虚血性僧帽弁逆流症、僧帽弁形成術vs.置換術のアウトカムは同等/NEJM

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2013/12/16

 

 虚血性僧帽弁逆流症に対し、僧帽弁形成術と置換術では、12ヵ月の左室収縮終末期容積係数(LVESVI)は同等であることが示された。死亡率も有意差はなかったが、中等度~重度の僧帽弁逆流症の再発率については、形成術群が置換術群より有意に高率だった。米国・ペンシルベニア大学のMichael A. Acker氏らが、251例の患者について行った無作為化比較試験の結果、明らかにした。虚血性僧帽弁逆流症は、死亡リスクが高く、ガイドラインでは手術が推奨されているが、形成術か置換術かを支持するエビデンスは限定的であった。NEJM誌オンライン版2013年11月18日号掲載の報告より。

僧帽弁形成術と置換術をそれぞれ実施、12ヵ月後のLVESVIを比較
 Acker氏らは、重症虚血性僧帽弁逆流症の患者251例を無作為に2群に分け、一方には僧帽弁形成術を、もう一方には僧帽弁置換術を行い、その有効性と安全性を比較した。主要アウトカムは、12ヵ月後のLVESVIだった。

 被験者の平均年齢は、68~69歳、男性は61~62%だった。

LVESVI値、死亡率、主要有害心・脳血管イベント発生率ともに両群で同等
 結果、12ヵ月後、僧帽弁形成術群の生存患者の平均LVESVI値は54.6(標準偏差:25.0)mL/m2であり、僧帽弁置換術群は60.7(同:31.5)mL/m2と、ベースライン時からの平均変化量はそれぞれ-6.6mL/m2と-6.8mL/m2だった。

 死亡率は、形成術群が14.3%、置換術群が17.6%と、両群で有意差はなかった(形成術群の置換術群に対するハザード比:0.79、95%信頼区間:0.42~1.47、log-rank検定p=0.45)。また、死亡について補正を行った後のLVESVI値も、両群で有意差はなかった(Zスコア=1.33、p=0.18)。

 一方、12ヵ月後の中等度~重度の僧帽弁逆流症の再発率は、形成術群32.6%に対し、置換術群では2.3%と有意に低かった(p<0.001)。

 その他、12ヵ月後の主要有害心・脳血管イベントや、身体機能状態、生活の質についても、両群で有意差はなかった。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)