介護施設心停止の救急搬送で救命できる条件は/新潟医療福祉大

提供元:ケアネット

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公開日:2026/03/12

 

 介護施設における院外心停止では、「心停止前通報(pre-arrest call)」と「心停止後通報(post-arrest call)」の違いが、その場に居合わせた人(バイスタンダー)による心肺蘇生や生存率にどのように影響するのかは不明なことが多い。このテーマについて、新潟医療福祉大学大学院救急救命学分野の外山 元氏らの研究グループは、介護施設で発生した院外心停止約2万7千例を解析した。その結果、「119通報のタイミング」や「発生時間帯」が救命に影響する可能性が示された。この結果はScientific Reports誌2026年2月9日号に掲載された。

119通報後のフォローと夜勤体制が生存率に影響

 研究グループは、介護施設で発生した「65歳以上・目撃あり・推定心原性の院外心停止」を条件に2万7,222例を解析する全国後ろ向きコホート研究を2017~22年に行った。

 心停止目撃時刻が通報時刻より後のものを“pre-arrest call”、目撃時刻が通報時刻と同時またはそれ以前のものを“post-arrest call”と定義し、主要評価項目を1ヵ月生存率、副次評価項目をバイスタンダーによる心肺蘇生の実施率として検討した(傾向スコアマッチングおよびロジスティック回帰分析)。

 主な結果は以下のとおり。

・全体の39.6%(1万789例)がpre-arrest callだった。
・その一方で、バイスタンダーによる心肺蘇生の実施率はpre-arrest callで有意に低く(43.3%)、post-arrest call(84.4%)より大きく下回った。
・1ヵ月生存率は日中が最も高く(8.0%)、夜間が最も低い(3.3%)ことが示された。
・多変量解析では、夜間発生(調整オッズ比0.44)とpre-arrest call(0.78)が、それぞれ独立して生存率低下と関連した。

 この結果から研究グループは、「介護施設の心停止対応において、早期の救急要請だけでは転帰改善に十分でない可能性を示した。通報後も継続して消防指令員による口頭指導を受けられる運用と、夜勤帯の体制強化が、救命率向上の鍵となる可能性がある。心停止例では早期119番通報が重要と考えられがちだが、介護施設では通報のタイミングや夜間帯であることが救命に影響する可能性が示された。今後は、夜勤帯でも確実に心肺蘇生が開始される体制整備や、通報後の継続的な口頭指導を現場で実装できる仕組みの検討を進め、介護施設における心停止の転帰改善につなげたい」と示している。

(ケアネット 稲川 進)