日本語でわかる最新の海外医学論文|page:956

一次予防ICDを試験で受けた人と臨床で受けた人の生存率に有意な差みられず/JAMA

 植込み型除細動器(ICD)を受けるよう無作為に割り付けられた臨床試験の患者と、一次予防ICDを受けた臨床試験登録患者との生存率を比較した結果、両者には有意な差がみられなかったことを、米国・Duke Clinical Research InstituteのSana M. Al-Khatib氏らが報告した。無作為化試験は、ICD療法が命を救うことを示す。これまで一次予防臨床試験でICDを受けた患者の生存と、臨床実践で一次予防ICDを受けた試験適格患者の生存と異なるのかについては明らかではなかった。JAMA誌2013年1月2日号掲載より。

妊娠中のSSRI服用と死産、新生児・0歳時死亡には有意な関連みられず/JAMA

 妊娠中の選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)服用と死産および新生児死亡、0歳児死亡リスクについて、有意な関連は見いだせなかったことが、スウェーデン・カロリンスカ研究所のOlof Stephansson氏らによる全北欧住民ベースのコホート研究の解析の結果、報告された。妊婦の精神疾患は有害な妊娠転帰と関連しており、一方で妊娠中のSSRI服用は、新生児の先天異常や離脱症候群、遷延性肺高血圧症などと関連していることが知られている。しかし、これまで母体の精神疾患と死産や乳児死亡のリスクとの関連については明らかではなかった。JAMA誌2013年1月2日号掲載より。

双極性障害患者の長期健康状態の独立予測因子は肥満!

 双極性障害において、肥満が内科的、精神科的負担を増大させるというエビデンスが横断的研究で多く示されている。しかし、双極性障害と肥満の関係を検証する縦断的研究はほとんど行われていなかった。カナダ・トロント大学のBenjamin I Goldstein氏らは、肥満と双極性障害との関連を3年間にわたり検討した。その結果、肥満は双極性障害患者の長期的な健康状態を予測する独立した因子であり、肥満の治療は双極性障害患者の内科的、精神科的負担の軽減につながる可能性が示唆されたことを報告した。Bipolar Disorders誌オンライン版2013年1月3日号の掲載報告。

新型インフルエンザワクチン、てんかん発作のリスクを増大しない/BMJ

 パンデミックA/H1N1インフルエンザ、いわゆる新型インフルエンザのワクチンについて、てんかん発作のリスクを増大するエビデンスはみられなかったことが、スウェーデン・カロリンスカ研究所のLisen Arnheim-Dahlstrom氏らによる検証の結果、報告された。同ワクチンについては先行研究で、ギラン・バレー症候群など神経学的イベントのリスク増大およびナルコレプシーのリスク増大の可能性が報告されていた。また、百日咳ワクチンの接種後のてんかん発作が報告されており、研究グループは、新型インフルエンザワクチンのてんかん発作リスクの増大について調査した。BMJ誌2013年1月5日号(オンライン版2012年12月18日号)掲載より。

うつ病の差別経験、社会参加や受療機会の障壁に:ASPEN/INDIGO試験/Lancet

 うつ病に関連する差別経験は、病態の増悪や社会的機能の低下だけでなく、うつ病の非公表を助長して支援や受療の機会をも奪うことが、イタリア・ベローナ大学のAntonio Lasalvia氏らの調査で示された。現在、うつ病は世界的な疾病負担の第3位を占める(中~高所得国では第1位)。診断はプライマリ・ケアでも十分に可能であり、抗うつ薬や心理療法は60~80%の患者に有効なことが知られているが、実際に治療を受けている患者は半数に満たないという。有効な治療に対する障壁には種々の要因があるが、なかでも精神疾患に関連するスティグマ(罹患者に対する否定的な態度を誘引する不名誉の烙印・象徴)は重要な課題とされる。Lancet誌2013年1月5日号(オンライン版2012年10月18日号)掲載の報告。

骨粗鬆症閉経後女性に対するテリパラチド、追加投与も切り替えもベネフィットは同等

 アレンドロネート(ALN、商品名:ボナロン、フォサマック)やラロキシフェン(RLX、商品名:エビスタ)の治療を受けた骨粗鬆症閉経後女性に対して、テリパラチド(商品名:テリボン、フォルテオ)を追加併用することと同薬への切り換えとでは、同等のベネフィットをもたらすことが明らかにされた。

長期ケア中の高齢者の転倒原因、現場ビデオ画像で解析/Lancet

 長期ケア中の高齢者の転倒原因として最も多いのは不適切な体重移動であり、前方歩行中の転倒が多いものの、既報に比べれば歩行中の転倒は少なかったとの調査結果が、カナダ・サイモンフレーザー大学のStephen N Robinovitch氏らによって報告された。高齢者の転倒は保健医療上の重大な負担であり、長期ケア環境ではとくに重要となるが、高齢者の転倒状況や原因に関するエビデンスはほとんどないという。Lancet誌2013年1月5日号(オンライン版2012年10月17日号)掲載の論考から。

超早産児に対するCPAP対サーファクタント、長期アウトカムも有意差みられず/NEJM

 米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校のYvonne E. Vaucher氏らは、超早産児に対する早期の持続的気道陽圧法(CPAP)とサーファクタント投与の比較について、長期の死亡や神経発達障害のアウトカム改善に有意差がみられなかったことを報告した。また、酸素飽和度目標値の違いによるアウトカムについても、低目標値(85~89%)と高目標値(91~95%)間の有意差がみられないこと、および死亡率が低目標値群で増大傾向がみられたことを報告した。同研究グループは既存報告で、上記比較の短期アウトカム(死亡または気管支肺異形成症)について、CPAP対サーファクタントでは有意差がみられなかったことを、また目標値の違いでは低目標値群で網膜症発症と死亡率が増大することを報告していた。NEJM誌2012年12月27日号掲載より。

〔CLEAR! ジャーナル四天王(47)〕 FREEDOM試験がもたらした「開放」とは?

 複雑な冠動脈疾患患者にバイパス(CABG)か?PCIか?という問題は90年代のBARI試験から最近のSYNTAX試験まで、いろいろな側面から検討がなされ、さながら不整脈のreentry回路のように外科医と内科医の頭を悩ませてきた。だが、このFREEDOM試験はその回路(circuit)に楔を打ち込んだ研究といえるのではないか。

重度の認知障害を有する高齢者、視力検査は行うべき?

 カナダ・モントリオール大学のEstefania Chriqui氏らは、重度の認知障害を有する高齢者の視力検査の可否について検証した。30人を対象に行った試験の結果、19人が視力検査に対応でき、まったく反応しなかった人は1人であった。著者は「認知症がありコミュニケーション能力が低下した高齢者であっても、視力検査は行うことができ、少なくとも試みるべきである」と提言している。Journal of the American Medical Directors Association誌オンライン版2012年12月27日号の掲載報告。

検証!抗てんかん薬の免疫グロブリン濃度に及ぼす影響

 抗てんかん薬は免疫グロブリンに影響を与えると言われている。ノルウェー・オスロ大学病院のS. Svalheim氏らは、レベチラセタム、カルバマゼピン、ラモトリギンなどの抗てんかん薬がてんかん患者の免疫グロブリン濃度に及ぼす影響を検討した。Acta neurologica Scandinavica誌2013年1月号の掲載報告。

重症外傷性脳損傷への頭蓋内圧モニタリング、アウトカム改善につながらず/NEJM

 重症外傷性脳損傷に対する頭蓋内圧モニタリングによる治療を行っても、アウトカムは画像・臨床診断に基づく治療を行った場合と同等であることが示された。米国・ワシントン大学のRandall M. Chesnut氏らが、300人超について行った無作為化試験の結果、明らかにした。頭蓋内圧モニタリングは、重症外傷性脳損傷への標準的治療とされ頻繁に用いられているが、アウトカムの改善については厳密な評価はされていなかったという。NEJM誌12月27日号(オンライン版2012年12月12日号)掲載より。

インターフェロン治療SVR達成の慢性C型肝炎患者は全死因死亡が有意に低下/JAMA

 慢性C型肝炎ウイルス(HCV)感染症・進行性肝線維症患者の全死因死亡率について、インターフェロン治療により持続的ウイルス学的著効(SVR)がみられる人では有意な低下がみられたことが、オランダ・エラスムス大学のAdriaan J. van der Meer氏らによる評価の結果、明らかにされた。JAMA誌2012年12月26日号掲載より。

新規抗うつ薬「ノルアドレナリン・ドパミン脱抑制薬」その実力とは?

 新規抗うつ薬として注目されるノルアドレナリン・ドパミン脱抑制薬(NDDI)であるアゴメラチン。オーストリア・ウィーン医科大学のSiegfried Kasper氏らは、アゴメラチンの有効性および忍容性を評価するため、SSRIやSNRIとの各種比較試験より解析を行った。International clinical psychopharmacology誌2013年1月号の報告。

今、話題の糖質制限食は寿命を延ばすことができるのか?

 糖尿病の食事療法は、カロリー制限が標準的な治療として実践されている。しかし、継続できない患者が少なからずいることも事実だ。そこで、カロリー摂取量は無制限にして、糖質(炭水化物)だけを制限する『糖質制限食』が提唱され、昨今わが国でも話題となっている。糖質制限食は、短期的(数週間~数年間)な減量や動脈硬化リスクファクター改善に有効であることが臨床的に示されているが、長期的なアウトカムや安全性についてはこれまで明らかではなかった。

第二世代抗精神病薬によるインスリン分泌障害の独立した予測因子は・・・

 第二世代抗精神病薬(SGA)は2型糖尿病リスクを増大する。そのメカニズムは、薬剤による体重増加を中心に、インスリン抵抗性の代謝異常カスケードが始まり、インスリン産生の増大と膵β細胞の機能障害によるものだと考えられている。米国・ザッカーヒルサイド病院のPeter Manu氏らは、SGAであるクロザピン、オランザピン、クエチアピン、リスペリドンについて、インスリン分泌への影響を検討した。Schizophrenia Research誌オンライン版2012年12月8日号の掲載報告。

閉経後女性、血中カロテノイドが高い人ほど骨粗鬆症リスクは低い

閉経後日本人女性を対象とした前向きコホート研究の結果、カロテノイド(とくにβクリプトキサンチンとβカロテン)の血中濃度が高い人ほど、骨減少症および骨粗鬆症リスクが低いことが報告された。農研機構・果樹研究所の杉浦実氏らが、栄養疫学調査「三ヶ日町(静岡県浜松市)研究」の参加者を4年間追跡した結果、報告した。