内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:22

「急性腹症診療ガイドライン2025」、ポイント学習動画など新たな試みも

 2025年3月「急性腹症診療ガイドライン2025 第2版」が刊行された。2015年の初版から10年ぶりの改訂となる。Minds作成マニュアル(以下、マニュアル)に則って作成され、初版の全CQに対して再度のシステマティックレビューを行い、BQ81個、FRQ6個、CQ14個の構成となっている。8学会の合同制作で広範な疾患、検査を網羅する。診療のポイントをシナリオで確認できる動画を作成、システマティックレビューの検索式や結果をWeb上で公開するなど、新たな試みも行われた。改訂出版委員会の主要委員である札幌医科大学・三原 弘氏に、改訂版のポイントや特徴を聞いた。  ガイドライン自体の評価はMindsなどが行っているが、私たちはさらにマニュアルに従ってガイドラインが実臨床や社会に与えた影響を評価しようと考えた。具体的には、初版刊行の前後、2014年と2022年に日本腹部救急医学会と日本プライマリ・ケア連合学会の会員を対象にアンケート調査を行った。ガイドラインの認知度と実臨床の変化を調べ、改訂につなげることが目的だ。

タバコ規制により米国で400万人近い人が死亡を回避

 喫煙者を減らすための公衆衛生キャンペーンやタバコ税の導入などのさまざまな対策によって、米国では過去50年間で約400万人の肺がんによる死亡が防がれたことが明らかになった。回避された肺がんによる死亡者数は、同期間に回避された全てのがん死の約半数を占めるという。  この研究は、米国がん協会(ACS)のFarhad Islami氏らによるもので、詳細は「CA: A Cancer Journal for Clinicians」に3月25日掲載された。論文の筆頭著者である同氏は、「肺がんによる死亡を回避し得た人の推定数は膨大な数に上っている。これは、喫煙防止のための公衆衛生対策の推進が、肺がんによる早期死亡の低減に大きな効果を発揮してきたことを物語っている」としている。ただし一方で同氏は、「それにもかかわらず、肺がんは依然として米国におけるがん死の主要な原因であり、さらに、喫煙に起因する肺がん以外のがん、および、がん以外の喫煙関連疾患の罹患率や死亡率は依然として高いままだ」と、さらなる改善の必要性を強調している。

熱中症の重症度が尿でわかる?

 昨年、5~9月に熱中症で搬送される人の数は過去最多を記録した。熱中症の重症度は、搬送先施設で血液検査により評価される。しかし、尿中の肝臓型脂肪酸結合蛋白(L-FABP)も熱中症の重症度と相関するという研究結果が報告された。L-FABPは熱中症の生理学的重症度や予後を予測するツールになり得るという。日本医科大学救急医学教室の横堀將司氏、関西医科大学総合医療センター救急医学科の島崎淳也氏らの研究によるもので、詳細は「Scientific Reports」に2月12日掲載された。  熱中症は、高温多湿環境下で体内の水分・塩分量のバランスが崩れ、体温調節機能や循環機能が破綻して発症する。熱中症に対する適切な介入と転帰の改善には重症度の迅速な評価が不可欠だが、救急外来(ER)であっても、血液検査では結果の確認に長い時間がかかる。このような背景から、熱中症の重症度の判断には、よりアクセスしやすい簡易迅速検査の開発が待たれていた。

症状のない亜鉛欠乏症に注意、亜鉛欠乏症の診療指針改訂

「亜鉛欠乏症の診療指針2024」が2025年1月に発行された。今回の改訂は7年ぶりで、きわめて重要な8つの改訂点が診療指針の冒頭に明記され、要旨を読めば最低限の理解がカバーできる構成になっている。だが、本指針内容を日常診療へ落とし込む際に注意したいポイントがある。そこで今回、本指針の作成委員長を務めた脇野 修氏(徳島大学大学院医歯薬学研究部 腎臓内科分野 教授)に、亜鉛欠乏症の現状や診断・治療を行う際の注意点などについて話を聞いた。

2年間のフレマネズマブ治療の有効性および継続性〜国内単一施設観察研究

 フレマネズマブの12週間に1回675mgを皮下投与した場合の長期的なアドヒアランスや有効性に関するリアルワールドデータは、依然として不足している。静岡赤十字病院の吉田 昌平氏らは、反復性片頭痛(EM)および慢性片頭痛(CM)に対する2年にわたるフレマネズマブ675mgの有効性およびアドヒアランスを評価し、治療中止理由の分析を行った。The Journal of Headache and Pain誌2025年3月11日号の報告。  対象は、静岡赤十字病院の頭痛センターに通院している患者のうち、2021年11月〜2022年6月にフレマネズマブの12週間に1回675mgを皮下投与する治療を行った15歳以上の患者。頭痛の頻度および重症度は、頭痛日誌を用いて記録した。観察期間は、治療開始後24ヵ月間までとした。治療中止理由は、フォローアップ時のカルテ記録より収集した。

遺伝性アルツハイマーへのgantenerumab、発症リスク低下に有効か

 最先端のアルツハイマー病治療薬が、実際にその進行を防ぐ可能性のあることが、小規模な研究で示された。脳内でアミロイドβ(Aβ)が過剰に産生される遺伝的変異を持ち、将来、アルツハイマー病を発症することがほぼ確実とされる試験参加者に、脳からAβを除去する抗Aβ IgG1モノクローナル抗体のガンテネルマブ(gantenerumab)を投与したところ、投与期間が最も長かった参加者ではアルツハイマー病の発症リスクが50%低下したことが示されたという。米ワシントン大学医学部のRandall Bateman氏らによるこの研究結果は、「The Lancet Neurology」4月号に掲載された。

PPI投与量とC. difficile感染症リスクの関係~用量反応メタ解析

 プロトンポンプ阻害薬(PPI)使用者は非使用者と比べClostridioides difficile感染症(CDI)リスクが上昇することが報告されているが、これまでのメタ解析では、用量反応的な関係についての検討は行われていない。スウェーデン・カロリンスカ研究所のMatilda Finke氏らによる用量反応メタ解析の結果、PPI投与量とCDIリスクとの関連は、正の相関を示すことが明らかになった。Journal of Infection誌オンライン版4月14日号掲載の報告。  本研究では、PubMed、Embase、Web of Science、およびCochrane Libraryを用いて、PPIとCDIに関する縦断研究を検索した。収集されたデータは、1日当たりのPPI投与量(DDD:defined daily doses)およびPPI治療期間に基づく2つの2段階ランダム効果用量反応メタ解析にそれぞれ組み入れられた。PPI非使用者と比較した補正相対リスク(RR)と95%信頼区間が推定された。

高齢糖尿病患者へのインスリン イコデク使用Recommendation公開/糖尿病学会

 日本糖尿病学会(理事長:植木 浩二郎氏[国立国際医療研究センター研究所 糖尿病研究センター長])は、4月18日に「高齢者における週1回持効型溶解インスリン製剤使用についてのRecommendation」(高齢者糖尿病の治療向上のための日本糖尿病学会と日本老年医学会の合同委員会作成)を公開した。  週1回持効型インスリン製剤インスリン イコデク(商品名:アウィクリ注)は、注射回数を減少させ、持続的なインスリン作用をもたらすことから、ADLや認知機能の低下により自己注射が困難な高齢患者に血糖管理が可能になると期待される。  その一方で、週1回投与という特徴から、投与調節の柔軟性には制限があり、一部の患者では低血糖が重篤化する懸念がある。

大腸がん死亡率に対する大腸内視鏡検査と2年ごとの便潜血検査の有用性(解説:上村直実氏)

日本対がん協会の報告によると、2023年の部位別がん死亡数を死因順位別にみると、男性は肺がん、大腸がん、胃がん、膵臓がん、肝臓がんの順に多く、女性は大腸がん、肺がん、膵臓がん、乳がん、胃がんの順となっている。同年の大腸がん罹患者数は14万8,000人で死亡者数が5万3,000人とされており、罹患者のうち3人に1人が死亡する可能性が推測される。このように、大腸がんは肺がんの次にがん死亡者数が多い疾患であるが、早期がんの完治率は90%以上という特徴を有する疾患であり、早期発見、とくに検診が非常に重要である。

医師の子供の約6割が中学受験または予定している/医師1,000人アンケート

 2023年の調査によると、東京都では5人に1人が中学受験をして進学するなど、大都市圏では中高一貫校に人気がある。「公立学校よりも豊かな学習環境で学ばせたい」や「来るべき大学受験のために進学校で学ばせたい」など理由はさまざまである。  では、大都市圏の医師の子供は中学受験を行っているのであろうか。また、受験の動機や合格するための対策、受験までの費用などどのくらい支出しているのだろうか。  CareNet.comでは、3月21~27日にかけて、関東圏(東京都・埼玉県・神奈川県・千葉県)、関西圏(大阪府・兵庫県・京都府)の会員医師1,000人に「中学受験」の実状について聞いた。