診療所の後継者は自分で育てる!が失敗してしまう理由とは?【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第16回

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公開日:2021/04/26

医業承継

診療所を売買する「医業承継」。売る側は後継者と譲渡金が手に入り、買う側は集患の手間なく初期費用も減って…、といいことづくしのようですが、実はあちこちに落とし穴が!最低限の知識をマンガで解説。

登場人物紹介

ひつじ先生

ひつじ先生

43歳。専門は消化器内科で大阪の100床規模の病院で勤務中。父親も医師で地方で開業している。そろそろ自分も独立して開業しようかなーと思いつつ、思い切れず、妻に尻を叩かれている。私立中学に通う1人息子がいる。

ひつじ先生

ひつじ先生

43歳。専門は消化器内科で大阪の100床規模の病院で勤務中。父親も医師で地方で開業している。そろそろ自分も独立して開業しようかなーと思いつつ、思い切れず、妻に尻を叩かれている。私立中学に通う1人息子がいる。

ヤギ先生

ヤギ先生

72歳。専門は整形外科で地方都市でクリニックを開業して30年を迎えた。患者やスタッフから慕われ、経営は順調だが、そろそろ体力が厳しく、引退を考えるように。子供たちは医師だが承継の意志はなく、設備と患者を誰かに引き継いでもらえないかと考え中。

ヤギ先生

ヤギ先生

72歳。専門は整形外科で地方都市でクリニックを開業して30年を迎えた。患者やスタッフから慕われ、経営は順調だが、そろそろ体力が厳しく、引退を考えるように。子供たちは医師だが承継の意志はなく、設備と患者を誰かに引き継いでもらえないかと考え中。

第16回 診療所の後継者は自分で育てる!が失敗してしまう理由とは?

漫画・イラスト:かたぎりもとこ

医業承継で承継するパターンには、前回もお伝えしたように

  • (1)親子間で承継するパターン
  • (2)従業員へ承継するパターン
  • (3)第三者へ承継するパターン

があります。今回は、(2)の従業員への承継について解説します。

従業員への承継と聞くと、「雇った人にお願いするのだから簡単では?」と思われる方がいますが、これは大きな間違いです。従業員への承継は簡単なようでいて難易度が高いのです。なぜでしょうか?

従業員への承継を行う際には、下記のようなプロセスが必要となります。

  • (1)承継者候補として採用を行う
  • (2)一定期間、売り手の院長と承継者候補が一緒に働く
  • (3)承継に当たっての条件と期日を決める
  • (4)承継を行う

実は、上記のプロセスそれぞれに障壁が存在するのです。

(1)承継者候補として採用を行う

承継者候補を採用する場合は、必ずお金の話がセットになります。その後を引き継いでもらうわけですから、自院の資産状況や院長の年収なども明らかにする必要があります。ですが、従業員である承継者候補に財務状況をすべて明かすのは抵抗があるでしょう。利益額によっては、給与交渉の根拠になる可能性もあります。機密保持契約などを締結していない場合は、こうした重要情報を口外されるリスクもあります。

(2)一定期間、売り手の院長と承継者候補が一緒に働く

ここが最大の難関です。承継を結婚に置き換えてみるとわかりやすいですが、生活環境や時間を多く共にするほど相手への理解が深まりつつも、同時にささいなことで衝突することも増えるでしょう。当初は仲良くやれていても、慣れてきたころに衝突が増え、破談となるケースが非常に多いのです。

(3)承継に当たっての条件と期日を決める

(1)の段階で承継の大まかな内容に合意していても、数年後の実際の引き継ぎ時には、財務諸表の数値が大きく変わっていることもあります。こうした場合は、再度、現在の財務諸表を基に譲渡条件を決定しますが、距離が近い人同士の交渉となり、非常に難航することが多いのです。

上記のような障壁が背景となって、診療所に限らず、一般の事業会社においても従業員への承継が成功するケースは非常にまれです。それでも従業員への承継を希望される場合は、慎重に、また強い決意で推進する必要があるでしょう。

医業承継とは?

医業承継とは、診療所を開業するとき、既存の診療所の事業を引き継いで開業することです。

買い手からすると、施設や医療機器がそろっているため、開業に当たっての初期費用を数千万円単位で節約することができ、既存の患者さんの来院も見込めるため、経営が安定します。

売り手からすると、自院の施設や設備を無駄にすることなく、譲渡金を得ることができ、かつ患者さんを引き継げる安心感があります。

医業承継の大まかな流れは以下のとおりです。

医業承継の基本の流れと要する期間

ケアネット医業承継チーム

ケアネットでは2020年に医業承継チームが発足しました。業界経験の長い2人の女性メンバーと男性メンバー1人で構成。3人で合計100件超の成約実績があります。

ケアネットの医業承継事業の特長

ケアネットの会員医師22万人(2023年10月現在)の中から最適な候補者を紹介します。

これから開業したい医師や、すでに開業している理事長、いずれとの接点も豊富にあるため、希望の条件に沿った相手探しが可能です。

医業承継という業界の歴史は浅く、未経験のアドバイザーも多い業界ですが、ケアネットには業界経験5年以上のスタッフが複数在籍しています(全メンバーで計100件超の成約実績あり)。

事業者の中には、着手金や相談料が発生する場合もありますが、ケアネットの医業承継事業は成功報酬型で医業承継を支援します。

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