週末にまとめて行う運動でも糖尿病患者の死亡リスク低下

提供元:HealthDay News

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公開日:2025/08/20

 

 平日は多忙などの理由で運動できず、週末にまとめて運動を行う、いわゆる“週末戦士”と呼ばれる身体活動パターンであっても、糖尿病患者の死亡リスク抑制につながることを示すデータが報告された。米ハーバード大学T.H.チャン公衆衛生大学院のZhiyuan Wu氏らの研究によるもので、詳細は「Annals of Internal Medicine」に7月22日掲載された。

 糖尿病でない一般集団においては、週末戦士のような身体活動パターンも死亡リスクの低下と関連していることが既に示されている。しかし糖尿病患者でも同様の関連があるのかは、これまで不明だった。そこでWu氏らは、前向きコホート研究により、週末戦士に該当するパターンを含む成人糖尿病患者のさまざまな身体活動パターンと、死亡リスクとの関連を検討した。

 研究には、1997~2018年の米国国民健康面接調査(NHIS)のデータを利用。成人糖尿病患者5万1,650人を身体活動の頻度と量に基づき、中~高強度運動(MVPA)を行っていない「非運動群」、MVPAが週150分未満の「運動不足群」、MVPAの頻度が週1~2回で150分以上の「週末戦士群」、MVPAの頻度が週3回以上で150分以上の「習慣的運動群」の4群に分類して、中央値9.5年間追跡した。

 追跡期間中に1万6,345人の死亡(心血管死5,620人、がん死2,883人を含む)が記録されていた。非運動群を基準として比較すると、週末戦士群も含めて他の3群はいずれも全死亡(あらゆる原因による死亡)のリスクが低かった(多変量調整後のハザード比〔HR〕と95%信頼区間が、運動不足群0.90〔0.85~0.95〕、週末戦士群0.79〔0.69~0.91〕、習慣的運動群0.83〔0.78~0.87〕)。心血管死のリスクについては、運動不足群を除く2群で有意なリスク低下が認められた(運動不足群0.98〔0.89~1.07〕、週末戦士群0.67〔0.52~0.86〕、習慣的運動群0.81〔0.74~0.88〕)。

 つまり、週末戦士は全死亡リスクが21%、心血管死リスクが33%低いことが示された。なお、がん死に関しては、習慣的運動群でリスク低下が認められた(運動不足群0.88〔0.78~1.00〕、週末戦士群0.99〔0.76~1.30〕、習慣的運動群0.85〔0.75~0.96〕)。

 この結果についてWu氏らは、「示されたデータは、毎日ではなく柔軟にアレンジしたパターンで行う運動であっても、糖尿病患者に好ましい影響を及ぼすことを示している。運動を習慣として日々実践するのが困難な人にとって、この知見は重要である」と述べている。

 著者らは研究背景の中で、「運動ガイドラインでは健康維持のために、毎週少なくとも150分の中強度運動を行うことを推奨している。中強度運動には、早歩き、ゆっくりした速度でのサイクリング、アクティブなヨガ、社交ダンス、庭仕事などが含まれる。しかし、これらの運動を実施する時間を確保することは、必ずしも容易ではない」とし、週末戦士の意義を指摘。また、「今後の研究では、仕事中や通勤での移動による運動なども含め、人々の日常の身体活動をより包括的に評価する必要がある」と付け加えている。

[2025年7月23日/HealthDayNews]Copyright (c) 2025 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら