内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:20

日本における片頭痛患者の市販薬使用状況調査〜OVERCOME第2回研究

 片頭痛患者は、さまざまな理由で市販薬(OTC)を好む傾向があるが、OTC頭痛薬の過剰使用は、薬物乱用性頭痛を引き起こす可能性がある。京都府立医科大学の石井 亮太郎氏らは、片頭痛の疫学、治療、ケアに関する観察研究であるOVERCOME(Japan)第2回研究を分析し、日本における片頭痛患者のOTC頭痛薬の実際の使用状況が適切な医療の妨げとなっている可能性について、考察を行った。The Journal of Headache and Pain誌2025年5月7日号の報告。  本研究は、成人片頭痛患者を対象に、横断的地域住民ベースの全国オンライン調査として実施された。調査内容には、片頭痛に対する処方薬およびOTC薬の使用経験、片頭痛薬の認知度、片頭痛に対する態度についての報告を含めた。1ヵ月当たりの頭痛日数(MHD)および1ヵ月当たりのOTC頭痛薬の使用頻度に基づきサブグループ解析を実施した。

定年後も働きたい?医師が望むセカンドキャリア/医師1,000人アンケート

 近年、医師の定年後の過ごし方は多様化している。今回、CareNet.comでは、「医師の定年後の過ごし方」と題したアンケートを実施し、何歳まで働き続けたいかや、希望するセカンドキャリアなどを聞いた。対象はケアネット会員医師のうち、50代の勤務医が中心の1,002人で、内科系(545人)、外科系(282人)、その他診療科(175人)の3群に分けて傾向を調査した。  Q1では「何歳まで働きたいか」を聞いた。全体で最も多かった回答は「66~70歳まで」で28%、「61~65歳まで」が21%、「71~75歳まで」が22%だった。診療科系別にみると、「60歳まで」と回答した割合はその他診療科が12%で最も高く、「生涯現役」と回答した割合は内科系が13%でほかより若干高かった。

肥満体型の若い女性の健康状態は良好か

 体型と健康状態に相関はあるのだろうか。このテーマについて、オーストラリア・クイーンズランド大学公衆衛生学部オーストラリア女性少女健康研究センターのAnnette J. Dobson氏らの研究グループは、若年女性に多くみられる健康状態の年齢別有病率とBMIカテゴリーとの関連性が世代間で異なるかどうかを検討するため、18~30歳の女性の体重と身長を解析した。その結果、低体重・過体重の女性では、健康状態が良好ではないことが判明した。この結果は、Obesity誌オンライン版2025年5月13日号に掲載された。

高齢者の不眠を伴ううつ病に対する薬理学的介入効果の比較〜ネットワークメタ解析

 高齢者における睡眠障害を伴ううつ病に対するさまざまな薬物治療の有効性と安全性を比較するため、中国・北京大学のJun Wang氏らは、システマティックレビューおよびネットワークメタ解析を実施した。Psychogeriatrics誌2025年5月号の報告。  主要な国際データベース(Medline、Cochrane Library、Scopus、Embase、WHO国際臨床試験登録プラットフォーム、ClinicalTrialsなど)より、事前に設定したワードを用いて、検索した。薬物治療またはプラセボ群と比較したランダム化比較試験(RCT)を対象に含めた。ネットワークメタ解析におけるエフェクトサイズの推定には、標準平均差(SMD)および95%信頼区間(CI)を用いた。データ解析には、頻度主義アプローチを用いた。安全性評価には、治療中に発現した有害事象および重篤な有害事象を含めた。

飲酒は膵がんに関連するのか~WHOの大規模プール解析

 アルコール摂取と膵がんリスクとの関連を示すエビデンスは国際的専門家パネルによって限定的、あるいは決定的ではないと考えられている。今回、世界保健機関(WHO)のInternational Agency for Research on Cancer(IARC)のSabine Naudin氏らは、30コホートの前向き研究の大規模コンソーシアムにおいて、アルコール摂取と膵がんリスクとの関連を検討した。その結果、性別および喫煙状況にかかわらず、アルコール摂取と膵がんリスクにわずかな正の関連が認められた。PLOS Medicine誌2025年5月20日号に掲載。

原発性アルドステロン症診断のための座位生理食塩水負荷試験は有効か?

 高血圧患者の最大30%が罹患しているとされる原発性アルドステロン症の有無を確認するために広く実施されている特定の検査はしばしば不正確であることが、新たな研究で示された。カルガリー大学(カナダ)医学部准教授のAlexander Leung氏らによるこの研究の詳細は、「Annals of Internal Medicine」に5月6日掲載された。Leung氏は、「この不正確な検査をなくすことで診断精度が向上し、治療開始までの時間が短縮される可能性がある。これは高血圧治療の領域における大きなパラダイムシフトとなる」と述べている。

治療抵抗性高血圧、amilorideはスピロノラクトンに非劣性/JAMA

 治療抵抗性高血圧の治療において、カリウム保持性利尿薬のamilorideはスピロノラクトンに対し、家庭収縮期血圧(SBP)の低下に関して非劣性が認められたことを、韓国・Yonsei University のChan Joo Lee氏らが、同国の14施設で実施した無作為化非盲検評価者盲検臨床試験の結果で報告した。これまで、治療抵抗性高血圧患者においてスピロノラクトンとamilorideの有効性を比較した無作為化臨床試験は行われていなかった。結果を踏まえて著者は、「amilorideは治療抵抗性高血圧の治療に有効な代替薬となりうることが示された」とまとめている。JAMA誌オンライン版2025年5月14日号掲載の報告。

帯状疱疹ワクチンが認知症を予防する:観察研究が質の低いランダム化比較試験を凌駕するかもしれない(解説:名郷直樹氏)

 水痘ウイルスが長く神経系に留まり、認知機能などに影響を及ぼす可能性が疑われているが、ウェールズでの帯状疱疹生ワクチンと認知症予防の研究とほぼ同時に発表された、オーストラリアの6つの州にまたがる65の一般医(general practitioner)の電子レコードを利用した観察研究である。2016年の帯状疱疹生ワクチンの無料接種が開始された時期に、ワクチン接種対象者と非接種対象者を比較し、認知症の発症との関連を見た、ビッグデータを利用した観察研究である。研究デザインが準実験的研究と書かれているように、観察研究でありながらさまざまな工夫がなされた研究である。まず曝露群と比較対照群の設定であるが、実際の接種者ではなく、無料の接種が始まる前に80歳の誕生日を迎えた非接種対象者と、開始後に誕生日を迎えた接種対象者を比較し、ランダム化比較試験のITT(intention to treat)を模倣した解析を行っている。

モデルナ、プレフィルドシリンジ型コロナワクチンを新発売

 モデルナ・ジャパンは5月26日付のリリースにて、新型コロナウイルスワクチン「スパイクバックス(R)筋注シリンジ」を新たに発売したことを発表した。本ワクチンは、12歳以上を対象とした1回接種用0.5mLを充填したプレフィルドシリンジ製剤で、医療現場での調製時間を短縮し、投与準備を簡便化する。これにより、医療従事者の負担軽減と接種の効率化が期待される。本製剤は、オミクロン株JN.1系統に対応している。  なお、2025年春夏シーズンの任意接種においては、従来からのオミクロン株JN.1系統対応バイアル製剤「スパイクバックス(R)筋注」も引き続き使用可能となっている。

研修医の自殺、研修開始後3ヵ月が最多

 米国卒後医学教育認定評議会(ACGME)が行った以前の調査によると、2000~14年の米国における研修医・フェローの主な死亡原因は自殺とがんであった。後続研究としてACGMEは2015~21年のデータを分析し、以前の結果と比較した。Nicholas A. Yaghmour氏らによる本研究の結果は、JAMA Network Open誌2025年5月14日号に掲載された。  主要アウトカムは前回(2000~14年)と今回(2015~21年)の2つの期間における研修医・フェローの死亡率の差であった。副次的アウトカムは一般の同年代との死亡率の比較、専門分野別の死亡原因の差異だった。