TAVR後の院内死亡率5.5%、脳卒中2.0%/JAMA

経カテーテル大動脈弁置換術(Transcatheter aortic valve replacement:TAVR)を受けた米国患者のデバイス植込み成功率は92%であり、全院内死亡率は5.5%、脳卒中の発生は2.0%であったことなどが、Edwards Sapien XTデバイスの市販後調査報告として発表された。TAVRは2011年に米国食品医薬品局(FDA)によって、重症の症候性大動脈弁狭窄症で手術不能の患者に対する治療法として承認され、2012年には高リスクだが手術可能な症例にも適応となり施術が行われている。JAMA誌2013年11月20日号掲載の報告より。
デバイス承認後の全米224病院・7,710例のアウトカムを分析
調査は、全米レジストリ(Society of Thoracic Surgeons/American College of Cardiology Transcatheter Valve Therapy:STS/ACC TVT)の登録患者を対象に行われた。STS/ACC TVTはメディケアでカバーするための条件を満たすために開始されたもので、アウトカムの評価や他試験や国際的なレジストリとの比較も容易にするものである。今回の検討は、2011年11月~2013年5月の間に224病院から登録されたすべてのTAVR症例7,710例の結果を入手して分析が行われた。主要アウトカムは、TAVR後のすべての院内死亡と脳卒中であった。2次解析には、手術による合併症と臨床症状や手術部位などのアウトカムを含んだ。
入院期間中央値6日間、63%が自宅に退院
TAVRを受けた7,710例のうち、手術不能例は1,559例(20%)で、残り6,151例(80%)は高リスクだが手術可能な症例であった。年齢中央値は84歳(範囲:78~88歳)、3,783例(49%)が女性であり、死亡リスク予測のSTS中央値は7%(範囲:5~11%)だった。ベースライン時に、2,176例(75%)が症状の現状について「まったく満足していない」(45%)か「ほとんど満足していない」(30%)と回答していた。2,198例(72%)が、5m歩行時間が6秒以上(歩行速度が遅い)であった。
バスキュラーアクセスのアプローチ法として最も多かったのは、経大腿アプローチ(64%)で、次いで経心尖アプローチ(29%)、その他代替アプローチ(7%)であった。
デバイス植込み成功例は7,069例(92%、95%信頼区間[CI]:91~92%)、院内死亡率は5.5%(95%CI:5.0~6.1%)だった。その他の重大合併症は、脳卒中(2.0%、95%CI:1.7~2.4%)、透析が必要な腎不全(1.9%、同:1.6~2.2%)、重大血管損傷(6.4%:同:5.8~6.9%)だった。
入院期間中央値は6日間(範囲:4~10日間)で、4,613例(63%)が自宅に退院した。
30日アウトカムは、代表的な114施設・3,133例(40.6%)で評価された(フォローアップ報告の80%以上を占めていた)。同患者における死亡率は7.6%(95%CI:6.7~8.6%)だった(非心血管系原因52%)。脳卒中の発生は2.8%(同:2.3~3.5%)、透析新規導入は2.5%(同:2.0~3.1%)、再介入率は0.5%(同:0.3~0.8%)だった。
(武藤まき:医療ライター)
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