日本語でわかる最新の海外医学論文|page:955

メディケアプランの5つ星評価、加入動機に反映されているのか?/JAMA

 米国のメディケア・メディケイドサービスセンターは、Medicare Advantage(民間保険会社がサービスを代行運営するプラン、通称:メディケアパートC)加入の判断指標とするために、5つ星評価プログラムを実施している。これまで同評価が加入者の判断指標として反映されているのかは調べられていなかったことから、同センターのRachel O. Reid氏らが調査を行った。JAMA誌2013年1月16日号掲載より。

降圧薬2剤併用にNSAIDsを追加併用、30日間は急性腎不全に注意が必要/BMJ

 利尿薬、ACE阻害薬あるいはARB、NSAIDsの組み合わせによる3剤併用制法は、急性腎不全リスクを増大することが、カナダ・Jewish General HospitalのFrancesco Lapi氏らによるコホート内症例対照研究の結果、報告された。リスクは、治療開始から30日間が最も強かったという。著者は、「降圧薬は心血管系にベネフィットをもたらすが、NSAIDsを同時併用する場合は十分に注意をしなければならない」と結論している。BMJ誌2013年1月12日号(オンライン版2012年12月18日号)掲載報告より。

アリピプラゾールの聴覚認知機能改善に対する影響は?

 これまでに、認知障害は統合失調症の中心的な症状とみなされ、認知機能は症状レベルよりも機能性アウトカムの、より良好な予測因子であることは明らかであった。また、聴覚に関する認知機能の早期異常には、ミスマッチ陰性電位(MMN)が関連することがわかっていた。中国・南京医科大学のZhenhe Zhou氏らは、これまで明らかになっていなかった統合失調症患者におけるMMNへのアリピプラゾールの効果について検討した。PLoS Oneオンライン版2013年1月号の掲載報告。

無作為化試験の報告データは、試験で得られた全データのごく一部/BMJ

 米国・カリフォルニア大学医学部のDavid L Schriger氏らは、無作為化試験における連続アウトカムの割合について調査した。臨床研究報告は、高度に選択されたデータサブセットが発表され、ジャーナルの読者に対して全部のデータセットはめったに示されない。Schriger氏らは断面研究の手法にて調査を行い、その結果、無作為化試験の連続主要アウトカムは、獲得したデータのごくわずか(<5%)しか示されていないことが確認されたという。BMJ誌2013年1月12日号(オンライン版2012年12月18日号)掲載の報告。

エビデンスに基づく鎌状ヘモグロビン保有新生児の推定数が明らかに

 2010年の世界の鎌状ヘモグロビン(HbS)保有患児数は、ヘテロ接合型(AS)が約547万6,000人、ホモ接合型(SS)は約31万2,000人と推算されることが、英国オックスフォード大学のFrederic B Piel氏らの検討で示された。保健医療資源の効率的な割り当てを行うには信頼性の高い罹患数の予測値を要する。鎌状赤血球症の原因であるHbSは、最も高頻度にみられるヘモグロビンの病的な遺伝子変異であり、臨床的に重要な構造的ヘモグロビン異常だが、罹患数予測値は明らかではなく、AS型およびSS型の新生児の正確な数も不明だったという。Lancet誌2013年1月12日号(オンライン版2012年10月25日号)掲載の報告。

統合失調症患者の再発を予測することは可能か?

 統合失調症は再発を繰り返すことで重症化する。もし、再発を予期することができれば、重症化を防ぐことが可能かもしれない。フランス・エクス=マルセイユ大学のLaurent Boyer氏らは、SF36やQOLIで評価したQOLにより統合失調症患者の再発を予測できるかどうかを検討した。BMC psychiatry誌2013年1月9日号の報告。

患者が語る病状にみる、線維筋痛症と慢性腰痛症の特性の違い

 スイス・ジュネーブ大学のChristine Cedraschi氏らは、患者が語る病状にみられる線維筋痛症と慢性腰痛症の特性の違いについて質的研究を行った。その結果、線維筋痛症患者の話では、高い精神的な負荷、著しい言外の暗示、理に適った問題が特徴であるのと対照的に、慢性腰痛症患者の話は、身体的なつらさや消耗、治療の無効性が強調されていたという。Pain Medicine誌2012年12月の掲載報告。

喫煙女性の死亡率は非喫煙女性の約3倍、寿命は11年短い:Million Women Study/Lancet

 英国の中高年女性喫煙者の死亡原因の3分の2が喫煙に起因し、喫煙女性の死亡率は非喫煙女性の約3倍で、寿命は10年以上短いことが、英国・オックスフォード大学のKirstin Pirie氏らが実施したMillion Women Studyで示された。喫煙はいまだに予防可能な主要死因であり、英国や米国で1940年頃に生まれた女性は、成人以降の生涯を通じて多量の喫煙をした最初の世代である。それゆえ、21世紀のいまこそが、長期の喫煙や禁煙が英国人女性の死亡率に及ぼす影響を直接的に観察可能な時だという。Lancet誌2013年1月12日号(オンライン版2012年10月)掲載の報告。

過多月経に対するレボノルゲストレル-IUS vs. 従来薬物療法/NEJM

 過多月経の治療について、レボノルゲストレル放出子宮内避妊システム(商品名:ミレーナ)(以下、レボノルゲストレル-IUS)は、トラネキサム酸などの従来薬物療法よりも、長期的な改善幅が有意に高かったことが示された。英国・ノッティンガム大学のJanesh Gupta氏らが、600人弱の女性を対象とした無作為化試験の結果、報告したもので、「重度の月経出血によるQOLへの影響を低減する効果が高かった」と結論している。過多月経はよくある問題症状だが、これまで有効な治療に関するエビデンスは限られていたという。NEJM誌2013年1月10日号掲載報告より。

うつ病患者の食事療法、ポイントは「トリプトファン摂取」

 うつ病では悲哀感、希望喪失、易刺激性、身体機能障害などの特徴がみられ、数週間にわたり重症の症状を呈する。また、気分変調症は軽度の抑うつ気分が漫然と続いた状態である。うつ病の治療には、精神療法、薬物療法、光線療法などがあるが、これまでの臨床的および経験的エビデンスから、適切な食事が抑うつ症状を軽減しうることが示唆されている。オランダ領アンティル・Saint James School of MedicineのFaisal Shabbir氏らは、食事が抑うつに及ぼす影響について考察した。神経伝達物質であるセロトニンの低下はうつ病の一因であるが、セロトニンの前駆体であるトリプトファンを多く含む食事の摂取が抑うつ症状の軽減に有用であることを示唆した。Neurochemistry international誌オンライン版2013年1月7日号の報告。

上部消化管出血への輸血、ヘモグロビン値7g/dL未満の制限輸血で死亡リスク半減/NEJM

 急性上部消化管出血への輸血戦略では、ヘモグロビン値7g/dL未満で輸血をする「制限輸血」のほうが、同値9g/dL未満での輸血戦略よりも、死亡リスクが約半減するなどアウトカムが良好であることが明らかにされた。スペイン・Hospital de Sant PauのCandid Villanueva氏らが900人超について行った無作為化試験の結果、報告したもので、NEJM誌2013年1月3日号で発表した。急性消化管出血への輸血について、ヘモグロビン値を基準に実施を判断する治療法については議論が分かれていた。

非ベンゾジアゼピン系睡眠薬の有効性:FDAデータのメタ解析/BMJ

 非ベンゾジアゼピン系睡眠薬はプラセボと比較して、わずかではあるが有意に睡眠導入を改善することが、米国・コネティカット大学のTania B Huedo-Medina氏らが、米国医薬品局(FDA)集約の臨床データのメタ解析を行い報告した。改善は用量の増大につれ、またとくに若者、女性でみられ、薬剤の種類は問わなかった。一方で、効果サイズが小さく、またプラセボ効果が約半分に認められ、両者を合わせた臨床的効果は相当に大きかったものの、臨床的意義に疑念があったという。著者は、不眠症治療時にその点について注意する必要があると述べている。BMJ誌2013年1月5日号(オンライン版2012年12月17日号)掲載より。

高齢者介護ロボット、認知症対応でも効果を発揮できる?

 ニュージーランド・オークランド大学のHayley Robinson氏らは、新たに開発されている高齢者介護ロボット「Guide robot」について、すでに介護ロボットとして成功しているアザラシ型「パロ」との比較で、認知症高齢者および介護スタッフへの適合性について調査した。その結果、認知症高齢者介護ロボットはシンプルかつ刺激的で楽しさをもたらしてくれるものでなければならないなど、改善のための示唆が得られたことを報告した。また本検討では、「パロ」の改善すべき点も明らかになったという。Journal of American Medical Directors Association誌2013年1月14日号の掲載報告。

睡眠障害と皮膚疾患、夜間のひっかき行動は睡眠ステージと関連

 カナダ・ウェスタンオンタリオ大学のMadhulika A. Gupta氏らは、Clinics in Dermatology誌2013年1月号特集「Psychodermatology」に、「睡眠障害と皮膚疾患」と題するレビュー論文を寄稿した。睡眠は、人の一生のうち約3分の1を占める生命活動だが、睡眠中の皮膚疾患に関する研究はほとんど発表されていない。しかし皮膚疾患による睡眠の乱れが、患者のQOLやメンタルヘルスに有意な影響を及ぼす可能性があり、また場合によっては症状の増悪に通じる可能性があると、本主題の重要性を提起している。

統合失調症の重症度・社会性の低下は、海馬体積の減少と関連

 統合失調症において海馬体積の減少は高い頻度で報告されているが、疾患への影響(とくに臨床面、心理社会面にどれほど影響するのか)については依然として十分に明らかとなっていなかった。イタリア・ウーディネ大学のP. Brambilla氏らは、統合失調症患者における症状重症度と社会性の低下は、海馬体積の減少と関連している可能性があることを、三次元マッピング研究の結果より、報告した。British Journal of Psychiatry誌2013年1月号の掲載報告。