米国卒後医学教育認定評議会(ACGME)が行った以前の調査によると、2000~14年の米国における研修医・フェローの主な死亡原因は自殺とがんであった1)。後続研究としてACGMEは2015~21年のデータを分析し、以前の結果と比較した。Nicholas A. Yaghmour氏らによる本研究の結果は、JAMA Network Open誌2025年5月14日号に掲載された。
主要アウトカムは前回(2000~14年)と今回(2015~21年)の2つの期間における研修医・フェローの死亡率の差であった。副次的アウトカムは一般の同年代との死亡率の比較、専門分野別の死亡原因の差異だった。
主な結果は以下のとおり。
・2015~21年に370万778人の研修医・フェローが96万1,755人年分の研修に参加した。この期間に161人(女性50人[31.1%]、年齢中央値31[SD 29~35]歳)が研修中に死亡した。
・47人(29.2%)が自殺、28人(17.4%)ががん、22人(13.7%)がその他の疾患、22人(13.7%)が事故、21人(13.0%)が事故による中毒で死亡した。
・がんによる死亡率は、前回から今回にかけて減少した。一方、自殺を含むその他の全原因による死亡率には変化がなかった。
・両期間とも、自殺による死亡は研修1年目の最初の3ヵ月間に最も多く発生し(今回:9/47人)、研修の最初の1年間での発生が3割(同:14/47人)を占めた。
・今回の研修医・フェローの全原因による死亡率(自殺含む)は、同年代の比較対象群と比べて低かった。
・専門分野別では、自殺の死亡率が最も高かったのは病理診断科(10万人年当たり19.76人)、がんの死亡率が高かったのは精神科(10万人年当たり9.67人)、中毒の死亡率が高かったのは麻酔科(10万人年当たり15.46人)だった。
研究者らは「両期間を比較すると、がんによる死亡率が減少した一方、全原因による死亡率は変化しなかった。両期間中に観察された、研修直後の3ヵ月における自殺数は依然として懸念される。研修医支援に向けた今後の取り組みは、とくに初期のストレスの要因と軽減に焦点を当てる必要がある」としている。
(ケアネット 杉崎 真名)