日本語でわかる最新の海外医学論文|page:21

コーヒーは片頭痛のリスク因子か?

 コーヒー摂取と頭痛との関連性については、依然として議論が続いている。カフェインは、鎮痛作用と血管収縮作用を有しているが、過剰摂取は頭痛の有病率上昇と関連しているといわれている。台湾・高雄医学大学のPin-Rong Chen氏らは、台湾の大規模コホートにおいて、コーヒー摂取と頭痛の関連性を調査するため、横断研究を実施した。International Journal of Medical Sciences誌2026年1月1日号の報告。  台湾バイオバンクより30〜70歳の2万7,109例の参加者からデータを取得した。頭痛の状態とコーヒー摂取パターン(種類、頻度、1日当たりの摂取量など)は、構造化質問票を用いて評価した。関連性の評価には、多変量ロジスティック回帰モデルを用いた。

タケノコが血糖管理などの健康維持に役立つ可能性

 タケノコが血糖コントロールをサポートするように働く可能性のあることが報告された。英アングリア・ラスキン大学のLee Smith氏らの研究によるもので、血糖コントロールのほかにも、タケノコには炎症抑制や消化促進、抗酸化作用などの働きがあるという。この研究結果の詳細は「Advances in Bamboo Science」2025年11月発行号に掲載されるとともに、1月14日に同大学からニュースリリースが発行された。  竹は地球上で最も成長の速い植物と考えられていて、種類によっては1日で3フィート(約90cm)近く成長することもある。その豊富さや軽さなどのため、建築や家具製造などに広く用いられている。さらにアジア諸国では、竹の芽(ごく若い竹の茎)であるタケノコが食されていて、一部の地域では食卓に欠かせない食材となっている。

早朝シフトワーカーの覚醒状態の維持に覚醒促進薬が効果

 覚醒促進薬のsolriamfetol(商品名Sunosi)が、早朝シフトワーカーにとって、目覚めの1杯のコーヒーの代わりになる可能性を示した臨床試験の結果が報告された。同試験の対象となった早朝シフトワーカーのうち、solriamfetolを使用した人は、プラセボを使用した人と比べて眠気が少なく、より覚醒した状態を維持していたという。米マス・ジェネラル・ブリガム睡眠・サーカディアン医学部門長のCharles Czeisler氏らが実施したこの臨床試験の詳細は、「NEJM Evidence」に1月27日掲載された。  Czeisler氏は、「今回認められた改善は、臨床的に意義のあるものだった。solriamfetolを使用した労働者は、8時間の勤務時間を通じて覚醒した状態で注意力を保つことができていた。

アセトアミノフェンの乳児への処方は安全

 乳児期にアセトアミノフェン(パラセタモール)を使うと、湿疹や喘鳴のリスクが上昇することが、これまでの観察研究で報告されている。こうした中、新たな臨床試験により、アセトアミノフェンとイブプロフェンはいずれも、生後1年以内の乳児にも安全に使えることが示された。これらの市販の鎮痛薬と湿疹や細気管支炎との間に関連は認められなかったという。オークランド大学(ニュージーランド)のStuart Dalziel氏らによるこの研究の詳細は、「The Lancet Child & Adolescent Health」に1月27日掲載された。  アセトアミノフェンと非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は主要な鎮痛薬の一部であり、世界中で小児の発熱や痛みに対して最も頻繁に処方され、市販薬としても広く購入されている。NSAIDsは強い抗炎症作用を持つが胃腸障害を起こしやすい。イブプロフェンはNSAIDsの一種である。

ペムブロリズマブの術前投与が線維形成性黒色腫の生存率を改善

 すでに米食品医薬品局(FDA)に承認されている免疫療法薬のペムブロリズマブが、悪性黒色種(メラノーマ)の亜型の一つである線維形成性黒色腫を劇的に縮小させ、場合によっては完全に消失させることが、第2相臨床試験で示された。線維形成性黒色腫は悪性黒色腫全体の4%を占めるに過ぎないが、組織の奥深くまで成長し、神経に沿って広がることもあるため、手術が難しく、患部の変形リスクがあることが指摘されている。米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)ジョンソン総合がんセンター腫瘍免疫学プログラム所長のAntoni Ribas氏らによるこの研究結果は、「Nature Cancer」に1月29日掲載された。  抗PD-1抗体のペムブロリズマブは、がん細胞が免疫系からの攻撃を回避するメカニズムを阻害することで作用する。

PCOS、体外受精前のビタミンD補充で出生率は向上せず/BMJ

 体外受精を予定している多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)患者において、ビタミンD補充(4,000 IU/日)の最長90日間の継続は、プラセボと比較して血清中25-ヒドロキシ(OH)ビタミンD濃度(25-OHD)を上昇させるものの、初回胚移植後の出生率は改善しなかった。中国・浙江大学のKai-Lun Hu氏らVitD-PCOS trial groupが、同国の不妊治療センター24施設において実施した無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験の結果を報告した。観察研究では、PCOSの女性におけるビタミンD欠乏と生殖アウトカム不良との関連が一貫して示されており、先行研究でビタミンD補充が体外受精に有益な効果をもたらす可能性があることが小規模な検出力不足の臨床試験において示唆されていた。今回の結果は、体外受精を受けるPCOSの女性における補助療法としてのビタミンD補充の日常的な使用に疑問を投げ掛けるものである。BMJ誌2026年2月17日号掲載の報告。

CAR-T liso-cel、再発・難治性辺縁帯リンパ腫に有効/Lancet

 再発または難治性の辺縁帯リンパ腫(MZL)患者において、CD19を標的とするCAR-T細胞療法リソカブタゲン マラルユーセル(liso-cel、商品名:ブレヤンジ)は持続的な高い奏効率を示し、安全性プロファイルは管理可能であり、新たな安全性シグナルは認められなかった。米国・Memorial Sloan Kettering Cancer CenterのM. Lia Palomba氏らが、米国、カナダ、欧州、日本の30施設で実施した国際共同第II相試験「TRANSCEND FL試験」におけるMZLコホートの主要解析結果を報告した。再発または難治性のMZLに対する持続的で深い奏効を示す有効な治療法は、いまだ確立されていない。著者は、「今回の結果は、再発または難治性MZLに対する新たな治療選択肢としてリソカブタゲン マラルユーセルを支持するものである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2026年2月12日号掲載の報告。

日本発、期待の新薬をどう使うか?(解説:岡慎一氏)

islatravirは、世界初のエイズ治療薬AZTを開発した満屋 裕明博士が開発した日本発の新薬である。満屋氏は、これまでにも数多くの抗HIV薬を世に送り出し、抗HIV薬創薬の世界的権威であるが、その満屋氏が「この薬剤はすごい!」と話している。どうすごいかというと、とにかく試験管内での抗HIV効果がきわめて強いことと、細胞毒性が見られないらしい。要するに、「よく効いて安全である」ということになる。本臨床試験であるが、現在の非常に強力な3剤併用療法と、ドラビリンとの2剤の合剤1日1回服用を無作為割り付けで比較し、非劣性が証明されている。

乳がん診断後の飲酒、予後との関係~メタ解析

 飲酒は乳がん罹患率に影響を及ぼすと考えられる一方で、乳がん診断後の予後との関連については十分に確立されていない。イタリア・University of GenovaのLuca Arecco氏らによる、約250万例を対象としたシステマティックレビューおよびメタ解析の結果、飲酒は用量依存的な乳がんリスク増加と関連していた一方で、乳がん診断歴を有する患者においては飲酒と予後悪化の間に関連はみられなかった。Breast誌オンライン版2026年2月5日号に掲載の報告。

米国「食事ガイドライン」改訂――初の超加工食品制限に評価も、専門家から批判も相次ぐ

 米国の「食事ガイドライン(Dietary Guidelines for Americans:DGA)」は、学校給食などをはじめとした国民の栄養摂取の指針となるもので、米国農務省(USDA)と米国保健福祉省(HHS)が5年ごとに改訂している。2026年1月7日に最新版(2025~2030年版)が発表され、大きな内容変更が話題となっている。  改訂版の中心となるメッセージは、「Eat real food(本物の食物を食べよう)」で、全体を通じて「ホールフード」(加工されていない/加工が最小限の食品、全粒粉穀物など)の摂取が推奨されている。従来のDGAは、基本的に塩分や糖分といった1日の栄養目標値の範囲内であれば、あらゆる食品の選択肢が許容されるものとしてきたが、この方針を大きく転換した。

現在の認知症診断、その費用対効果は?

 アルツハイマー病および認知症は、世界において臨床的および経済的に大きな負担となっている。早期診断や介入は、疾患の進行を遅らせる可能性がある。現在の診断ガイドラインでは、臨床評価と併せて画像診断およびバイオマーカー分析を検討することが推奨されている。しかし、医療資源は限られているため、資源配分の指針として診断技術の費用対効果を検証する必要がある。カナダ・Western UniversityのMunira Kashem氏らは、アルツハイマー病または認知症の診断および/または進行フォローアップのための神経画像診断、バイオマーカー、その他の診断、スクリーニング戦略に関する経済評価研究をシステマティックにレビューした。Alzheimer's Research & Therapy誌2026年1月23日号の報告。

飲酒と大腸がん、リスクの高い頻度と量は?

 飲酒は大腸がんリスクの上昇と関連していることが示されているが、生涯飲酒に関する研究は限られている。米国国立がん研究所のCaitlin P. O'Connell氏らは、生涯飲酒と大腸腺腫および大腸がんの発症との関連性を推定することを目的とした研究を行った。Cancer誌2026年2月1日号掲載の報告。  前立腺がん、肺がん、大腸がん、卵巣がん検診の効果を評価するPLCO試験に参加した米国成人を対象とした。参加者はビール、ワイン、蒸留酒の摂取頻度について、4つの事前定義された年齢層(18~24歳、25~39歳、40~54歳、55歳以上)ごとに、10段階の頻度カテゴリー(飲酒経験なし~1日6杯以上)を用いて回答した。また、過去1年間のビール・ワイン・蒸留酒摂取量も報告した。参加者を「非飲酒者」「元飲酒者」「現飲酒者」に分類し、生涯平均飲酒量(週1杯未満、1~7杯未満、7~14杯未満、14杯以上)でも分類した。

夜型の生活習慣は心臓の健康に悪影響

 夜更かしの習慣は、心臓の健康に悪影響を与えているかもしれない。クロノタイプが夜型の中高年は、朝型でも夜型でもない中間型の中高年と比較して、心臓の健康状態が悪い傾向にあることが、新たな研究で示された。この研究を主導した米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院内科部門のSina Kianersi氏は、「夜型の人は、食事の質が低かったり、喫煙したり、睡眠が不足していたり不規則だったりと、心血管の健康に影響を及ぼす行動を取りがちな可能性がある」と述べている。この研究結果は、「Journal of the American Heart Association」に1月28日掲載された。  研究グループによると、夜型の人は体内時計とも呼ばれる概日リズムが乱れることが多く、それが健康的な行動や心代謝機能に悪影響を及ぼす可能性が考えられるという。

枕の高さが緑内障患者の夜間眼圧に影響か

 就寝時の簡単な工夫が、緑内障の進行を遅らせるのに役立つかもしれない。新たな研究で、枕を使わずに寝ることで眼圧を下げられる可能性のあることが示された。緑内障では、眼圧の上昇によって視神経が損傷し、不可逆的な視力低下につながる恐れがある。研究では、枕を二つ重ねて使った患者の3分の2で、眼圧の上昇が確認されたという。浙江大学(中国)医学院附属第二病院眼科センターのKaijun Wang氏らによるこの研究結果は、「British Journal of Ophthalmology」に1月27日掲載された。研究グループは、「緑内障患者にとって、枕を使わずに寝ることは、薬物治療やレーザー治療に移行する前に試せる手軽な対策になり得る」と述べている。

がん研究、約10%が不正な「ペーパーミル製論文」か/BMJ

 ペーパーミル(論文工場)は、がん研究論文において深刻かつ拡大する問題であり、低インパクトファクターの雑誌に限った問題ではないことが、フランス・L'Institut AgroのBaptiste Scancar氏らが行った機械学習モデルの構築・検証およびスクリーニングの結果で示された。著者は、「ペーパーミルの問題に対処するためには、関係者全体でこの課題を共有し行動を起こすことが不可欠である」とまとめている。BMJ誌2026年1月29日号掲載の報告。

更年期のホルモン補充療法、死亡は増加せず/BMJ

 45歳以降に初めて更年期ホルモン補充療法を受けた女性は、受けなかった女性と比較して死亡リスクは増加しないことが、デンマーク・Copenhagen University Hospital HerlevのAnders Pretzmann Mikkelsen氏らの調査で示された。これまでの研究では、更年期ホルモン補充療法後の死亡率は減少または変化なしと報告されていたが、方法論的な限界が指摘されていた。BMJ誌2026年2月18日号掲載の報告。

一過性受容体電位カチオンチャネルサブファミリーCメンバー6(TRPC6)の阻害は筋ジストロフィーのみならず巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)の治療にも有効(解説:浦信行氏)

FSGSは糸球体の一部に硬化が見られる疾患でネフローゼ症候群を示す。難治性であり、腎生存率は10年では85.3%、20年では33.5%となり、3人に1人が末期腎不全となって腎臓を失う。日本における患者数は約7,000人と推定されているが、現在FSGSに対する特異的な治療法はない。しかし、最近病態の一部が明らかにされ、TRPC6が注目されている。これの経口阻害薬であるBI 764198の第II相試験の結果が報告され、約40%の症例で尿蛋白が25%以上の減少を示した。その詳細は本年2月5日配信のCareNet.comに紹介されているので参照されたい。FSGSの病態の一部はTRPC6が上昇してポドサイトの細胞内Caが上昇し、ポドサイトが糸球体基底膜から脱落してポドサイトの減少を招き、糸球体の瘢痕化と尿蛋白漏出を招く。

コルヒチン中毒の報告受け、添文の警告や副作用など改訂/厚労省

 コルヒチン(商品名:コルヒチン錠0.5mg「タカタ」)の添付文書への警告や重大な副作用の新設、用法及び用量などの改訂について、2026年2月24日、厚生労働省より改訂指示が発出された。  主な改訂内容として、用法及び用量に関連する注意の項では、「痛風発作の緩解への使用において、1日量1.5mgを超える高用量の投与は臨床上やむを得ない場合を除き避けること。1回量、1日量及び投与期間は国内の最新のガイドラインを参考にすること」「痛風発作の予防又は家族性地中海熱への使用において、承認された用量を超えて投与しないこと」の追記がなされた。

デュシェンヌ型筋ジストロフィーの治療薬発売/中外

 中外製薬は、2026年2月20日にデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)の治療を目的とした再生医療等製品のデランジストロゲン モキセパルボベク(商品名:エレビジス点滴静注)を発売した。投与対象は、DMDのうち、エクソン8および/またはエクソン9の一部または全体の欠失変異を有さず、抗AAVrh74抗体が陰性である3歳以上8歳未満の歩行可能な患者となっている。また、本製品は2025年5月13日に条件および期限付承認に該当する製造販売承認を取得している。

日本における統合失調症、患者と介護者の負担は?

 統合失調症は重篤な精神疾患であり、臨床的、経済的、そして人道的に大きな影響を及ぼす。日本ベーリンガーインゲルハイムのFumiko Ono氏らは、日本における統合失調症患者と介護者への負担を評価するため、文献レビューを行った。Schizophrenia誌オンライン版2026年1月20日号の報告。  2013~23年のPubMed、医中誌、CiNii、J-STAGE、Cochraneデータベースおよび2018~23年の医師会、政府機関、患者団体からの補足資料から該当データを収集した。本レビューでは、統合失調症患者と介護者が経験する疫学、臨床管理、社会的、人道的、そして経済的負担に焦点を当てた。