内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:21

医療従事者におけるベンゾジアゼピン使用が仕事のパフォーマンスに及ぼす影響

 不眠症や不安症の治療によく用いられるベンゾジアゼピン(BZD)は、スペインでの使用が増加しており、濫用や依存のリスクに対する懸念が高まっている。スペイン・Miguel de Cervantes European UniversityのCarlos Roncero氏らは、医療従事者におけるBZDおよびその他の向精神薬の使用状況を調査し、その使用率、関連因子、そしてCOVID-19パンデミック後のメンタルヘルス問題との関連性を評価した。Journal of Clinical Medicine誌オンライン版2025年6月16日号の報告。  Salamanca University Healthcare Complex(CAUSA)の医療従事者1,121人を対象に、2023年3月〜2024年1月に匿名オンライン調査を実施した。完全解答が得られた685人のデータを分析した。不眠症、不安症、うつ病の評価には、不眠症重症度質問票(ISI)および患者健康アンケート(PHQ-4)を用いた。

小児期ビタミンD不足で、将来のCVDリスク増

 ビタミンD不足は心血管イベントと関連するという既報があるが、小児期におけるビタミンD値低下も成人後のアテローム動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)リスク増と関連している可能性があることが、新たな研究で示唆された。フィンランド・トゥルク大学のJussi Niemela氏らによる研究はEuropean Journal of Preventive Cardiology誌オンライン版2025年4月29日号に掲載された。  研究者らは、「若年フィンランド人における心血管リスクの前向き研究」(Young Finns study)の参加者を対象に、25-OHビタミンD濃度と従来の小児期のリスク因子(BMI、LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪、収縮期血圧、果物・野菜・魚の摂取量、身体活動、社会経済的地位、喫煙歴)を調査し、フィンランド国民全員をカバーする全国登録データベースを用いてASCVDアウトカムを追跡調査した。これらのデータから小児期のビタミンDレベルと成人発症のASCVDイベントとの関係を評価した。

日本人の肥満基準、BMI 25以上は適切?

 現在の日本における肥満の定義はBMI 25kg/m2以上とされているが、これは約30年前の横断研究の結果に基づくものである。そのため、現在における妥当性については議論の余地がある。そこで、京都府立医科大学大学院の笠原 健矢氏らの研究グループは、大規模な長期コホート研究のデータを用いて、現在の日本人における最適な肥満の基準値を検討した。その結果、BMI 22kg/m2を対照とした場合、2型糖尿病や慢性腎臓病(CKD)はBMI 25kg/m2付近でハザード比(HR)が2を超える一方で、冠動脈疾患(CAD)や脳卒中などのHRが2を超えるのは、BMI 30kg/m2超であった。本研究結果は、Metabolism誌オンライン版2025年7月15日号に掲載された。

胃がんはピロリ菌が主原因、米国の若年で罹患率が増加

 胃がん症例の4分の3(76%)はヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori、以下、ピロリ菌)感染が原因であることが、新たな研究で明らかになった。国際がん研究機関(フランス)のJin Young Park氏らによるこの研究結果は、「Nature Medicine」に7月7日掲載された。Park氏らは、「胃がんのほとんどはピロリ菌への慢性感染によって引き起こされていることから、抗菌薬とプロトンポンプ阻害薬(PPI)の組み合わせによる治療により予防できるはずだ」と述べている。  米メイヨー・クリニックによると、世界人口の半数以上が、生涯、どこかの時点でピロリ菌に感染する可能性があるという。ピロリ菌は、嘔吐物、便、唾液などの体液との接触により広がると考えられており、感染すると、胃痛、お腹の張り(膨満感)、頻回なげっぷなどの症状や、胃や小腸の消化性潰瘍などが引き起こされる。米国がん協会(ACS)によると、米国では2025年に胃がんの新規症例が約3万300件発生し、約1万780人が胃がんにより死亡すると予想されている。胃がん症例のほとんどは、高齢者であるという。

ゴルフ場の近くに住む人はパーキンソン病リスクが高い?

 パーキンソン病(PD)は、環境要因と遺伝的要因の複雑な相互作用によって引き起こされる神経変性疾患である。環境要因の中でも、農薬への曝露はPDのリスク増加に関連するとされる。米国・Barrow Neurological InstituteのBrittany Krzyzanowski氏らの研究によると、ゴルフ場の近くに住むことがPD発症リスクの2倍以上の増加と関連している可能性が示された。JAMA Network Open誌2025年5月8日号に掲載。  本研究では、1991~2015年のロチェスター疫学プロジェクト(REP)のデータを用いて、ミネソタ州南部とウィスコンシン州西部にまたがる1万6,119平方マイルの地域内における139のゴルフ場への距離とPD発症との関連性を症例対象研究で評価した。さらに、水道環境として、水道サービス区域内のゴルフ場の有無、地下水域の脆弱性(荒い土壌、浅い岩盤、カルスト地形)、市営井戸の深さでなどの条件でリスクを比較した。

抗うつ薬中止後の離脱症状発生率とうつ病再発への影響

 抗うつ薬中止後にみられる離脱症状の発生率やその性質は依然としてよくわかっていない。英国・キングス・カレッジ・ロンドンのMichail Kalfas氏らは、抗うつ薬の服用を中止した患者において、標準化された尺度(Discontinuation-Emergent Signs and Symptoms[DESS]など)を用いた離脱症状の有無およびそれぞれの離脱症状の発生率を評価するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。JAMA Psychiatry誌オンライン版2025年7月9日号の報告。  2023年11月7日までに公表された研究をEmbase、PsycINFO、Ovid MEDLINE、Cochrane Libraryの各データベースよりシステマティックに検索した。対象研究は、抗うつ薬中止後に、標準化された尺度を用いて離脱症状を報告したランダム化臨床試験(RCT)、それぞれの離脱症状(有害事象など)を報告したRCTとした。抽出したデータは、2人のレビューアーによるクロスチェックを行った。11件のRCTより未発表のデータも追加で対象に含めた。抗うつ薬中止患者、抗うつ薬継続患者、プラセボ中止患者との標準化平均差(SMD)を算出するために、ランダム効果メタ解析を実施した。プラセボと比較したそれぞれの離脱症状の発生率を評価するため、割合およびオッズ比(OR)のメタ解析を行った。異なる抗うつ薬の比較は、サブグループ解析として実施した。データ解析は、2024年9〜12月に行った。主要アウトカムは、標準化された尺度または標準化されていない尺度を用いて測定した抗うつ薬中止に伴う離脱症状の発生率とその性質とした。

揚げ物はやはり糖尿病や高血圧リスクに~兄弟比較の前向き試験

 揚げ物は健康に悪影響を与える可能性があるが、腸内細菌叢との関連や、それが心代謝性疾患に及ぼす影響は十分に明らかになっていない。中国・浙江大学のYiting Duan氏らは、2つの大規模前向きコホートを用いた解析により、揚げ物の摂取に関連する腸内細菌叢は糖尿病や高血圧リスクの増大と関連し、その関連は遺伝的・環境的背景を共有する兄弟姉妹間の比較においても同様の関連性が確認されたことを報告した。American Journal of Clinical Nutrition誌2025年7月2日号掲載の報告。  研究グループは、WELL-Chinaコホート(ベースライン:2016~19年、6,637人)と蘭渓コホート(ベースライン:2017~19年、3,466人)を分析し、揚げ物の摂取と腸内細菌叢の組成に関係があるかどうか、揚げ物に関連する腸内細菌叢は肥満や体脂肪の分布および心代謝性疾患の発症率と関連しているかどうかを調査した。

加熱式タバコの使用が職場における転倒発生と関連か

 運動習慣や長時間座っていること、睡眠の質などの生活習慣は、職場での転倒リスクに関係するとされているが、今回、新たに「加熱式タバコ」の使用が職場における転倒発生と関連しているとする研究結果が報告された。研究は産業医科大学高年齢労働者産業保健センターの津島沙輝氏、渡辺一彦氏らによるもので、詳細は「Scientific Reports」に6月6日掲載された。  転倒は世界的に重大な公衆衛生上の懸念事項である。労働力の高齢化の進む日本では、高齢労働者における職場での転倒の増加が深刻な安全上の問題となっている。この喫緊の課題に対し、政府は転倒防止のための環境整備や、労働者への安全研修の実施などの対策を講じてきた。しかし、労働者一人ひとりの生活習慣の改善といった行動リスクに着目した戦略は、これまで十分に実施されてこなかった。また、運動習慣や睡眠などの生活習慣が職場での転倒リスクと関連することは、複数の報告から示されている。一方で、紙巻タバコや加熱式タバコなどの喫煙習慣と転倒リスクとの関連については、全年齢層を対象とした十分な検討がなされていないのが現状である。このような背景を踏まえ、著者らは加熱式タバコの使用と職業上の転倒との関連を明らかにすることを目的として、大規模データを用いた全国規模の横断研究を実施した。

帯状疱疹、発生率が高まる時期は?/MDV

 帯状疱疹ワクチンの65歳以上への定期接種が2025年4月よりスタートした。同年3月に「帯状疱疹診療ガイドライン2025」の初版が発刊されたほか、海外での新たな研究では、帯状疱疹ワクチン接種による認知症リスクの低下や心血管疾患リスク抑制も示唆されており、今注目されている疾患領域である。  その帯状疱疹の国内患者推移について、メディカル・データ・ビジョンは自社の保有する国内最大規模の診療データベースから抽出した317施設の2019年1月~2025年3月のデータを対象に調査を行い、7月15日にプレスリリースを公表した。