早めに動かないと売れ残る!「ヤバい診療所」のパターン2つ【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第19回

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公開日:2021/06/14

医業承継

診療所を売買する「医業承継」。売る側は後継者と譲渡金が手に入り、買う側は集患の手間なく初期費用も減って…、といいことづくしのようですが、実はあちこちに落とし穴が!最低限の知識をマンガで解説。

登場人物紹介

ひつじ先生

ひつじ先生

43歳。専門は消化器内科で大阪の100床規模の病院で勤務中。父親も医師で地方で開業している。そろそろ自分も独立して開業しようかなーと思いつつ、思い切れず、妻に尻を叩かれている。私立中学に通う1人息子がいる。

ひつじ先生

ひつじ先生

43歳。専門は消化器内科で大阪の100床規模の病院で勤務中。父親も医師で地方で開業している。そろそろ自分も独立して開業しようかなーと思いつつ、思い切れず、妻に尻を叩かれている。私立中学に通う1人息子がいる。

ヤギ先生

ヤギ先生

72歳。専門は整形外科で地方都市でクリニックを開業して30年を迎えた。患者やスタッフから慕われ、経営は順調だが、そろそろ体力が厳しく、引退を考えるように。子供たちは医師だが承継の意志はなく、設備と患者を誰かに引き継いでもらえないかと考え中。

ヤギ先生

ヤギ先生

72歳。専門は整形外科で地方都市でクリニックを開業して30年を迎えた。患者やスタッフから慕われ、経営は順調だが、そろそろ体力が厳しく、引退を考えるように。子供たちは医師だが承継の意志はなく、設備と患者を誰かに引き継いでもらえないかと考え中。

第19回 早めに動かないと売れ残る!「ヤバい診療所」のパターン2つ

漫画・イラスト:かたぎりもとこ

高齢の開業医にとって、医業承継はいわゆる「終活」を連想させる取り組みでもあり、なかなか前向きに取り組めない方も多いかもしれません。

しかし、だからこそ、きちんと早期に準備をしたうえで、有利な条件で承継できるタイミングを選ぶことが重要なのです。

とくに下記のようなケースは、患者数を維持できているフェーズでの承継が望ましいでしょう。

  • (1)土地建物を自己所有、かつ土地が広く建物が大きい
  • (2)少子高齢化・過疎化が全国平均よりも早く進むエリアに位置する

(1)土地建物を自己所有、かつ土地が広く建物が大きい

患者数が多く、売り上げが立つからこそ、広い診療所を維持・運営することが見合うわけです。しかし、承継案件でよくあるのが、以前は有床診療所だったのが、医師の高齢化と共に規模を縮小し、現在は無床(外来のみ)で、3階建ての建物のうち1階部分しか使っていない、といったケースです。買い手が建物全部を活用する開業プランを持っていればよいですが、最初からそうした大掛かりな開業プランを持つ方はまれです。無床診療所を開業しようと考える医師から見れば、活用できていないスペースが大きいほど余計な固定費がかかることになり、案件自体がマイナスイメージとなって承継が成立する確率が大きく下がってしまうのです。

(2)少子高齢化・過疎化が全国平均よりも早く進むエリアに位置する

将来的に患者数が増えることが見込めないエリアでは承継成立の確率が下がる、ということは理解しやすいでしょう。診療所経営における「集患対策」の手法は限られます。一般企業であれば広告を打つなどさまざまなマーケティング手法が使えますが、診療所経営では規制が多く、診療報酬制度のために価格競争にも限界があります。よって「どのエリアで開業するか」という点が最も重要になるのです。こうした前提に立つと、患者数が他エリアよりも早く減少する可能性があり、かつ、すでに患者が少ない診療所を承継するのは買い手にとって非合理な判断になるのです。

上記のような不利な条件で開業されている方は、自分の体力・気力を見ながら承継を検討し始めるのではなく、早くから準備を進め、経営権を先に譲渡したうえで譲渡後も非常勤として勤務する、といった手段を取ることで、医業承継成立の確率を上げつつ、体力や希望に沿った働き方ができるでしょう。

医業承継とは?

医業承継とは、診療所を開業するとき、既存の診療所の事業を引き継いで開業することです。

買い手からすると、施設や医療機器がそろっているため、開業に当たっての初期費用を数千万円単位で節約することができ、既存の患者さんの来院も見込めるため、経営が安定します。

売り手からすると、自院の施設や設備を無駄にすることなく、譲渡金を得ることができ、かつ患者さんを引き継げる安心感があります。

医業承継の大まかな流れは以下のとおりです。

医業承継の基本の流れと要する期間

ケアネット医業承継チーム

ケアネットでは2020年に医業承継チームが発足しました。業界経験の長い2人の女性メンバーと男性メンバー1人で構成。3人で合計100件超の成約実績があります。

ケアネットの医業承継事業の特長

ケアネットの会員医師22万人(2023年10月現在)の中から最適な候補者を紹介します。

これから開業したい医師や、すでに開業している理事長、いずれとの接点も豊富にあるため、希望の条件に沿った相手探しが可能です。

医業承継という業界の歴史は浅く、未経験のアドバイザーも多い業界ですが、ケアネットには業界経験5年以上のスタッフが複数在籍しています(全メンバーで計100件超の成約実績あり)。

事業者の中には、着手金や相談料が発生する場合もありますが、ケアネットの医業承継事業は成功報酬型で医業承継を支援します。

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