内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:21

心房細動患者、脳卒中予防のために有益な意思決定支援とは?/BMJ

 非弁膜症性心房細動を有する成人患者において、患者用意思決定支援(PDA)のみ、診療時意思決定支援(EDA)のみ、または両者の実施といった意思決定支援を受けた患者は、それらを受けなかった通常ケアの患者と比較し、意思決定の葛藤が少なくその共有が良好で、より多くの知識を得ていたことが示された。なお、PDAのみであった場合は、意思決定の葛藤に及ぼす影響については統計学的に有意ではなかった。米国・ユタ大学のElissa M. Ozanne氏らが、同国の6つの大学医療センターで実施したクラスター無作為化臨床試験の結果を報告した。心房細動患者のための共有意思決定(SDM)ツールや意思決定支援の手法がいくつか開発されているが、実際の共有意思決定支援の改善に関する、PDAとEDAの効果の違いを比較したデータはなかった。結果を踏まえて著者は、「来院前または外来診療時の意思決定支援を単独または組み合わせて実施することは、通常ケアと比較して有益であることが実証された」とまとめている。BMJ誌2025年1月9日号掲載の報告。

毎日どのくらい歩くとうつ病予防に効果的か〜メタ解析

 1日の歩行は、心血管イベントや全死亡リスクを低下させ、保護的に作用することが、近年のエビデンスで報告されている。しかし、歩数に基づく健康アウトカムには、追加の推奨事項が含まれる可能性がある。スペイン・Universidad de Castilla-La ManchaのBruno Bizzozero-Peroni氏らは、一般成人における1日の歩数とうつ病との関連を総合的に評価した。JAMA Network Open誌2024年12月2日号の報告。  2024年5月18日までに公表された研究をPubMed、PsycINFO、Scopus、SPORTDiscus、Web of Scienceデータベースをシステマティックに検索し、メタ解析を実施した。対象研究には、身体活動、1日の歩数、うつ病などに関連するキーワードで検索した観察研究を含めた。補足的な検索方法も適用した。研究データには、客観的に測定された1日の歩数、うつ病に関するデータを含めた。PRISMA、MOOSEガイドラインに従い、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。独立した2人のレビューアーにより、データを抽出した。プールされたエフェクトサイズ(相関係数、標準化平均差[SMD]、リスク比[RR])、95%信頼区間(CI)の推定には、Sidik-Jonkmanランダム効果モデルを用いた。

上腕カフ式の家庭血圧測定により血圧が下がる/東北医科薬科大学ほか

 家庭での血圧自己測定の有用性に関する新たなエビデンスが報告された。日本高血圧学会による「デジタル技術を活用した血圧管理に関する指針」策定のためのタスクフォースとして、東北医科薬科大学医学部衛生学・公衆衛生学教室の佐藤倫広氏らが行ったシステマティックレビューとメタ解析の結果であり、詳細は「Hypertension Research」に11月21日掲載された。上腕カフ式の血圧計で家庭血圧測定を行っている場合に、血圧値がより厳格に管理されることが確認されたという。  家庭血圧測定に関する有用性は主に日本から多くのエビデンスが発信されてきており、国内のガイドラインでは診察室血圧より家庭血圧を重視することが推奨され、海外のガイドラインもそのように変化してきている。しかし、以前に行われたメタ解析では、家庭血圧の測定のみでなく、遠隔医療などを並行して行った場合において、顕著な臨床効果を期待できると結論付けられている。佐藤氏らは今回、新たな研究報告も対象に含めたシステマティックレビューとメタ解析を行い、改めて家庭血圧測定の有用性を検討した。

NSAIDsとPPI併用で下部消化管出血リスク上昇か

 プロトンポンプ阻害薬(PPI)は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)使用者の上部消化管出血を予防し、消化性潰瘍や胃食道逆流症などの治療に広く使用されている。しかし複数の先行研究では、NSAIDs単独使用よりも、NSAIDsとPPIの併用のほうが下部消化管出血の発生率が高いことが指摘されていた。韓国・慶熙大学のMoonhyung Lee氏らは、実臨床での NSAIDs+PPI併用者とNSAIDs単独使用者間の下部消化管出血リスクを比較したところ、NSAIDs+PPI併用者のほうが下部消化管出血リスクが高いことが判明した。Gut and Liver誌オンライン版2025年1月3日号に掲載。

医師による身体活動量の評価は慢性疾患の予防につながる

 医師が患者の身体活動量について尋ねることは、慢性疾患の予防に役立つ可能性があるようだ。米アイオワ大学ヘルスケア医療センターの患者を対象にした調査結果から、中強度から高強度の身体活動を週に150分以上というガイドラインの推奨を満たしていた人では、高血圧や心疾患、糖尿病など19種類の慢性疾患の発症リスクが有意に低いことが示された。論文の上席著者である、アイオワ大学健康・人間生理学分野のLucas Carr氏らによるこの研究結果は、「Preventing Chronic Disease」1月号に掲載された。

MASLD患者の転帰、発症リスクに性差

 代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)は世界的に増加傾向にあり、好ましくない肝臓や肝臓以外における転帰の主な原因となっている。米国のMASLD患者のデータを使用し、性別と肝臓および肝臓以外の転帰との関連性を調査した、米国・スタンフォード大学医療センターのTaotao Yan氏らによる研究がJAMA Network Open誌2024年12月4日号に掲載された。  研究者らは2007~22年のMerative MarketScanデータベースからMASLDの成人患者を特定し、傾向スコアマッチングを使用して男性/女性群のベースライン特性のバランスをとった。肝臓関連の転帰(肝硬変、肝代償不全、肝細胞がん[HCC])と肝臓以外の転帰(心血管系疾患[CVD]、慢性腎臓病[CKD]、肝臓以外の性別に関係ないがん)の発生率を推定し、性別ごとに比較した。

タバコを1本吸うごとに寿命が22分縮む?

 紙巻きタバコ(以下、タバコ)を1本吸うごとに寿命が最大22分短縮する可能性のあることが、英国の喫煙者の死亡率データに基づく研究で明らかにされた。この結果は、1日に20本入りのタバコを1箱吸うと、寿命が7時間近く縮む可能性があることを示唆している。英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)のアルコール・タバコ研究グループのSarah Jackson氏らによるこの研究結果は、「Addiction」に12月29日掲載された。Jackson氏は、「喫煙者が失う時間は、大切な人々と健康な状態で過ごすことができるはずの時間だ」と述べている。

米アルツハイマー病協会が新たな診療ガイドラインを作成

 アルツハイマー病(AD)の専門家グループが、新たに包括的な診療ガイドラインを作成し、家庭医や脳専門医がADおよびAD関連疾患(ADRD)を最も効果的に検出する方法を提示した。この新ガイドラインは、「Alzheimer’s & Dementia」に12月23日掲載された。  このガイドラインでは、次に挙げる3つの一般的な基準に従い脳の健康状態を評価することを推奨している。それは、1)患者の全体的な認知障害のレベル、2)記憶、推論、言語、気分などに関わる特定の症状の有無、3)症状を引き起こしている可能性のある脳疾患の有無。

日本における片頭痛診療の現状、今求められることとは

 日本では、片頭痛を治療する医療機関および医師の専門分野における実際の治療パターンに関する調査は十分に行われていない。慶應義塾大学の滝沢 翼氏らは、日本の片頭痛患者の実際の臨床診療および治療パターンを医療機関や医師の専門分野別に評価するため、レトロスペクティブコホート研究を実施した。PLoS One誌2024年12月19日号の報告。  2018年1月〜2023年6月のJMDC Incより匿名化された片頭痛患者のレセプトデータを収集した。片頭痛を治療する医療機関および医師の専門分野別に患者の特性や治療パターンを評価した。

コーヒーやお茶の摂取は頭頸部がんのリスクを下げる?

 朝の1杯のコーヒーや午後のお茶には、あるタイプのがんを予防する効果があるようだ。コーヒーやお茶の摂取は頭頸部がんのリスク低下と関連していることが、新たな研究で明らかになった。論文の上席著者である米ユタ大学医学部の疫学者Yuan-Chin Amy Lee氏によると、「カフェイン抜きのコーヒーでも、ある程度のプラスの影響があった」という。この研究の詳細は、「Cancer」に12月23日掲載された。  頭頸部がんとは、口腔、咽頭(上咽頭、中咽頭、下咽頭)、甲状腺など、目と脳を除く首から上の全て領域に発生するがんのこと。頭頸部がんは、患者数が世界で7番目に多いがんであり、2020年だけで新規患者数は約74万5,000人、死亡者数は36万4,000人に上るという。この研究でLee氏らは、14件の症例対象研究のデータを統合してコーヒーやお茶の摂取と頭頸部がんとの関連を検討した。解析対象者は、頭頸部がん患者9,548人と対照1万5,783人であった。