SSRI治療抵抗性うつ病に対するボルチオキセチン補助療法

提供元:ケアネット

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公開日:2020/05/07

 

 うつ病の治療において、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)は基本となる。しかし、SSRIでは治療反応が得られないこともあり、多くの場合、併用戦略が必要となる。イタリア・University "G. D'Annunzio" ChietiのDomenico De Berardis氏らは、SSRI治療抵抗性うつ病患者に対する併用療法としてのボルチオキセチンの有効性を評価した。Revista Brasileira de Psiquiatria誌オンライン版2020年3月9日号の報告。

 8週間以上のSSRI治療で治療反応が得られなかった外来の成人うつ病患者36例を対象とし、レトロスペクティブにレビューした。対象患者に対し、現在のSSRIにボルチオキセチン(5~20mg/日)を追加し、8週間の治療を行った。主要アウトカムは、ハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)合計スコアのベースラインからの変化量と治療反応率(HAM-Dスコアの50%以上減少およびエンドポイントでの臨床全般印象度の改善度[CGI-I]スコアが1または2)とした。HAM-Dスコア7以下を寛解と定義した。追加アウトカムの指標は、Snaith-Hamilton Pleasure Scale(SHAPS)、Scale for Suicide Ideation(SSI)とした。

 主な結果は以下のとおり。

・8週間の治療を完了した患者は32例であった。
・8週間後、HAM-Dスコアの有意な減少が認められた(p≦0.001)。
・治療反応率は41.7%、寛解率は33.3%であった。
・SHAPSおよびSSIの有意な減少も認められた(各々p≦0.001)。

 著者らは「本研究は、サンプルサイズが小さく、無作為化および対照研究ではなく、レトロスペクティブデザインであることを考慮する必要がある」としながらも、「治療抵抗性うつ病に対する最初の治療として、ボルチオキセチン補助療法は有用性および忍容性が高いと考えられる」としている。

(鷹野 敦夫)