日本語でわかる最新の海外医学論文|page:953

SMSを活用した教育介入で、てんかん患者の健康関連QOLが改善

 てんかん患者における健康関連QOL(HRQoL)の改善は、さまざまな治療プログラムおよび行動介入において着目すべき課題となっている。マレーシア・Sultan Zainal Abidin大学のPei Lin Lua氏らは、SMS(Short Message Service)を活用した教育プログラムのてんかん患者のHRQoLに及ぼす影響の検討、ならびに良好なHRQoLの予測因子を明らかにすることを試みた。Quality of Life Research誌オンライン版2013年1月18日号の掲載報告。

パニック障害 + 境界性パーソナリティ障害、自殺への影響は?

 これまでの研究で、境界性パーソナリティ障害、パニック発作、パニック障害といった個々の疾患と自殺企図との関係は明らかにされている。しかし、併発した際の自殺企図との関係はよくわかっていない。カナダ・マニトバ大学のDanielle L. Turnbull氏らはこれらの疾患の併存による影響を検討した。The Journal of nervous and mental disease誌2013年2月号の報告。

術後のAcute Pain Serviceを利用できない患者には経口オピオイド療法を

 術後痛など急性痛に対応するAcute Pain Service(APS)を受けない、すなわち局所麻酔法や患者自己管理鎮痛法を受けることができない患者は、激しい術後疼痛に苦しむ。こうした患者に対しては経口オピオイド療法が有効であり、治療アルゴリズムは外科病棟で実行可能であることがドイツ・ミュンスター大学病院のE.M. Pogatzki-Zahn氏らによる前向き観察研究で示された。

経口マルチキナーゼ阻害薬レゴラフェニブ、難治性GISTの予後を改善:GRID試験/Lancet

 標準治療で病勢が進行した切除不能または転移性消化管間質腫瘍(GIST)の治療において、レゴラフェニブ(承認申請中)はプラセボに比し無増悪生存期間(PFS)を有意に延長することが、米国ダナファーバーがん研究所のGeorge D Demetri氏らの検討で示された。これまでに、GISTに対する有効性が証明された薬剤としてイマチニブとスニチニブがあるが、転移性GISTのほとんどは最終的にこれらの薬剤に抵抗性となり、致死的な病勢の進行をきたす。レゴラフェニブは新規の経口マルチキナーゼ阻害薬で、腫瘍の血管新生(VEGFR1-3、TEK)、発がん(KIT、RET、RAF1、BRAF、BRAFV600E)、腫瘍の微小環境(PDGFR、FGFR)の調整に関与するプロテインキナーゼの活性を遮断するという。Lancet誌2013年1月26日号(オンライン版2012年11月22日号)掲載の報告。

月1回のペギネサチド、週1~3回のエポエチンに非劣性/NEJM

 貧血を伴う血液透析患者に対し、赤血球造血刺激因子製剤(ESA製剤)のペギネサチド(本邦未承認)の月1回投与が、エポエチン週1~3回の投与と同程度の効果であることが明らかにされた。米国・Hofstra North Shore–LIJ School of MedicineのSteven Fishbaneらが第3相オープンラベル無作為化試験「EMERAL1、2」を行った結果、報告した。NEJM誌2013年1月24日号掲載より。

ドネペジル+メマンチン、アルツハイマー病への効果はどの程度?

 アルツハイマー病(AD)において、メマンチンとコリンエステラーゼ阻害薬との併用はどの程度のベネフィットが期待できるのか。米国・マサチューセッツ総合病院のAlireza Atri 氏らは、AD患者におけるドネペジルとメマンチンの併用療法の有効性と安全性について検討を行った。その結果、両薬剤の併用は統計学的有意かつ臨床的に意義のある効果をもたらし、忍容性も良好であることを報告した。Alzheimer's Research & Therapy誌オンライン版2013年1月21日号の掲載報告。

妊娠中のH1N1インフルエンザワクチン接種、発症リスクを7割減/NEJM

 妊娠中の2009インフルエンザA(H1N1)ウイルス感染症パンデミックの罹患は、胎児死亡リスクを約2倍増大する一方、妊娠中に同ワクチンを投与した人では、インフルエンザを発症した人の割合は約7割少なかったことが報告された。ノルウェーのNorwegian Institute of Public HealthのSiri E. Haberg氏らが、H1N1ウイルスが流行した2009~2010年に妊娠中だった女性12万人弱について行った試験で明らかにしたもので、NEJM誌2013年1月24日号(オンライン版2013年1月16日号)で発表した。2009パンデミックでは、ワクチン接種後に胎児死亡が散発的に報告されたことで、妊婦へのワクチン接種の安全性について懸念が持ち上がっていた。

地域でのケア移行、改善介入で不必要な入院が減少/JAMA

 米国メディケア患者は治療移行の間に、不必要な再入院など害悪をもたらす過失に見舞われているという。Colorado Foundation for Medical CareのJane Brock氏らケア移行プロジェクトチームは、ケア移行改善の介入によってメディケア診療報酬支払対象患者の再入院や入院が低減するのかを検証した。JAMA誌2013年1月23日号の掲載報告。

抗うつ薬を使いこなす! 種類、性、年齢を考慮

 抗うつ薬の血中濃度は種類ごとに、性および年齢の影響を有意に受けている。このことが、ドイツ・ヴュルツブルク大学病院のS. Unterecker氏らによる自然条件下にて評価した治療薬物モニタリング(TDM)の結果、明らかにされた。抗うつ薬のTDMデータの評価は多くの場合、精神疾患の既往や身体的合併症のない均一サンプルを選択して行われており、日常診療では限界を有する可能性があることから、研究グループは自然条件下にての評価を行った。Journal of Neural Transmission誌オンライン版2012年12月20日号の掲載報告。

大腸がん患者の生存率とウオーキングなどの活動時間との関連

 がんの治療中や治療後の運動が安全で忍容性があることは、ランダム化試験により報告されている。しかし、大腸がんにおけるレクリエーション的な身体活動(ウオーキング、ジョギング、テニス、サイクリングなど)と生存率の関連は明らかではない。米国のPeter T Campbell氏らは、大腸がん患者の身体活動時間と余暇を座って過ごす時間について、死亡率との関連を調査した。その結果、身体活動時間が長いと死亡率が低く、座って過ごす余暇時間が長いと死亡のリスクが高くなることを報告した。Journal of clinical oncology誌オンライン版2013年1月22日号に掲載。

日本で行われたARBの大規模試験に関する論文が撤回

 1日、欧州心臓病学会の学会誌であるEuropean Heart Journal誌の編集者らは、KYOTO HEART Studyに関する主要論文を同誌から撤回したと発表した。KYOTO HEART Studyは、日本人のハイリスク高血圧患者を対象にARBバルサルタンの追加投与による心血管イベントに対する有用性を検討した大規模臨床試験。編集者らは撤回理由について「この論文に発表されたデータの一部に重大な問題があった」としている。

過去半年間にヒヤリ・ハットを経験した医師は60%以上

 昨年12月の日本医療機能評価機構の発表によると、同年7-9月の四半期に報告を受けた医療事故情報が2004年10月に分析を始めて以降、過去最多の814件だったという。ケアネットが行った、ケアネット・ドットコム会員の医師1,000人に対して行ったアンケート調査では、医師の約64%が半年以内にヒヤリ・ハットを経験していることがわかった。アンケート結果の詳細は、5日に報告した。

RAは、関節炎発症前からすでに不顕性炎症が起きているかもしれない

 関節リウマチ(RA)では、関節炎が臨床的に現れる前に抗シトルリン化ペプチド抗体(ACPA)や急性相反応物質が増加する可能性があるが、こうした発症前段階ですでに局所の不顕性炎症が起きていることが、オランダ・ライデン大学病院のAnnemarie Krabben氏らによるMRIを用いた検討で明らかになった。

検証!統合失調症患者の睡眠状態とは

 統合失調症患者では、睡眠状態に問題を抱えることがしばしば見られる。また、睡眠状態が統合失調症の各症状に影響を及ぼす可能性もある。ポルトガル・リスボン精神病院センターのPedro Afonso氏らは、睡眠パターンや睡眠の質、QOLに関して、統合失調症患者と健常者で違いがあるかを検討した。The world journal of biological psychiatry : the official journal of the World Federation of Societies of Biological Psychiatry誌オンライン版2013年1月15日号の報告。

全米小児病院の再入院率、疾病や病院間で有意な差/JAMA

 米国・ボストン小児病院のJay G. Berry氏らが、全米の小児病院急性期部門の再入院率を調査した結果、予定外の30日再入院率は6.5%であったことが報告された。再入院率は、患者が入院の間、および退院後に受ける治療の質のインジケーターとして利用される。本調査の再入院率も、疾病や病院間で有意差がみられ、著者は「本病院の質的改善活動に役立つであろう」とまとめている。JAMA誌2013年1月23日号掲載の報告より。

間欠自己導尿カテーテル、タイプ別に比較した尿路感染症リスクの発生/BMJ

 在宅患者にとって、間欠自己導尿カテーテルのタイプは、親水性、ゲルリザーバー、非コートタイプのいずれでも、症候性のカテーテル関連尿路感染症のリスクはほとんど差がないことを、英国・National Clinical Guideline CentreのSarah L Bermingham氏らがシステマティックレビューによるメタ解析を行い報告した。尿道カテーテルを利用している人の罹病状態や死亡の原因の先頭に立つのがカテーテル関連尿路感染症である。感染リスクは留置カテーテル処置患者で最も高く、膀胱管理には間欠導尿が好ましいオプション処置とされているが、これまで、その材質や方法論について、有効性と費用対効果の系統的比較は行われていなかった。BMJ誌2013年1月13日号(オンライン版2013年1月8日号)の掲載報告。

空中浮遊微粒子濃度は自殺企図・統合失調症増悪に影響を及ぼす

 イスラエルのネゲヴ・ベン=グリオン大学のNaomy S. Yackerson氏らは、空中浮遊微粒子の濃度が自殺企図および統合失調症の増悪に及ぼす影響について検討を行った。その結果、風の方向による空中浮遊微粒子濃度の相違が、自殺企図や統合失調症の増悪に影響を及ぼすことを報告し、天候を考慮した対処が精神への有害な影響を予防あるいは緩和しうることを示唆した。International journal of biometeorology誌オンライン版2013年1月16日号の掲載報告。