1.24~3.18)であった。
・変量で調整した後、認知症のORは、未婚者のほうが高かった(調整OR:1.71、95%CI:1.03~2.85)。

 著者らは「日本人高齢者において未婚状態は、社会経済的、ライフスタイル、生活習慣病関連要因で調整した後でも、認知症の独立したリスク因子であった。未婚高齢者は、脳卒中歴を有している割合が高く、認知症リスクの上昇が認められた」としている。

(鷹野 敦夫)