免疫療法の対象とならない進行TN乳がんの1次治療、SGがPFS延長(ASCENT-03)/ESMO2025

提供元:ケアネット

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公開日:2025/10/23

 

 PD-1/PD-L1阻害薬の対象とならない局所進行切除不能または転移のあるトリプルネガティブ乳がん(TNBC)の1次治療で、サシツズマブ ゴビテカン(SG)が化学療法より有意な無増悪生存期間(PFS)の延長と持続的な奏効をもたらしたことが、第III相ASCENT-03試験で示された。スペイン・International Breast Cancer CenterのJavier Cortes氏が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2025)で発表した。なお、本結果はNEJM誌オンライン版2025年10月18日号に掲載された。

・試験デザイン:国際共同ランダム化非盲検第III相試験
・対象:PD-1/PD-L1阻害薬投与対象外(PD-L1陰性、PD-L1陽性でPD-1/PD-L1阻害薬の治療歴あり、併存疾患により不適格)で未治療(治療歴がある場合は6ヵ月以上無治療)の局所進行切除不能/転移TNBC患者
・試験群:SG(21日サイクルの1日目と8日目に10mg/kg点滴静注)279例
・対照群:化学療法(パクリタキセルもしくはnab-パクリタキセルもしくはゲムシタビン+カルボプラチン)279例、病勢進行後クロスオーバー可
・評価項目:
[主要評価項目]盲検下独立中央判定(BICR)によるPFS
[副次評価項目]全生存期間(OS)、BICRによる奏効率(ORR)・奏効期間(DOR)・奏効までの期間、安全性、QOL

 主な結果は以下のとおり。

・データカットオフ(2025年4月2日)時における追跡期間中央値は13.2ヵ月、349例にPFSイベントが発生していた。患者の地域別の構成は米国/カナダ/西ヨーロッパが32%、その他が68%であった。
・主要評価項目であるBICRによるPFSは、SG群が化学療法群に比べて有意に改善した(ハザード比[HR]:0.62、95%信頼区間[CI]:0.50~0.77、p<0.0001、中央値:9.7ヵ月vs.6.9ヵ月)。このベネフィットは、事前に規定された主要なサブグループで一貫して認められた。
・ORRは、SG群が48%、化学療法群が46%と同程度であったが、DOR中央値はSG群(12.2ヵ月)が化学療法群(7.2ヵ月)より長かった。
・OSは今回の解析ではimmatureであった。HRは0.98で、中央値はSG群で21.5ヵ月、化学療法群で20.2ヵ月であった。
・PFS2(ランダム化から後続治療後の病勢進行/死亡までの期間)中央値は、SG群(18.2ヵ月)が化学療法群(14ヵ月)より長く、HRは0.70(95%CI:0.55~0.90)であった。
・Grade3以上の治療関連TEAEは、SG群61%、化学療法群53%であった。TEAEによる治療中止割合は、SG群4%、化学療法群12%、減量に至った割合は、SG群で37%、化学療法群で45%であった。治療関連死はSG群で6例(すべて感染症による死亡)、化学療法群で1例報告された。
・SGの有害事象は既知の安全性プロファイルと一致しており、Grade3以上の発現割合は好中球減少が43%、下痢が9%であった。

 Javier Cortes氏は「本試験のデータは、PD-1/PD-L1阻害薬を投与できない未治療の転移TNBC患者における新たな標準治療の可能性としてSGを支持する」と結論した。

(ケアネット 金沢 浩子)