第2世代抗精神病薬(SGA)は、安全性に関する懸念が存在するにもかかわらず、アルツハイマー病の行動症状のマネジメントに対し、適応外で使用されることが少なくない。しかし、特定のSGA間における死亡リスクを比較したエビデンスは、依然として限られている。米国・ピッツバーグ大学のChen Jiang氏らは、一般的に使用されるSGAで治療を行ったアルツハイマー病患者におけるすべての原因による死亡率を比較し、因果機械学習を用いて治療効果の異質性を検討した。CNS Drugs誌オンライン版2026年3月28日号の報告。
Truvetaプラットフォームの匿名化された電子カルテデータを用いて、レトロスペクティブコホート研究を実施した。新規患者デザインを用いて、アリピプラゾール、リスペリドン、クエチアピン、オランザピンによる治療を開始した新規アルツハイマー病患者を特定した。曝露は、Cox比例ハザードモデルにおいて時間変動共変量としてモデル化し、交絡因子を調整するために傾向スコアマッチングを適用した。因果ツリーとターゲット最大尤度推定法を用いて、治療効果に異質性を示すサブグループを特定した。
主な結果は以下のとおり。
・アルツハイマー病患者1万7,004例において、アリピプラゾールは、オランザピン(調整ハザード比[aHR]:0.667、95%信頼区間[CI]:0.472〜0.941)およびクエチアピン(aHR:0.677、95%CI:0.462〜0.990)と比較し、死亡率が有意に低かった。
・クエチアピンは、オランザピン(aHR:0.833、95%CI:0.702〜0.990)およびリスペリドン(aHR:0.830、95%CI:0.705〜0.978)と比較し、死亡率が低かった。
・因果ツリー分析により、とくに2型糖尿病治療薬を使用している患者において、臨床的特徴による治療効果の異質性が明らかになった。
・サブグループ解析では、アリピプラゾールは、2型糖尿病治療薬使用患者において保護効果を示した(クエチアピンおよびリスペリドンの併用群と比較し、aHR:0.604、p=0.002)。
著者らは「単剤療法を行っているアルツハイマー病患者において、SGAによる死亡リスクには大きな違いが認められた。アリピプラゾールとクエチアピンは、オランザピンとリスペリドンと比較し、死亡率が低いことが示された。治療効果の異質性は、併存する2型糖尿病などの患者特性に基づいた個別処方の必要性を示唆している」と結論付けている。
(鷹野 敦夫)