ロシアの新型コロナワクチン、第I/II相試験で抗体陽転率100%/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2020/09/14

 

 ロシアのGamaleya National Research Centre for Epidemiology and Microbiologyで開発されている新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチンの第I/II相試験の結果が、Lancet誌オンライン版2020年9月4日号に掲載された。本ワクチンは、組換えアデノウイルス血清型26(rAd26)ベクターおよび組換えアデノウイルス血清型5(rAd5)ベクターに、SARS-CoV-2のスパイク糖タンパク質の遺伝子をそれぞれ組み込んだ2つの成分(rAd26-SおよびrAd5-S)から成り、凍結および凍結乾燥の2つの製剤が開発されている。著者のDenis Y. Logunov氏らは、本試験の結果から、2製剤とも安全性が高く、強い液性および細胞性免疫反応が誘導されたと結論している。

 今回報告された試験は、2製剤の安全性と免疫原性を評価するためにロシアの2病院で実施された非盲検非無作為化第I/II相試験。対象は18〜60歳の健康成人ボランティアの男女。それぞれの第I相試験では、0日目にrAd26-SまたはrAd5-Sを筋肉内接種し、安全性を28日間評価した。第II相試験では、0日目にrAd26-S、21日目にrAd5-Sを筋肉内接種するというプライムブーストワクチン接種を行った。主要評価項目は、抗原特異的な液性免疫(0、14、21、28、42日目にSARS-CoV-2特異的抗体をELISAで測定)および安全性(試験中に有害事象が発現した人数)、副次評価項目は、抗原特異的な細胞性免疫(T細胞応答およびインターフェロン-γ濃度)と中和抗体の変化(SARS-CoV-2中和アッセイで検出)であった。

 主な結果は以下のとおり。

・2020年6月18日~8月3日に、2つの試験に76人の参加者を登録した(各試験38人)。各試験において、第I相試験で9人にrAd26-S、9人にrAd5-Sを接種し、第II相試験で20人にrAd26-SとrAd5-Sを接種した。
・どちらのワクチン製剤も安全で忍容性も良好であった。
・主な有害事象は、接種部位の痛み(44例、58%)、体温上昇(38例、50%)、頭痛(32例、42%)、無力症(21例、28%)、筋肉と関節の痛み(18人、24%)で、ほとんどの有害事象は軽度であり、重大な有害事象は認められなかった。
・参加者全員にSARS-CoV-2糖タンパク質に対する抗体が産生された。
・42日目において、受容体結合ドメイン特異的IgGの幾何平均抗体価(GMT)が凍結製剤14,703、凍結乾燥製剤11,143、また中和抗体のGMTが凍結製剤49.25、凍結乾燥製剤45.95で、どちらも抗体陽転率は100%であった。
・細胞性免疫反応は28日目に参加者全員に認められた。

(ケアネット 金沢 浩子)