内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:1

肥満症治療に変革をもたらすチルゼパチドへの期待/リリー

 食事療法と運動療法が治療の主体である肥満症は、近年では肥満症治療薬が増えてさまざまな知見がリアルワールドで集積している。肥満症を適応とする持続性GIP/GLP-1受容体作動薬チルゼパチド(商品名:ゼップバウンド)を製造する日本イーライリリーは、都内でメディア向けのセミナーを開催し、わが国の肥満・肥満症の現況、医療費への影響、チルゼパチドの最新臨床試験データなどを説明した。  「肥満症治療の社会的意義 ~最新の肥満症に関する研究結果を受けて~」をテーマに、同社の宗和 秀明氏(研究開発・メディカルアフェアーズ統括本部 ダイアベティス・オベシティ・心・腎領域バイスプレジデント/医師)が、肥満症に関係する情報を解説した。

サルコペニア・フレイル、十分なエビデンスのある栄養療法とは?初の栄養管理ガイドライン刊行

 サルコペニア・フレイルに対し有効性が示された薬物療法はいまだなく、さまざまな栄養療法の有効性についての報告があるが、十分なエビデンスがあるかどうかは明確になっていない。現時点でのエビデンスを整理することを目的に包括的なシステマティックレビューを実施し、栄養管理に特化したガイドラインとしては初の「サルコペニア・フレイルに関する栄養管理ガイドライン2025」が2025年4月に刊行された。ガイドライン作成組織代表を務めた葛谷 雅文氏(名鉄病院)に、ガイドラインで推奨された栄養療法と、実臨床での活用について話を聞いた。

「終末期」を「人生の最終段階」へ変更、その定義とは/日本老年医学会

 日本老年医学会は6月27日のプレスリリースにおいて、「終末期」から「人生の最終段階」への変更における定義などを示した『高齢者の人生の最終段階における医療・ケアに関する立場表明2025』を発表した。この立場表明は同学会が21世紀初頭に初版を発表、2012年の第1改訂から10年以上が経過したため、現在を見据えつつ近未来を展望して今回の改訂がなされた。今回開催された記者会見では、立場表明のなかで定義付けされた用語とその理由について、本改訂委員会委員長を務めた会田 薫子氏(東京大学大学院人文社会系研究科 附属死生学・応用倫理センター 特任教授/同学会倫理委員会 エンドオブライフ小委員会委員長)を中心に解説が行われた。

SGLT2阻害薬で糖尿病患者の転倒リスク上昇

 SGLT2阻害薬(SGLT2-i)が、2型糖尿病患者の転倒リスクを高めることを示唆するデータが報告された。筑波大学システム情報系の鈴木康裕氏らが行った研究の結果であり、詳細は「Scientific Reports」に3月17日掲載された。  転倒やそれに伴う骨折や傷害は、生活の質(QOL)低下や種々の健康リスクおよび死亡リスクの増大につながる。糖尿病患者は一般的に転倒リスクが高く、その理由として従来、神経障害や網膜症といった合併症の影響とともに、血糖降下薬使用による低血糖の影響が指摘されていた。さらに比較的近年になり、血糖降下以外の多面的作用が注目され多用されるようになった、SGLT2-iやGLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)に関しては、体重減少とともに筋肉量を減少させることがあり、その作用を介して転倒リスクを高める可能性も考えられる。ただし、実際にそのようなリスクが生じているか否かはこれまで検証されていなかった。

賃金・物価上昇、診療報酬改定が直撃!診療所の経営は?/医師1,000人アンケート

 2024年の診療報酬改定は、診療報酬本体は+0.88%、薬価・材料価格引き下げは-1.00%で、全体ではマイナス改定となった。「医療従事者の賃上げ」「医療DX等による質の高い医療の実現」「医療・介護・障害福祉サービスの連携強化」という3つの目標が掲げられ、関連する項目が加算・減算された。診療報酬改定のほか、ここ数年の急激な物価上昇や人件費高騰もクリニックの経営に影響を与えていることが予想される。ケアネットでは「自身でクリニックを経営し、開業後3年以上が経過している医師」(40代以上)を対象に、直近の経営状況についてWebアンケートで聞いた。

日本人うつ病におけるブレクスピプラゾールの費用対効果

 うつ病患者の約半数は、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)やセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)で十分な治療反応が得られていない。このような患者では、ブレクスピプラゾール補助療法が治療候補となりうる。大塚製薬のYilong Zhang氏らは、日本におけるSSRI/SNRI治療抵抗性うつ病患者に対するブレクスピプラゾール補助療法の費用対効果を検証した。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2025年5月27日号の報告。  日本の公的医療保険制度の観点から、SSRI/SNRI治療抵抗性うつ病患者を対象に、SSRI/SNRIの補助療法としてブレクスピプラゾールまたはプラセボを併用した際の費用対効果を分析した。追加の解析では、ブレクスピプラゾール投与開始時期を、8週目(早期追加)および14週目(後期追加)に追加した場合の比較も行った。ブレクスピプラゾールの臨床試験に参加した患者コホートより、合計67週間にわたりフォローアップ調査を行った。

腰痛リスクが低下する1日の歩行時間は?

 ウォーキングと慢性腰痛リスクとの関連性を調査した前向きコホート研究の結果、慢性腰痛の予防においては歩行時間のほうが歩行強度よりも重要な要素である可能性が示された。1日の歩行時間が長いほど慢性腰痛のリスクが低く、1日の歩行時間が101分超の参加者は78分未満の参加者と比較して慢性腰痛リスクが23%低かったことを、ノルウェー科学技術大学のRayane Haddadj氏らが明らかにした。JAMA Network Open誌2025年6月13日号掲載の報告。  定期的な身体活動は慢性腰痛を軽減する可能性が示唆されているが、ウォーキングと慢性腰痛リスクとの関連性は明らかではない。そこで研究グループは、ノルウェーの人口ベースのHUNT4研究(2017~19年)の参加者1万1,194人を対象に、加速度計を用いて計測した1日の歩行時間と歩行強度(MET)が、その後の慢性腰痛の発症リスクと関連するかどうかを調べた。追跡期間は約4.2年で、慢性腰痛は過去12ヵ月間に3ヵ月以上継続した腰痛と定義した。

国を滅ぼしかねない(?)ベンゾジアゼピン系、その減らし方(解説:岡村毅氏)

ビリー・アイリッシュにXannyという曲があるが、これはベンゾジアゼピン系抗不安薬(米国の商品名はXanaxなど)の怖さを歌っている。プリンスやジュース・ワールドといった世界的アーティストの命をも奪ってしまったオピオイドの蔓延は、米国人の平均寿命さえも低下させており、トランプ現象を生み出したともいわれている。オピオイドほどではないにせよ、同時に使用されることも多いベンゾジアゼピン系の蔓延もまた米国の薬物依存の深刻さを表していると言えよう。古くからあるが、いまだに最先端の話題である。

脂肪性肝疾患の診療のポイントと今後の展望/糖尿病学会

 日本糖尿病学会の第68回年次学術集会(会長:金藤 秀明氏[川崎医科大学 糖尿病・代謝・内分泌内科学 教授])が、5月29~31日の日程で、ホテルグランヴィア岡山をメイン会場に開催された。  今回の学術集会は「臨床と研究の架け橋 ~translational research~」をテーマに、41のシンポジウム、173の口演、ポスターセッション、特別企画シンポジウム「糖尿病とともに生活する人々の声をきく」などが開催された。  近年登場する糖尿病治療薬は、血糖降下、体重減少作用だけでなく、心臓、腎臓、そして、肝臓にも改善を促す効果が報告されているものがある。

非喫煙者の肺がん、よく料理する人ほどリスク高い?

 家庭内空気汚染が非喫煙者における肺がんの潜在的な原因であるというエビデンスが蓄積され、空気中の粒子状物質、家庭用家具から発生する揮発性有機化合物、調理煙への曝露が肺がんリスクを高める可能性がある。今回、英国・レスター大学のBria Joyce McAllister氏らが、家庭内空気汚染の1つである調理煙への曝露と非喫煙者の肺がんとの潜在的関連について高所得国で検討し、関連性が認められたことを報告した。1日1食調理する女性に対し1日3食調理する女性の肺がんのオッズ比(OR)は3.1と発症リスクが高かった一方、換気フード使用のORは0.49と予防効果が示唆された。BMJ Open誌2025年6月20日号に掲載。