開業or離婚!?人生の分かれ道は夫婦の分かれ道【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第9回

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公開日:2021/01/11

医業承継

診療所を売買する「医業承継」。売る側は後継者と譲渡金が手に入り、買う側は集患の手間なく初期費用も減って…、といいことづくしのようですが、実はあちこちに落とし穴が!最低限の知識をマンガで解説。

登場人物紹介

ひつじ先生

ひつじ先生

43歳。専門は消化器内科で大阪の100床規模の病院で勤務中。父親も医師で地方で開業している。そろそろ自分も独立して開業しようかなーと思いつつ、思い切れず、妻に尻を叩かれている。私立中学に通う1人息子がいる。

ひつじ先生

ひつじ先生

43歳。専門は消化器内科で大阪の100床規模の病院で勤務中。父親も医師で地方で開業している。そろそろ自分も独立して開業しようかなーと思いつつ、思い切れず、妻に尻を叩かれている。私立中学に通う1人息子がいる。

ヤギ先生

ヤギ先生

72歳。専門は整形外科で地方都市でクリニックを開業して30年を迎えた。患者やスタッフから慕われ、経営は順調だが、そろそろ体力が厳しく、引退を考えるように。子供たちは医師だが承継の意志はなく、設備と患者を誰かに引き継いでもらえないかと考え中。

ヤギ先生

ヤギ先生

72歳。専門は整形外科で地方都市でクリニックを開業して30年を迎えた。患者やスタッフから慕われ、経営は順調だが、そろそろ体力が厳しく、引退を考えるように。子供たちは医師だが承継の意志はなく、設備と患者を誰かに引き継いでもらえないかと考え中。

第9回 開業or離婚!? 人生の分かれ道は夫婦の分かれ道

漫画・イラスト:かたぎりもとこ

開業するに当たって「タイミング」は非常に重要です。医師会の調査によると、新規開業の場合、開業する医師の平均年齢は41.3歳であることがわかっています1)。開業タイミングに影響するライフイベントや制約条件としては、主に以下の5つがあるでしょう。

  • (1)出産/育児
  • (2)介護
  • (3)教育費
  • (4)融資の可否
  • (5)売り手側の希望(承継開業の場合)

(1)は今回の例にもあるように、配偶者や自分の出産/育児のタイミングに開業するというケースです。開業したいと考えていたものの、想像以上に育児に時間がとられることがわかり、開業を断念するという方もいます。

(2)も育児と同様に、介護によってプライベートに大きな負担が発生することが理解しやすいでしょう。

(3)の教育費については、子供が成長するにつれ、子供の進路が開業に影響してくることがあります。とくに医師の場合は「子供も医師にしたい」と考える方も多く、私立大学の医学部を目指すとなれば、進学準備や学費に潤沢なキャッシュが必要となります。新規開業の場合は開業して2年程度は勤務医よりも年収が下がる可能性が高く、状況によっては開業を断念せざるを得ない方もいます。

(4)の融資の可否はさらにシビアな問題です。もちろん、自分の貯蓄を活用して開業する分には問題にはなりませんが、新規開業では7,000万円程度の初期費用が必要となり、融資の利用を検討される方も多くいます。弊社データでは開業時に90%以上の方が融資を受けており、融資先としては地銀からが60%以上となっています。住宅ローン等と同様に、年齢が上がるにつれて、融資の審査は厳しくなります。承継しての開業であれば、新規開業よりも初期費用が抑えられ、かつ旧院長(売り手)のこれまでの財務実績があるため事業計画を立てやすく、融資を受ける際の説明も通りやすくなります。

(5)承継開業の場合には、売り手の院長は「できれば長く医院を運営してくれる人に譲りたい」と考えることが多く、買い手側の医師の年齢がネックとなって譲渡希望者に選ばれない、というケースが散見します。逆に、30代など若い医師の場合も、売り手側が不安を感じて選ばれない、というケースがあります。「年齢」という、どうにもならない要素によって開業の可否が決まるケースがあることも、また事実なのです。

こうして見ていくと「完璧なタイミング」というものは、ほぼ存在しないことがわかります。どの方も何かしらの困難や不安を抱えつつ、決断し、開業するのです。

参考

  • 1)日本医師会総合政策研究機構. ワーキングペーパー 開業動機と開業医(開設者)の実情に関するアンケート調査. 2009年

医業承継とは?

医業承継とは、診療所を開業するとき、既存の診療所の事業を引き継いで開業することです。

買い手からすると、施設や医療機器がそろっているため、開業に当たっての初期費用を数千万円単位で節約することができ、既存の患者さんの来院も見込めるため、経営が安定します。

売り手からすると、自院の施設や設備を無駄にすることなく、譲渡金を得ることができ、かつ患者さんを引き継げる安心感があります。

医業承継の大まかな流れは以下のとおりです。

医業承継の基本の流れと要する期間

ケアネット医業承継チーム

ケアネットでは2020年に医業承継チームが発足しました。業界経験の長い2人の女性メンバーと男性メンバー1人で構成。3人で合計100件超の成約実績があります。

ケアネットの医業承継事業の特長

ケアネットの会員医師22万人(2023年10月現在)の中から最適な候補者を紹介します。

これから開業したい医師や、すでに開業している理事長、いずれとの接点も豊富にあるため、希望の条件に沿った相手探しが可能です。

医業承継という業界の歴史は浅く、未経験のアドバイザーも多い業界ですが、ケアネットには業界経験5年以上のスタッフが複数在籍しています(全メンバーで計100件超の成約実績あり)。

事業者の中には、着手金や相談料が発生する場合もありますが、ケアネットの医業承継事業は成功報酬型で医業承継を支援します。

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