内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:21

Lp(a)測定の国際標準化、新薬登場までに解決か/日本動脈硬化学会

 60年前に初めて発見され、LDLコレステロール(LDL-C)と独立して動脈硬化を促進させる血清リポプロテイン(a)(以下「Lp(a)」)。その存在自体は医師にも知られているが、「一生に一度測定すればよい」との勧告や治療薬が存在しないことも相まって、測定する意義や基準値に関する理解が今ひとつ進んでいないのが実情である。しかし、数年後にLp(a)を低下させる新薬が登場すると期待されている今、これらの解決が急務とされている。そこで、日本動脈硬化学会が「Lp(a)と測定値の標準化について」と題し、プレスセミナーを開催。三井田 孝氏(順天堂大学医療科学部 臨床検査科)がLp(a)測定を推進していく中で問題となる測定値の標準化にフォーカスして解説した。

新型コロナ入院患者、退院後も2年以上にわたり死亡リスクは高い

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による入院歴がある人は、回復して自宅に戻れたとしても、決して安心できる状態とは言えないことが新たな研究で示唆された。COVID-19で入院した患者は、初回の感染から最長で2年半の間、全死亡リスクの高いことが明らかになったという。パリ・ビシャ病院(フランス)のSarah Tubiana氏らによるこの研究の詳細は、「Infectious Diseases」に2月27日掲載された。  Tubiana氏は、「これまで人々の関心の多くは新型コロナウイルスの短期的な危険性に向けられてきたが、われわれの研究では、COVID-19による入院歴のある人では、数カ月後、さらには数年後まで、重度の合併症リスクが高い状態が続くことが示された。この公衆衛生に対する長期的な影響は重大だ」と指摘する。

認知症予防、どのくらいの聴力低下から補聴器を使ったほうがよいか

 難聴が中年期における認知症の予防可能な最大のリスク因子の1つであると報告され、注目を集めているものの、どの程度の難聴になったら認知症予防として補聴器を使うべきなのかは明らかになっていない。慶應義塾大学の西山 崇経氏らは、55歳以上の補聴器の装用経験がない難聴者のグループにおいて、聴力閾値と認知機能検査結果が負の相関関係を示し、4つの音の高さの聴力閾値の平均値が38.75dB HLを超えた場合に、認知症のリスクとなりうることを明らかにした。NPJ Aging誌2025年2月24日号掲載の報告。

不眠症が泌尿器、生殖器系疾患に及ぼす影響

 不眠症が、さまざまな泌尿器系および生殖器系の疾患に及ぼす影響や因果関係は、明らかになっていない。中国・Fifth People's Hospital of Shanghai Fudan UniversityのYougen Wu氏らは、不眠症が10種類の泌尿器系および生殖器系の疾患に及ぼす影響を調査し、この関連を評価するため、メンデルランダム化(MR)研究を実施した。Translational Andrology and Urology誌2025年1月31日号の報告。  UK Biobank、23andMe、FinnGen、遺伝子コンソーシアムより、不眠症と10種類の泌尿器系および生殖器系の疾患のデータを収集した。主なMR分析として、逆分散加重アプローチを用いた。推定値のロバストを調査するため、MR-PRESSO検定(MR多面性残差和、外れ値)、最尤法、MR-Egger法、加重中央値法を用いて感度分析を行った。

高血圧患者、CVD死亡リスクがとくに高い年齢層は?/東北医科薬科大

 高血圧は、心血管疾患(CVD)のリスクとなることは知られている。では、そのリスクは、日本人ではどの程度の血圧(BP)分類や年齢から発生するのであろうか。東北医科薬科大学医学部公衆衛生学・衛生学教室の佐藤 倫広氏らの研究グループは、このテーマについてEPOCH-JAPAN研究における7万人の10年追跡データを用いて、現在用いられているBP分類と脳心CVD死亡リスクの関連を検討した。その結果、高血圧とCVD死亡リスクは関連があり、その傾向はとくに非高齢者で顕著だった。この研究はHypertension Research誌オンライン版に2025年2月20日に公開された。

非弁膜症性心房細動に対するDOAC3剤、1日の服薬回数は治療効果に影響せず?

 非弁膜症性心房細動(NVAF)に対する第Xa因子(FXa)阻害薬の治療効果において、3剤間で安全性プロファイルが異なる可能性が示唆されており、まだ不明点は多い。そこで諏訪 道博氏(北摂総合病院循環器内科臨床検査科 部長)らがリバーロキサバン(商品名:イグザレルト)、アピキサバン(同:エリキュース)、エドキサバン(同:リクシアナ)の3剤の有効性と安全性を評価する目的で、薬物血漿濃度(plasma concentration:PC)と凝固活性をモニタリングして相関関係を調査した。その結果、1日1回投与のリバーロキサバンやエドキサバンの薬物PCはピークとトラフ間で大きく変動したが、凝固活性マーカーのフィブリンモノマー複合体(FMC)は、1日2回投与のアピキサバンと同様に、ピーク/トラフ間で日内変動することなく正常範囲内に維持された。本研究では3剤の時間経過での薬物PCのピークの変動も調査したが、リバーロキサバンについては経時的に蓄積する傾向がみられた。Pharmaceuticals誌2024年10月25日号掲載の報告。

ビタミンBが影響を及ぼす神経精神疾患〜メタ解析

 最近、食事や栄養が身体的および精神的な健康にどのような影響を及ぼすかが、注目されている。多くの研究において、ビタミンBが神経精神疾患に潜在的な影響を及ぼすことが示唆されているが、ビタミンBと神経精神疾患との関連における因果関係は不明である。中国・Shaoxing Seventh People's HospitalのMengfei Ye氏らは、ビタミンBと神経精神疾患との関連を明らかにするため、メンデルランダム化(MR)メタ解析を実施した。Neuroscience and Biobehavioral Reviews誌2025年3月号の報告。  本MRメタ解析は、これまでのMR研究、UK Biobank、FinnGenのデータを用いて行った。ビタミンB(VB6、VB12、葉酸)と神経精神疾患との関連を調査した。

抗うつ薬は認知症患者の認知機能低下を加速させる?

 不安、抑うつ、攻撃性、不眠などの症状がある認知症患者に対しては、抗うつ薬が処方されることが多い。しかし、新たな研究で、抗うつ薬の使用は認知機能の低下速度を速める可能性があり、特に、高用量の選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の使用は、重度の認知症や骨折、あらゆる原因による死亡(全死亡)のリスク上昇と関連することが明らかにされた。カロリンスカ研究所(スウェーデン)神経学分野のSara Garcia-Ptacek氏らによるこの研究結果は、「BMC Medicine」に2月25日掲載された。  この研究でGarcia-Ptacek氏らは、2007年5月から2018年10月までの間にスウェーデン認知・認知症レジストリ(Swedish Registry for Cognitive/Dementia Disorders-;SveDem)に登録された認知症患者1万8,740人(女性1万205人、平均年齢78.2歳)を対象に、抗うつ薬の使用と認知機能低下との関連を検討した。さらに、抗うつ薬のクラス、具体的な薬剤、用量ごとの重度認知症、骨折、死亡のリスクを推定した。

わが国への直接応用は難しいが…(解説:野間重孝氏)

 まず論文評を始めるにあたって、近年における冠動脈疾患(CAD)の危険因子に対する考え方の変化に言及する必要があるだろう。従来危険因子(risk factor)とは、高血圧・糖尿病・喫煙・脂質異常・肥満など生活習慣の改善や薬物療法によって修正可能な因子を指し、年齢・性別・家族歴などコントロールが困難な因子はリスク要因(risk marker)と呼んで区別してきた。しかし、近年になり非修正可能な因子も重要なリスク要因として考慮すべきではないかという動きが強まっている。その原因の第一には、多因子リスク評価の重要性が見直されてきたことにある。つまり、一つひとつの危険因子の影響は独立ではなく、複合的なリスク評価が重要だと考えられるようになったことが挙げられる。たとえば、年齢+男性+早発性CADの家族歴という要因が重なると、単独の要因よりもリスクが著しく上昇することが明らかになってきた。これに、予防医療の発展という要因も付け加えなければならないだろう。今回取り上げられたCACスコアのような画像診断が普及したことで、非修正可能な要素がある人こそ、より積極的な検査が必要だという認識が広まったのである。実際、ASCVDリスクスコアやSCORE2といった新しい評価法では非修正可能因子も加味されている。

うつ病の予防や治療に対するメトホルミンの可能性

 うつ病は、最も大きな障害をもたらす精神疾患の1つであり、その病態生理は、いまだ完全に解明されていない。中国・Nantong Stomatological HospitalのYuan-Yuan Cheng氏らは、メトホルミンの抗うつ薬治療としての可能性を検討するため、うつ病の発症と進行に対するメトホルミンのメカニズムなどに関する研究をレビューした。Biochemical Pharmacology誌2025年3月号の報告。  主な内容は以下のとおり。 ・うつ病の予防や治療に対するメトホルミンの可能性を検討した前臨床研究数は増加しており、血糖降下薬の第1選択薬であるメトホルミンがうつ病に多面的な影響を及ぼす可能性が強調されている。