内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:2

胃食道逆流症が耳疾患と関連か

 胃食道逆流症(GERD)は、耳鳴り、メニエール病、前庭機能障害、感音難聴のリスク上昇と関連する可能性があるという研究結果が、「Journal of Multidisciplinary Healthcare」に8月20日掲載された。  河北中医薬大学(中国)のWen Zhao氏らは、ヨーロッパ系集団のゲノムワイド関連解析データを用いて、GERDおよびバレット食道(BE)と耳疾患との関連を検討した。3つのメンデルランダム化法を適用し、因果推定は逆分散加重法を用いて算出した。

健康診断から見える、糖尿病予測の未来

 糖尿病は日本人の主要な生活習慣病である一方、予防可能な側面も大きく、発症リスクの理解と適切な介入の実現が課題である。この課題に対し、静岡県の国民健康保険データベースを用いて、健康診断データから2型糖尿病発症リスクを予測する新たなモデルが開発された。Cox比例ハザードモデルを基礎に構築した予測スコアは、検証データセットで良好な識別能を示したという。研究は静岡県立総合病院消化器内科の佐藤辰宣氏、名古屋市立大学大学院医学研究科の中谷英仁氏、静岡社会健康医学大学院大学の臼井健氏らによるもので、詳細は10月30日付で「Scientific Reports」に掲載された。

mRNAインフルワクチン、不活化ワクチンに対する優越性を確認/NEJM

 ヌクレオシド修飾メッセンジャーRNA(modRNA)インフルエンザワクチンは、対照ワクチンと比較して相対的有効性に関して統計学的な優越性を示し、A/H3N2株とA/H1N1株に対する免疫応答が顕著である一方、副反応の頻度は高いことが示された。米国・East-West Medical Research InstituteのDavid Fitz-Patrick氏らが、第III相無作為化試験「Pfizer C4781004試験」の結果を報告した。modRNAインフルエンザワクチンは、インフルエンザA型とB型のそれぞれ2つの株(A/H3N2、A/H1N1、B/Yamagata、B/Victoria)のヘマグルチニンをコードする4価のワクチンである。研究の成果は、NEJM誌2025年11月20日号で報告された。

認知症に伴う食欲不振やアパシーに対する人参養栄湯の有用性

 現在、認知症に伴う食欲不振やアパシーに対する有効な薬物療法は明らかになっていない。筑波大学の田村 昌士氏らは、アルツハイマー型認知症(AD)およびレビー小体型認知症(DLB)における食欲不振やアパシーに対する人参養栄湯の有効性および安全性を評価するため、ランダム化比較試験を実施した。Psychogeriatrics誌2026年1月号の報告。  本研究には、日本の病院およびクリニック16施設が参加した。対象患者は、人参養栄湯群24例または対照群25例にランダムに割り付けられた。主要アウトカムは、Neuropsychiatric Inventory-12(NPI-12)のサブカテゴリー「摂食行動」における食欲不振スコアの12週間後の変化とした。副次的アウトカムは、食物摂取量、NPI-12スコア、Zarit介護負担尺度日本語版、意欲の指標(Vitality Index)、ミニメンタルステート検査(MMSE)、前頭葉機能検査(FAB)、体重、赤血球数、ヘモグロビン、アルブミン、CONUTスコアの変化とした。

ブロッコリーやキャベツ摂取量が多いほど乳がんリスク低下/SABCS2025

 ブロッコリーやキャベツなどのアブラナ科野菜の摂取量が多いほど乳がんの発症リスクが低く、とくにER陰性乳がんでその傾向が顕著である可能性を、米国・ハーバード大学医学大学院のAndrea Romanos-Nanclares氏がサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2025、12月9~12日)で報告した。  アブラナ科野菜に含まれるグルコシノレート(glucosinolate)は、実験モデルで乳がん細胞増殖抑制作用が示されているが、エビデンスは依然として限定的で一貫性に欠けている。そこで研究グループは、大規模前向きコホート研究のデータを用いて、アブラナ科野菜およびグルコシノレートの摂取量と乳がんリスクとの関連を長期間にわたり検証した。

毎年、極端な暑さや寒さで何千人もの人が死亡

 米国では、1999年から2024年の25年間に6万9,000人以上が極端な暑さや寒さを根本原因または一因として死亡したことが、新たな研究で明らかになった。米マサチューセッツ総合病院心臓血管画像研究センターのShady Abohashem氏らによるこの研究結果は、「Annals of Internal Medicine」に11月18日掲載された。  Abohashem氏は、「これまでの研究の多くは生態学的研究かモデルや予測に基づく研究であり、暑熱関連死と寒冷関連死を別々に調査していた。それに対し本研究は、主要な人口統計学的サブグループ全体における極端な暑さや寒さという両端の非最適気温に関連する死亡について、全国規模で実際に観察された最新の評価を提供している」と述べている。また同氏は、「米国では毎年、暑さや寒さへの曝露により何千人もの命が奪われ続けているが、この研究結果は、その多くが予防可能であることを示している」とも述べている。

超加工食品は若年成人の糖尿病リスクを押し上げる

 工業的に作られ添加物が多用されている「超加工食品」が、若年成人の糖尿病リスクを高める可能性を示唆するデータが報告された。米南カリフォルニア大学ケック医科大学のVaia Lida Chatzi氏らの研究によるもので、詳細は「Nutrition & Metabolism」に11月10日掲載された。  この研究から、超加工食品の摂取量が多いことが、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの働きが悪くなること(インスリン抵抗性)や、2型糖尿病または前糖尿病(初期の高血糖状態であり2型糖尿病のリスクが高い状態)と関連のあることが示された。論文の上席著者であるChatzi氏は、「超加工食品の摂取量が少しでも増えると、肥満リスクのある若年成人の血糖調節が乱れる可能性がある。食生活は修正可能であり、若年者に生じる早期の代謝性疾患を予防する上で速やかに対処すべきターゲットであることを、われわれの研究結果は示している」と話している。

降圧薬数漸減で、フレイル高齢者の死亡率は改善するか/NEJM

 介護施設に入居し、複数の降圧薬による治療を受けているフレイルの高齢者では、通常治療と比較して降圧薬数を漸減する治療法は、全死因死亡率を改善せず、転倒や骨折の頻度は同程度であることが、フランス・Universite de LorraineのAthanase Benetos氏らが実施した「RETREAT-FRAIL試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2025年11月20日号で発表された。  研究グループは、フレイル高齢者における降圧薬中止の便益とリスクの評価を目的に、フランスの108の介護施設で非盲検無作為化対照比較試験を行った(フランス保健省などの助成を受けた)。2019年4月~2022年7月に参加者を登録し、2024年7月に追跡を終了した。

メトホルミンが運動療法の効果を阻害してしまう可能性

 古くからある経口血糖降下薬で、米国では現在も2型糖尿病の第一選択薬として位置付けられているメトホルミンが、運動療法の効果を阻害してしまう可能性を示唆するデータが報告された。米ラトガーズ大学ニューブランズウィック校のSteven Malin氏らの研究によるもので、詳細は「The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism」に10月7日掲載された。  この研究の背景について、論文の筆頭著者であるMalin氏は、「多くの医療従事者は、1+1=2だと考えている。しかし、メトホルミンがわずかながら運動の効果を弱めることを示唆するエビデンスも存在する」と話している。この問題の本質を探るため同氏らは、メタボリックシンドロームのリスクのある成人において、同薬が血管インスリン感受性(インスリンによる血管拡張や血流促進作用)を低下させる可能性の有無を、二重盲検プラセボ対照試験で検討した。

ベンゾジアゼピンの使用は認知症リスクにどの程度影響するのか?

 ベンゾジアゼピン系薬剤(BZD)は、不眠症や不安症の治療に幅広く使用されている。しかし、BZDの長期使用は、認知機能低下を加速させる可能性がある。認知症の前駆症状がBZD使用のきっかけとなり、逆因果バイアスが生じている可能性もあるため、エビデンスに一貫性が認められていない。カナダ・Universite de SherbrookeのDiego Legrand氏らは、BZDの使用量、投与期間、消失半減期が認知症発症と独立して関連しているかどうかを検証し、前駆期による交絡因子について検討を行った。Journal of the Neurological Sciences誌2025年12月15日号の報告。