内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:19

インフルワクチン接種回数と認知症リスクが逆相関~メタ解析

 インフルエンザワクチン接種と認知症リスク低下との関連性については、一貫性のない結果が報告されており、この関連性は明確になっていない。台湾・Keelung Chang Gung Memorial HospitalのWen-Kang Yang氏らは、全人口および慢性腎臓病(CKD)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、血管性疾患などの認知症高リスク患者におけるインフルエンザワクチン接種と認知症リスクとの関連を評価するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Age and Ageing誌2025年7月1日号の報告。  2025年4月6日までに公表された研究をPubMed、Embase、CENTRALよりシステマティックに検索し、ランダム効果メタ解析を実施した。バイアスリスクの評価には、ニューカッスル・オタワ尺度を用いた。

不眠症に対する各運動介入の比較〜ネットワークメタ解析

 中国・北京中医薬大学のZhi-Jun Bu氏らは、不眠症における重症度の軽減および睡眠の質の改善に対するさまざまな運動介入の有効性を比較するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。BMJ Evidence-Based Medicine誌オンライン版2025年7月15日号の報告。  2025年4月1日までに公表された研究をPubMed、Cochrane Library、Embase、Web of Science、SPORTDiscus、PsycINFOデータベースより検索した。成人不眠症患者を対象に、介入を評価したランダム化比較試験(RCT)をメタ解析に含めた。バイアスリスクの評価には、Cochrane Risk of Bias 2 Toolを用いた。エビデンスの確実性は、ネットワークメタ解析信頼性(CINeMA)プラットフォームを用いて評価した。各介入の有効性を評価するため、頻度主義ネットワークメタ解析を実施し、平均差(MD)および95%信頼区間(CI)をアウトカムとして算出した。睡眠アウトカムの評価には、ピッツバーグ睡眠品質指数(PSQI)、不眠症重症度指数(ISI)、睡眠日誌などの検証済みのツールおよび睡眠ポリグラフ、アクチグラフィーなどの客観的睡眠指標を複合的に測定した。

扇風機、CDC推奨より高温環境でも効果

 米国疾病管理予防センター(CDC)は、体温を上昇させる可能性があるとして、摂氏32度を超える温度での扇風機の使用を推奨していない。一方、モデル化によると、扇風機は湿度に応じて体温を低下させる可能性があるという。カナダ・モントリオール心臓研究所およびオーストラリア・シドニー大学の研究チームは、高齢者58例を対象に、扇風機の使用が高温多湿の環境下で心臓への負担を軽減する一方で、非常に高温で乾燥した環境下では心臓への負担を3倍に増加させることを報告している。今回、同チームが、扇風機使用が体温、発汗、暑さの感じ方、快適度にどう影響するかを検証した結果が、JAMA Network Open誌2025年7月29日号Research Letterに掲載された。

GLP-1RAで痩せるには生活習慣改善が大切

 オゼンピックやゼップバウンドなどのGLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)の減量効果が高いため、注射さえしていればあとは何もしなくても体重を減らせると思っている人がいるかもしれない。しかし専門家によると、それは誤りだ。適切に体重を減らしてそれを維持するには、注射に加えて生活習慣の改善も必要だという。米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院のJoAnn Manson氏らによる、GLP-1RA治療中の生活習慣改善に関するアドバイス集が「JAMA Internal Medicine」に、患者対象情報として7月14日掲載された。  Manson氏は、「GLP-1RAによる減量治療を開始後に、多くの患者が脂肪量だけでなく筋肉量も減少してしまう。また、胃腸症状が現れて治療を中止せざるを得なくなることも多い」と述べ、GLP-1RA使用時の生活習慣改善の重要性を指摘している。例えば、GLP-1RAのみで体重を減らした場合、減った体重の25~40%は除脂肪体重(多くは筋肉)が占めるとのことだ。

一部のグルテン不耐症は思い込みによる可能性も

 自分はグルテン不耐症だと信じている過敏性腸症候群(IBS)患者の一部で見られる症状は、実際にはグルテンのせいではなく思い込みにより生じている可能性のあることが、小規模な臨床試験で示された。IBS患者を対象としたこの臨床試験では、グルテンや小麦が含まれていないシリアルバーでも、摂取後に消化器症状の悪化を訴える人がいたという。マクマスター大学(カナダ)医学部教授のPremysl Bercik氏らによるこの研究結果は、「The Lancet Gastroenterology and Hepatology」に7月21日掲載された。  グルテンは小麦、大麦、ライ麦などの穀物に含まれるタンパク質の一種である。米ハーバード大学T.H.チャン公衆衛生大学院によると、グルテンに対してアレルギーがある人や、グルテンによって免疫反応が引き起こされ腸が損傷される可能性がある人では、グルテンの摂取が消化器系の問題をもたらすことがあるという。

慢性蕁麻疹に最も効果的な治療薬は何?

 皮膚に強いかゆみを伴う隆起した膨疹(みみず腫れ)が生じる蕁麻疹のうち、発症後6週間以上が経過したものを慢性蕁麻疹という。このほど新たな研究で、慢性蕁麻疹のかゆみや腫れの軽減に最も効果的な治療法は、注射用抗体薬のオマリズマブと未承認の錠剤remibrutinib(レミブルチニブ)であることが示された。マクマスター大学(カナダ)医学部のDerek Chu氏らによるこの研究結果は、「The Journal of Allergy and Clinical Immunology(JACI)」に7月15日掲載された。  蕁麻疹は、アレルギー反応の一環として皮膚の肥満(マスト)細胞がヒスタミンを放出することで生じる。ヒスタミンは血管の透過性を高め、毛細血管から血漿成分が皮膚に漏れ出すことで膨疹が現れる。

成人期の継続的な身体活動は死亡リスクを低下させる

 成人期を通じて継続的に身体活動を行っている人は、成人期を通じて非活動的だった人に比べて、あらゆる原因による死亡(全死因死亡)リスクが29〜39%低いことが、新たな研究で明らかになった。このようなリスク低下は、成人期の途中で身体活動習慣を身に付けた人でも認められたという。クイーンズランド大学(オーストラリア)のGregore I Mielke氏らによるこの研究結果は、「British Journal of Sports Medicine」に7月10日掲載された。研究グループは、「成人期に身体活動を始めることは、開始時期がいつであれ、健康にベネフィットをもたらす可能性がある」と述べている。

認知機能への多領域ライフスタイル介入、構造化型vs.自己主導型/JAMA

 認知機能低下および認知症のリスクがある高齢者において、構造化された高強度の介入は非構造化自己主導型介入と比較し、全般的認知機能を有意に改善した。米国・Wake Forest University School of MedicineのLaura D. Baker氏らが、同国5施設で実施した2年間の無作為化単盲検比較試験「The US Study to Protect Brain Health Through Lifestyle Intervention to Reduce Risk(US POINTER)研究」の結果を報告した。著者は、「機能的アウトカム、バイオマーカー、長期追跡のさらなる調査により、観察された認知機能改善効果の臨床的意義と持続性が明らかになるだろう」とまとめている。JAMA誌オンライン版2025年7月28日号掲載の報告。

8月10日「ハートの日」には循環器病の予防に支援を/日本心臓財団ほか

 日本心臓財団、日本循環器協会、日本循環器学会、日本AED財団の諸団体は共催で、8月10日の「健康ハートの日」を前に、都内で循環器病に関するシンポジウムを開催した。日本心臓財団が、循環器病予防と健康を呼びかける「健康ハートの日」の活動を開始し40周年の節目を迎え、「循環器病予防の40年:過去・現在・未来」をテーマに、循環器病活動を振り返り、将来の20年に向けた新たな展望を議論した。

「風邪のときのスープ」に効果はある?

 風邪症候群や咽頭炎、インフルエンザ様疾患などの急性気道感染症の症状を和らげるために、温かいスープを飲むと良いとされることがある。この伝統的な食事療法の有効性を検討することを目的に、英国・University of the West of ScotlandのSandra Lucas氏らが、システマティックレビューを実施した。その結果、スープの摂取は、急性気道感染症の症状緩和や炎症抑制をもたらす可能性が示唆された。本研究結果は、Nutrients誌2025年7月7日号で報告された。  本研究では、急性気道感染症に対するスープの効果を評価した研究を対象として、システマティックレビューを実施した。2024年2月までに公表された論文を対象に、MEDLINE、Embase、Scopus、CINAHL、CENTRAL、Cochrane Database of Systematic Reviewsなどを用いて文献を検索した。適格基準を満たした4件の無作為化比較試験(対象342例)を抽出し、メタ解析は行わずナラティブ統合を行った。解析対象となった研究で用いられたスープは、鶏肉ベースのスープに野菜やハーブを追加したものが主なものであった。評価項目は、症状重症度、罹病期間、炎症マーカーなどとした。