日本語でわかる最新の海外医学論文|page:957

〔CLEAR! ジャーナル四天王(85)〕 アスピリンの時代の終焉?

 急性心筋梗塞に代表される冠動脈疾患の予防、治療にはアスピリンが標準治療である。長年のエビデンスの蓄積により、有効性、安全性、経済性の観点から、アスピリンに勝る抗血小板薬はなかった。クロピドグレルは、CAPRIE試験によりアスピリンに勝る有効性を示した。さらに、多くの国で特許を喪失しつつあるため、経済性もアスピリンに競合可能となった。

自閉症、広汎性発達障害の興奮性に非定型抗精神病薬使用は有用か?

 米国・マサチューセッツ総合病院のLaura C. Politte氏らは、自閉症および広汎性発達障害患者への非定型抗精神病薬の使用に関する文献をレビューした。その結果、自閉症および広汎性発達障害にみられる興奮性に対し、現時点におけるファーストライン薬は非定型抗精神病薬であることを示唆した。Psychopharmacology誌オンライン版2013年4月4日号の掲載報告。

治療抵抗性の双極性障害、認知機能への影響は?

 双極性障害患者では認知機能障害を呈することが少なくないが、これらの関係については十分に報告されていない。Ute Kessler氏らは、治療抵抗性の双極性障害I型およびII型の患者における、神経認知障害を評価した。その結果、認知障害はII型と比べてI型患者でより多く、とくに処理速度に関する障害の頻度が高かった。所見を踏まえて著者は「本結果は、臨床家は、とくに双極性障害I型の治療抵抗性の患者において神経認知障害が重度であることに留意すべきであることを示すものである」と述べている。BMC Psychiatryオンライン版2013年4月号の掲載報告。

0カロリー表示でもダメ?ダイエット炭酸飲料と2型糖尿病のリスク

 ダイエット炭酸飲料の消費量が多いほど2型糖尿病発症リスクが高まることが、日本人男性を対象にした検討で明らかになった。たとえ、ゼロカロリー表示でも、ダイエット炭酸飲料を週に1本以上飲むことは、2型糖尿病の予防に効果的とはいえないようだ。本研究は、金沢医科大学の櫻井 勝氏らによる検討で、European Journal of Nutrition誌オンライン版2013年4月11日号に掲載された。

高血圧患者も正常血圧の人も、まずは-4.4g/日、4週以上の減塩継続を/BMJ

 現在、多くの国で、食塩の1日摂取量は約9~12g/日から5~6g/日へという減塩の推進が行われている。そのような減塩の降圧効果のエビデンスも多く示されるようになり、より少ない食塩摂取(3g/日)は心血管疾患リスクの低下と関連するとの前向きコホート研究の結果も示されている。しかし最近のメタ解析報告で、減塩はホルモンや脂質には逆効果で降圧のベネフィットが軽減される可能性があり、正常血圧の一般集団における減塩効果は疑問とする報告がなされた。英国・ロンドン大学クイーン・メアリー校のFeng J He氏らは、その解析には20g/日を4~5日間だけ1g/日とするといった最近の流れとは異なる多量・短期の減塩効果をみた試験が含まれているとして、少量・長期の減塩効果に的を絞ったメタ解析を行った。その結果、-4.4g/日、4週以上の減塩継続が、高血圧患者、正常血圧の人、また性別、人種を問わず、有意に大きな降圧効果をもたらし心血管疾患予防に結びつくことを報告した。BMJ誌オンライン版2013年4月3日号掲載の報告より。

DA-EPOCH-R療法、原発性縦隔B細胞性リンパ腫に高い効果/NEJM

 DA-EPOCH-R(用量調整エトポシド/ビンクリスチン/シクロホスファミド/ドキソルビシン/プレドニゾン+リツキシマブ)療法は、原発性縦隔B細胞性リンパ腫の治療として、放射線療法を行わなくとも高い治癒率をもたらすことが、米国国立がん研究所(NCI)のKieron Dunleavy氏らの検討で示された。原発性縦隔B細胞性リンパ腫はびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)のサブタイプで、結節硬化型ホジキン病と密接な関連を持ち、若年者に多く、巨大な縦隔腫瘤を形成する。標準治療は確立されておらず、免疫化学療法だけでは不十分なため縦隔への放射線照射による地固め療法がルーチン化しているが、遅発性の重篤な有害事象が懸念されるという。NEJM誌オンライン版2013年4月11日号掲載の報告。

慢性腰痛患者におけるオピオイド療法の効果はうつや不安に影響される

 非がん性慢性疼痛患者ではしばしば、抑うつや不安といったネガティブ感情がみられる。こうしたネガティブ感情は疼痛の強さと関連しており、オピオイド治療が長期化する可能性が高い。米国・ハーバード大学ブリガム・アンド・ウィメンズ病院のRobert N. Jamison氏らは、ヒドロモルフォン徐放性製剤のプラセボ対照二重盲検試験について2次分析を行い、ネガティブ感情はオピオイド療法のベネフィットを減弱させ、臨床試験においては脱落の予測因子となることを報告した。

早期統合失調症、認知機能にGABA作動性抑制が関連

 統合失調症の早期では認知障害がみられる。この認知障害にGABA作動性機能障害の関与が注目されるようになっている中、和歌山県立医科大学神経精神医学教室の高橋 隼氏らは、発症間もない統合失調症患者の認知機能障害に、皮質GABA作動性抑制が低下しワーキングメモリ機能を障害していることが示唆されることを報告した。Schizophrenia Research誌2013年5月号(オンライン版2013年3月22日号)の掲載報告。

カリウム摂取増で高血圧患者の血圧が低下:WHO調査/BMJ

 カリウム摂取量を増やすことで成人高血圧患者の血圧が低下するとともに、血中脂質濃度やカテコラミン値、腎機能には有害な影響はないことを示す質の高いエビデンスが得られたとする研究結果を、世界保健機関(WHO)のNancy J Aburto氏らの研究グループが、BMJ誌オンライン版2013年4月5日号で報告した。脳卒中のリスクも24%低下したという。カリウム摂取量が少ないと血圧上昇、高血圧、脳卒中のリスクが増加し、多ければこれらの疾患は予防される可能性が指摘されている。一方、カリウム高摂取が血圧や心血管疾患に及ぼす良好な効果に関するデータにはばらつきがあり、血中脂質濃度、カテコラミン値、腎機能に及ぼす有害な作用のデータも十分ではない状況だ。

1型糖尿病への抗インターロイキン1薬単独投与、β細胞機能の改善効果示せず/Lancet

 発症後間もない1型糖尿病患者に対する、抗インターロイキン1薬の単独投与について、β細胞機能の改善効果は示されなかったことが報告された。米国・ミネソタ大学のAntoinette Moran氏らが、約140例について行った、2つの無作為化試験の結果、明らかにしたもので、Lancet誌オンライン版4月5日号で発表した。1型糖尿病は先天免疫が発症に寄与している自己免疫疾患であるが、これまで先天免疫のキーメディエーターであるインターロイキン1を遮断するということに関して、無作為化対照試験は行われていなかったという。

ステロイド依存性皮膚症に対するトリアムシノロンアセトニド筋注、適正使用に道筋?

 米国・ボストン大学医学部のShalini Reddy氏らは、ステロイド依存性皮膚症に対するトリアムシノロンアセトニド筋注(商品名:ケナコルト)の有効性と安全性を評価する前向き観察試験を行った。その結果、6週間隔で2回にわたる接種についての安全性と、有意な改善が認められたことを報告した。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2013年3月29日号の掲載報告。

再発寛解型多発性硬化症へのダクリズマブHYP投与、年間再発率を半減/Lancet

 再発寛解型多発性硬化症に対し、抗インターロイキン2受容体抗体ダクリズマブ(国内未承認)の4週毎の1年間にわたる単独治療により、年率換算再発率が約50%低減したことが報告された。ドイツ・ルール大学ボーフムのRalf Gold氏らが、600例超を対象に行った無作為化プラセボ対照二重盲検試験「SELECT」の結果で、Lancet誌オンライン版2013年4月4日号で発表した。先行研究で、インターフェロンβ治療抵抗性を示す再発型多発性硬化症に対し、ダクリズマブを併用することで疾患活動度が低下し忍容性も良好であることが示されており、本検討ではダクリズマブの単独長期療法の有効性について検討した。

メラトニン分泌の低下が2型糖尿病発症リスクを増大/JAMA

 メラトニン分泌の低下と2型糖尿病発症リスクの増大が独立して関連していることが明らかにされた。米国・ハーバード公衆衛生大学院のCiaran J. McMullan氏らが行った症例対照研究の結果で、夜間のメラトニン分泌低下とインスリン抵抗性の増大との関連も明らかになったという。メラトニンは体内時計のコントロール下にあり、一般的には夜間の就寝後3~5時間で分泌はピークに達し日中はほとんど産生されない。先行研究において、メラトニンの糖代謝における役割の可能性が示唆され、またゲノムワイド研究ではメラトニン受容体の機能喪失と2型糖尿病発症率との関連などが報告されていたが、メラトニン分泌と2型糖尿病との関連を前向きに検討した報告はなかった。JAMA誌2013年4月3日号掲載の報告。

I型の複合性局所疼痛症候群の運動障害には筋痛覚が関与している

 I型の複合性局所疼痛症候群(CRPS)患者でよく観察される運動障害に、感覚処理障害がどのような役割を果たしているかは、現在のところ不明である。オランダ・ライデン大学病院のDiana E. van Rooijen氏らは、初めてCRPSにおける感覚機能と運動機能との関連について研究を行い、筋痛覚がCRPSにおける運動制御の障害に重要な役割を果たしている可能性があることを明らかにした。The Journal of Pain誌オンライン版2013年3月27日の掲載報告。

統合失調症“再発”の危険因子は?

 統合失調症治療において再発を抑制することはきわめて重要な課題である。フィンランド・ヘルシンキ大学のTiina Talaslahti氏らは、高齢の統合失調症外来患者に対する第一世代抗精神病薬および第二世代抗精神病薬の使用状況を明らかにし、再発との関連を検討した。International journal of geriatric psychiatry誌オンライン版2013年4月5日号の報告。