日本語でわかる最新の海外医学論文|page:952

再発性下肢蜂窩織炎、ペニシリン投与で再発リスクは半減/NEJM

 下肢蜂窩織炎の再発予防を目的としたペニシリン投与は、再発リスクをおよそ半減することが示された。ただしその効果は投与期間中においてであり、投与中止後は徐々に漸減した。英国・ノッティンガム大学病院のKim S. Thomas氏らが、274例を対象に行ったプラセボ対照無作為化二重盲検試験の結果で、NEJM誌2013年5月2日号で発表した。

身体的障害の介護施設入所者のうつ病、複合的治療プログラムで効果/Lancet

 オランダ・ナイメーヘン・ラットバウト大学メディカルセンターのRuslan Leontjevas氏らは、うつ病に対する介入プログラムとして開発された、多職種による複合的治療プログラム「Act in Case of Depression」(AiD)について、身体的障害の介護施設入所者についてはうつ病改善の効果があることを報告した。一方で、認知症の介護施設入所者のうつ病については、同プログラムによる効果は認められなかったという。約800例の介護施設入所者を対象に、stepped-wedge法による無作為化比較試験を行い明らかにしたもので、Lancet誌オンライン版2013年5月2日号で発表した。

血管機能と年齢の関係(コメンテーター:後藤 信哉 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(98)より-

 Dダイマーは体内の線溶の指標である。Dダイマーが上昇するためには、1) 体内にフィブリン血栓ができていること、2) そのフィブリン血栓が線溶系により溶解していること、が必須である。高齢者では血管内皮機能が傷害されている症例が多いので、1) を満たす症例は多いと思われる。しかし、2) も高齢者に起こりやすいので、フィブリンができても溶解しない症例も多いと想定される。

高齢者では喫煙が慢性疼痛を増悪させている可能性がある

 スウェーデン・ルンド大学のUlf Jakobsson氏らによる横断研究の結果、65歳以上の高齢者では喫煙が慢性疼痛の強さと関連していることが明らかになった。著者は、喫煙をやめさせるための介入が、高齢者の疼痛を緩和する一つの方法となるかもしれないとまとめている。Pain Practice誌オンライン版2013年4月12日号の掲載報告。

ビタミンDの摂取がパーキンソン病の症状を安定化させる-本邦での報告-

 ビタミンD受容体遺伝子多型のうちFokⅠT/T型またはFokⅠC/T型を持つ患者が、ビタミンD3を摂取することで、高カルシウム血症を引き起こすことなく、短期的にパーキンソン病の症状を安定化させる可能性が、東京慈恵会医科大学の鈴木正彦氏らによって示唆された。しかしながら同氏は、この効果がパーキンソン病に限らない可能性も示唆している。The American journal of clinical nutrition誌2013年5月号(オンライン版2013年5月13日号)掲載の報告。

Dダイマー検査の年齢調整カットオフ値、静脈血栓塞栓症の診断精度を改善/BMJ

 臨床的に静脈血栓塞栓症(肺塞栓症、深部静脈血栓症)の疑いが高くない50歳以上の患者に対するDダイマー検査のカットオフ値として、従来の基準値に代えて年齢調整値を用いると、高い感度を維持したまま特異度が改善され、高精度に本症の除外診断が可能になることが、オランダ・ユトレヒト大学病院のHenrike J Schouten氏らの検討で示された。Dダイマーは血栓形成に対し高い感度を示すため、臨床的に静脈血栓塞栓症の可能性が高くない患者における本症の除外診断に有用とされるが、可能性が高い患者では本検査の結果にかかわらず画像検査を要する。一方、Dダイマーは加齢にともなって上昇するため、高齢患者の診断に従来のカットオフ値を用いると偽陽性率が上がり、特異度が低下することから、新たなカットオフ値として年齢調整値の導入が進められている。BMJ誌オンライン版2013年5月3日号掲載の報告。

少女へのHPVワクチン、2回接種で効果十分?/JAMA

 少女(9~13歳)へのHPVワクチン接種による免疫獲得について、6ヵ月間隔で2回の接種を受けた群が、6ヵ月以内で3回接種を受けた若い女性(16~26歳)に対し非劣性であったことが、カナダ・ブリティッシュコロンビア大学のSimon R. M. Dobson氏らによる無作為化試験の結果、示された。カナダでは2007年に、学校で接種が受けられる4価HPVワクチンプログラムが導入されたが、当初から高コストの問題が懸案事項となっており、2回投与の可能性が模索されていたという。Dobson氏らは、コスタリカで行われた先行研究で少女への2回投与による免疫獲得の成績が良好であったことを踏まえて、本検討を行った。JAMA誌2013年5月1日号掲載の報告より。

抗てんかん薬のプラセボ効果、東アジアと欧米で地域差

 北里大学薬学部の橘 洋介氏らは、抗てんかん薬の臨床試験でみられるプラセボ効果に関与する因子について検討を行った。その結果、東アジアと欧米諸国ではプラセボ効果に差がみられること、長い罹病期間と複雑部分発作の存在がプラセボ効果の減弱に関連していることを報告した。Clinical Drug Investigation誌2013年5月号の掲載報告。

スマホアプリで悪性黒色腫リスクの評価は可能なのか?

 高性能なカメラ機能や多彩なアプリケーションを搭載するなど、多機能を誇るスマートフォン。Joel A. Wolf氏らは、そんなスマートフォンに搭載されているアプリケーション(スマホアプリ)のうち4本について、皮膚の病変部の撮影画像を評価し、ユーザーに悪性度をフィードバックする機能を検証した。

急性期精神疾患に対するベンゾジアゼピン系薬剤の使用をどう考える

 興奮を伴う急性期の精神疾患患者に対し、ベンゾジアゼピン系薬剤の使用は一般的である。オーストラリア・カンバーランド病院のDonna Gillies氏らは、急性期精神疾患に対するベンゾジアゼピン系薬剤と抗精神病薬の有用性をCochrane Schizophrenia Groupレジストリに基づくレビューにて、比較検討した。Cochrane Database of Systematic Reviewsオンライン版2013年4月30日発表の報告。

ケアホーム高齢者のうつ傾向、運動療法による介入では改善しない/Lancet

 ケアホームに入所するうつ症状を呈する高齢者に対し、中程度の強度の運動プログラムを行ったが、症状の改善は認められなかったことが、英国・ウォーリック大学のMartin Underwood氏らによる集団無作為化試験の結果、報告された。結果を踏まえて著者は「これら虚弱高齢者の精神的治療については、何か別の戦略が必要である」と指摘している。Lancet誌オンライン版2013年5月1日号掲載の報告より。

ソホスブビル、既治療の遺伝子型2、3型HCV感染患者に有効/NEJM

 ペグインターフェロン(PEG)+リバビリン(RBV)療法が適応外または無効な、遺伝子型2、3型C型肝炎ウイルス(HCV)感染患者に対し、ソホスブビル(SOF)+RBV療法は高い有効性と安全性を示すことが、米国ワイルコーネル大学(ニューヨーク市)のIra M. Jacobson氏らの検討で明らかとなった。欧米では現在、これらの患者の治療選択肢として承認されたレジメンはない。ソホスブビルはHCV特異的NS5Bポリメラーゼのヌクレオチド誘導体阻害薬で、in vitroではすべての遺伝子型のHCVを抑制し、第II相試験で2、3型HCV感染患者に対する有効性が確認されている。NEJM誌オンライン版2013年4月23日号掲載の報告。

中国で見つかった鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルス感染症の疫学調査(コメンテーター:小金丸 博 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(97)より-

 2013年3月に中国で鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスの人への感染例が初めて報告されて以降、中国から継続して感染者が発生している。4月には中国帰りの男性が台湾で発症し、中国以外から初めて報告された。本稿執筆時点では日本国内での感染例は報告されていないが、国内発生時に冷静に対応できるよう準備しておく必要がある。

慢性蕁麻疹の血小板活性化、重症度と相関

 慢性蕁麻疹と血小板活性化との関連について、これまで十分に検討した報告はほとんどみられていない。インド・医学教育研究大学院ジャワハル研究所(JIPMER)のLaxmisha Chandrashekar氏らは、健康な対照との比較による横断的研究を行った。その結果、慢性蕁麻疹患者における血小板活性化は有意で、とくに自己反応性を有する患者で顕著であったことを報告した。Platelets誌オンライン版2013年4月15日号の掲載報告。

脳卒中既往例は、10~20年後の死亡率が非常に高い(コメンテーター:桑島 巌 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(96)より-

 一過性脳虚血発作(TIA)を含めた脳卒中急性期を30日以上生存しえた例の、長期予後を検討した追跡観察研究である。発症時期は18~50歳であり、高齢発症の脳卒中症例は除かれている。脳卒中の原因の中ではアテローム血栓、あるいはその疑いがもっとも多く、次いで心原性塞栓、ラクナ梗塞とつづく。リスク因子としては喫煙、高血圧が多い。

統合失調症へのアリピプラゾール持効性注射剤、経口剤との差は?

 オーストリア・インスブルック医科大学のW Wolfgang Fleischhacker氏らは、統合失調症患者の維持療法としてのアリピプラゾール持効性注射剤の月1回投与製剤(ARI-OM、国内未承認)の、長期安全性と忍容性について無作為化試験を行った。その結果、経口剤に匹敵する安全性および忍容性プロファイルが認められたことを報告した。International Clinical Psychopharmacology誌オンライン版2013年4月22日号の掲載報告。

COPDの重症度と冠状動脈疾患との関係は?

 長期間の喫煙歴があるCOPD(慢性閉塞性肺疾患)患者ではCACS(冠動脈カルシウムスコア)が高くなることが認められたが、COPDの重症度と冠動脈カルシウムスコアとの間に相関関係は認められないことが、デンマーク・コペンハーゲン大学病院のThomas Rasmussen氏らによって報告された。European heart journal cardiovascular Imaging誌オンライン版2013年5月2日号の掲載報告。