統合失調症スペクトラム症および双極症の治療には、多剤併用療法、高用量の向精神薬、高い抗コリン作用負荷、認知機能低下と関連する抗コリン薬およびベンゾジアゼピン系薬剤の使用が含まれることがある。フランス・Centre Hospitalier de VersaillesのNathan Vidal氏らは、認知機能改善のための今後の治療ガイドラインおよび介入の策定に役立てるため、2013~22年の統合失調症スペクトラム症または双極症の成人外来患者における、薬物治療の動向を評価した。Journal of Pharmaceutical Policy and Practice誌2026年3月31日号の報告。
フランスの全国医療保険請求データベースを用いて、レトロスペクティブ縦断分析を実施した。2013~22年に使用された向精神薬(抗精神病薬、抗うつ薬、抗不安薬、睡眠薬、抗てんかん薬)を特定した。診断別および年齢層別に、使用された向精神薬の数、向精神薬の1日総投与量(DDD)、累積抗コリン作用負荷、ベンゾジアゼピン系薬剤および抗コリン系薬剤の使用頻度について、混合効果線形回帰モデルを用いて推定した。
主な結果は以下のとおり。
・2013~22年に、ほとんどのグループにおいて、向精神薬の数(β:-0.006~-0.031)、投与量(β:-0.003~-0.029)、ベンゾジアゼピン系薬剤の使用頻度(β:-0.26~-0.88)に、わずかではあるものの有意な減少が認められた。
・抗コリン薬の使用は、統合失調症スペクトラム症では減少していたが、双極症では減少が認められず、抗コリン作用負荷は全体的に横ばいであった。
・2022年に向精神薬による抗コリン作用負荷が少なくとも1回は高かった患者は、双極症の42.1%、統合失調症スペクトラム症の49.4%にみられた。
・処方中止の傾向は、2020年以降ほぼ変化がなかった。
著者らは「2013~22年に、向精神薬の種類と総投与量、ベンゾジアゼピン系薬剤の処方量がわずかに減少したことは、統合失調症スペクトラム症および双極症の成人患者における副作用への配慮が向上したことを示唆している。しかし、抗コリン薬の使用と抗コリン作用負荷は軽減できていないことが明らかとなった。COVID-19パンデミック後も、向精神薬の減薬(deprescribing)を支援するための、さらなる取り組みが求められる」としている。
(鷹野 敦夫)