治療抵抗性統合失調症に対する電気けいれん療法とクロザピンとの併用

提供元:ケアネット

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公開日:2018/10/29

 

 韓国・Dongguk University International HospitalのJung Hyun Kim氏らは、統合失調症患者に対するクロザピンと電気けいれん療法(ECT)との併用療法の有効性および忍容性について調査を行った。Psychiatry Investigation誌2018年8月号の報告。

 電子カルテ(Electronic Medical Record)より、5年間のクロザピン治療を行った統合失調症患者を抽出した。精神症状に対する急性期ECTの臨床効果を調査した。また、ECTの維持療法を必要とする予測変数の同定も試みた。

 主な結果は以下のとおり。

・抽出された統合失調症患者の内訳は、クロザピンとECTの併用療法群14例、クロザピン単独療法群16例であった。
・クロザピン治療抵抗性統合失調症患者に対するECT併用療法は、PANSS総スコアを19.0±9.9点減少させた。減少率は、18.5±8.3%であった。
・PANSSスコア20%減少として定義された臨床的寛解は、42.9%で認められた。
・サブスケール因子は有意な減少が認められ、なかでも陰性症状が最も減少していた。
・維持ECTの有無について、患者間の人口統計的および臨床的情報に差異はなく、クロザピンを継続する場合には、すべての患者が維持 ECTを必要とすることはなかった。

 著者らは「クロザピン治療抵抗性統合失調症患者に対するECT併用療法は、精神症状の迅速かつ十分な減少をもたらした。ECTの有効性および忍容性を改善するためには、さらなる研究が必要とされる」としている。

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(鷹野 敦夫)