日本語でわかる最新の海外医学論文|page:954

乳がん、大腸がん検診、予防効果を得るまで約10年を要する/BMJ

 マンモグラフィによる乳がん検診や、便潜血検査による大腸がん検診では、受診者1,000人当たり1例の死亡を予防するのに約10年を要することが、米国カリフォルニア大学サンフランシスコ校のSei J Lee氏らの検討で示された。欧米のガイドラインでは、がん検診はより健康的でより高齢の集団を対象とするよう推奨されているが、検診による害に対しベネフィットを得るには時間を要する。乳がんや大腸がんの検診が生存ベネフィットをもたらすのに要する時間差はこれまで明らかでなかった。BMJ誌2013年1月13日号(オンライン版1月8日号)掲載の報告。

ピロリ菌除菌、4剤逐次投与が3剤併用投与よりも良好/Lancet

 プロトンポンプ阻害薬(PPI)と抗菌薬を用いたピロリ菌(Helicobacter pylori)の1st-line治療では、標準的な3剤併用投与よりも、4剤の逐次投与のほうが除菌率が有意に良好なことが、国立台湾大学病院のJyh-Ming Liou氏ら「Taiwan Helicobacter Consortium」の検討で示された。ピロリ菌は消化性潰瘍や胃がんの主要原因だが、多くの国では標準的な3剤併用投与の除菌率は80%に満たないという。除菌率の向上のために、投与期間の延長、4剤併用レジメン、レボフロキサシンなど新規抗菌薬の導入などの治療戦略が提案されてきた。Lancet誌2013年1月19日号(オンライン版2012年11月16日号)掲載の報告。

人工膝関節全置換術では膝蓋骨置換を行ったほうが再手術率は低い

 人工膝関節全置換術において、膝蓋骨を置換するべきか否かはいまだ議論の的であるが、メタアナリシスの結果、膝蓋骨置換術を受けた患者と受けなかった患者とでは膝前方痛の発生率および患者満足率は同等であったものの、膝蓋骨置換術を受けた患者では追加の外科的治療が有意に少ないことが明らかになった。

うつ病の治療転帰を予測するには、臨床的要因 < 社会経済的要因

 大うつ病性障害(MDD)において、治療転帰に関わる多くの予後因子が知られているが、いずれも単独では予後予測能に限界がある。米国・カリフォルニア大学のFelipe A. Jain氏らは、MDDの治療転帰に関する予測因子について検討した。その結果、社会経済的要因が、臨床的要因と比べ、より強力に治療転帰を予測しうること、また複数の因子を組み合わせたプロファイルが各因子単独よりも強力な予測因子であることを報告した。Depression and Anxiety誌オンライン版2013年1月3日号の掲載報告。

産業化の進展で精神疾患疑い例倍増、失業、離婚、自殺も増加/Lancet

 台湾(人口約2,300万人)では、1990~2010年までの20年間に、産業化の進展にともなって「頻度の高い精神障害(common mental disorder:CMD)」の疑い例が倍増し、並行して全国的に失業率、離婚率、自殺率が増加したことが、台湾・中央研究院(Academia Sinica)のTiffany Szu-Ting Fu氏らの調査で示された。マクロ社会の変動は精神的健康に影響を及ぼす可能性がある。CMDは、一般集団におけるほとんどの非精神病性障害、うつ状態、不安障害を含む広範な診断カテゴリーで、WHOによればうつ状態は2020年までに、障害調整生存年(DALY)の主要因になると予測されるという。Lancet誌2013年1月19日号(オンライン版2012年11月12日号)掲載の報告。

HIV初感染への48週間抗レトロウイルス療法の効果は?/NEJM

 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)初感染(primary HIV infection)に対し、48週間の抗レトロウイルス療法(ART)は、従前より示唆されていたように疾患進行を遅らせることが明らかにされた。英国・Imperial College LondonのSarah Fidler氏らが、約370人の患者について行った無作為化試験「Short Pulse Anti-Retroviral Therapy at Seroconversion」(SPARTAC)の結果、報告した。これまで、HIV初感染に対する短期ART療法について疾患進行を遅延しうる可能性が言われていたが、十分な評価は行われていなかった。NEJM誌2013年1月17日号掲載より。

SSRI、インスリン抵抗性から糖尿病への移行を加速!

 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の長期使用では、肥満症および糖尿病のリスク増大が知られているが、これまで、SSRIがインスリン抵抗性の直接的な誘発因子であるのかといった病態生理学的意義については、ほとんど明らかとなっていなかった。今回、イスラエル・ワイツマン科学研究所のRoi Isaac氏らによるマウス試験の結果、SSRIが膵臓のβ細胞におけるインスリン・シグナル伝達を直接的に阻害している所見が示された。著者は、「SSRIはインスリン抵抗性の状態から顕性糖尿病への移行を加速している可能性がある」と結論している。

不足している医療従事者のラテックスアレルギーへの知識、手袋の適正使用ができた人はわずか1%

 英国・Salford Royal NHS Foundation TrustのF. Al-Niaimi氏らは、医療従事者のラテックスアレルギーについての知識、手袋の適正使用および予防についての評価を行った。その結果、手袋の適正使用が可能であったのはわずか1%であったなど、教育の重要性が浮き彫りになったという。Clinical and Experimental Dermatology誌2013年1月号(オンライン版2012年10月1日号)の掲載報告。

重症血友病Aに対する第VIII因子製剤投与のインヒビター抗体発生リスク/NEJM

 未治療の重症血友病A患児に対する第VIII因子製剤投与のインヒビター(阻害)抗体発生リスクについて調べた結果、全長遺伝子組換え型製剤間で発現リスクの有意な違い(第二世代製剤が第三世代に比べ約1.6倍増大)が示されたことが報告された。一方で、血漿由来製剤と遺伝子組換え製剤、製剤中のフォン・ヴィレブランド因子の含有量、製剤間の切り替えによる同発生リスクの増大はいずれも認められなかったという。オランダ・ユトレヒト大学メディカルセンターのSamantha C. Gouw氏らが患児600人弱について調べた結果で、NEJM誌2013年1月17日号で発表した。これまで未治療の重症血友病A患児に対する第VIII因子製剤の、種類や製剤間の切り替えなどと、臨床的に重要なインヒビター抗体発現リスクとの関連は明らかではなかった。

膝OA患者へのビタミンD3 vs.プラセボ、2年間投与の効果は?/JAMA

 米国・タフツメディカルセンターのTimothy McAlindon氏らは、症候性変形性膝関節症(膝OA)患者に対して2年間にわたり、十分量のビタミンD3サプリメントとプラセボとを投与し比較検討した無作為化試験の結果、サプリメント群はプラセボ群と比較して、膝の痛みの程度や軟骨減少について、低下はみられなかったことを報告した。膝OAには効果的な内科的治療法はないが、一部の試験でビタミンDが、軟骨や関節周辺骨の障害の、進行を防ぐ可能性があることが示唆されていた。JAMA誌2013年1月9日号掲載より。

肥満は腰椎椎間板ヘルニアの治療効果に影響するか?

 腰椎椎間板ヘルニアの治療効果に及ぼす肥満の影響について、米国・トーマスジェファーソン大学病院のJeffrey A. Rihn氏らによるThe Spine Patient Outcomes Research Trial(SPORT)の解析結果が発表された。肥満患者は、手術を行った場合でも保存的治療を行った場合でも、非肥満患者と比較すると臨床的な改善効果は低いことが明らかになった。

出産後の復職への不安は? 女性医師から寄せられたコメントやエピソードを多数掲載

 いまや国家試験合格者の3割が女性である現在、妊娠中のフォロー、出産・子育て期間中の業務分担をどうするかは避けて通れない問題である。ケアネットが2012年12月19日~29日に、ケアネット・ドットコム会員の女性医師1,000人に行ったアンケート調査で、出産後の復職について尋ねた。

双極性障害とADHDは密接に関連している

 双極性障害は合併症を有する割合が高いことが報告されている。なかでもADHDでみられる多弁、注意欠陥、多動性などの症状が、双極性障害の症状と高率にオーバーラップしていることから、双極性障害とADHDの関連に注目が集まっている。トルコ・チャナッカレ・オンセキズ・マルト大学のElif Karaahmet氏らは、双極性障害における注意欠陥・多動性障害(ADHD)の合併頻度、ならびにADHD合併の有無による双極性障害の臨床的特徴の相違について検討した。その結果、双極性障害患者の約23%にADHDの合併が認められたこと、ADHD合併例では双極性障害の発症年齢が低く、躁病エピソードの回数が多くみられたことを報告した。Comprehensive Psychiatry誌オンライン版2013年1月7日号の掲載報告。

ネシーナほか2剤、米国FDAより販売許可を取得

 武田薬品工業と同武田ファーマシューティカルズUSA Inc.は26日、2型糖尿病治療剤NESINA(一般名:アログリプチン)、OSENI(アログリプチンとピオグリタゾン塩酸塩の合剤)、KAZANO(アログリプチンとメトホルミン塩酸塩の合剤)について、米国食品医薬品局(FDA)から、食事療法・運動療法で効果不十分な成人2型糖尿病の治療薬として販売許可を取得したと発表した。

糖質制限食に警鐘?-20万人以上のメタアナリシスの結果がPLoS ONE誌に発表-

 血糖を上昇させる主たる栄養素は糖質であることから、糖質制限(低炭水化物)食が流行している。これまで糖質制限食が長期予後に及ぼす影響について不明であったが、糖質制限食が死亡リスクを上昇させる危険性を示唆するメタアナリシスの結果を国立国際医療研究センター病院糖尿病・代謝・内分泌科の能登洋氏らの研究グループがPLoS ONE誌に発表した。

ACL損傷患者、3年以内に再建術を受ける人は約4人に1人

 米国・ブリガム&ウィメンズ病院のJamie E. Collins氏らは、膝前十字靭帯(ACL)損傷後の再建術を受けた人の臨床的特性や手術の頻度などについて調べた。これまで、厳密な調査は行われていなかったという。調査の結果、ACL損傷患者の約4人に1人が診断後3年以内に再建術を受けていることなどが明らかになった。American Journal of Sports Medicine誌オンライン版2013年1月9日号の掲載報告。

難治性双極性障害患者への併用療法は?

 双極性障害に適応を有する薬剤はいくつか承認されているが、薬物治療に奏功しないケースも少なくない。A González Isasi氏らは、難治性双極性障害患者に対し、標準的薬物治療に心理教育や認知行動療法を併用することの有用性に関して、5年間の追跡調査を行い評価した。European psychiatry : the journal of the Association of European Psychiatrists誌オンライン版2012年12月28日号の報告。