内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:4

ビタミンD欠乏症が10年間で有意に減少、骨折リスク低減に期待

 骨や筋肉の健康を守るうえで欠かせない栄養素、ビタミンD。その不足は骨粗鬆症や骨折リスクの増大と関わることが知られている。今回、日本の大規模調査で、一般住民におけるビタミンD欠乏の割合がこの10年で有意に減少したことが明らかになった。血中ビタミンD濃度も上昇しており、将来的に骨粗鬆症や骨折の発症リスク低減につながる可能性があるという。研究は東京大学医学部附属病院22世紀医療センターロコモ予防学講座の吉村典子氏らによるもので、詳細は8月27日付で「Archives of Osteoporosis」に掲載された。

世界の疾病負担とリスク因子、1990~2023年の状況/Lancet

 2010年以降、感染性・母子新生児・栄養関連(CMNN)疾患および多くの環境・行動リスク因子による疾病負担は大きく減少した一方で、人口の増加と高齢化が進む中で、代謝リスク因子および非感染性疾患(NCD)に起因する障害調整生存年数(DALY)は著しく増加していることが、米国・ワシントン大学のSimon I. Hay氏ら世界疾病負担研究(Global Burden of Diseases, Injuries, and Risk Factors Study:GBD)2023 Disease and Injury and Risk Factor Collaboratorsの解析で示された。Lancet誌2025年10月18日号掲載の報告。

低用量アスピリンが再発予防効果を認める大腸がんのタイプが明らかになった(解説:上村 直実氏)

観察研究やコホート研究の結果からアスピリンや非ステロイド系消炎鎮痛薬(NSAID)が大腸がんの発生や再発のリスクを低下することがよく知られているが、プラセボとの無作為化比較試験(RCT)による厳密な研究デザインによるエビデンスは少なく、さらに、どのような大腸腫瘍に対して有効なのか無効なのかは判明していないのが現状であった。これらの課題を克服するため、今回、細胞の成長や増殖などさまざまな細胞機能の調節に重要な役割を果たす酵素であるPI3K(Phosphoinositide 3-kinase)をコードするPI3K遺伝子の変異が陽性の大腸がん切除後症例を対象として施行されたプラセボ対照RCTの結果、低用量アスピリン(LDA)(160mg/日)の内服により手術後の再発率が有意に低下することが2025年のNEJM誌に報告された。

アナフィラキシーへのアドレナリン点鼻投与の効果、エピペンと同等以上

 新たなエビデンスレビューによると、命に関わる重度のアレルギー反応を起こした人は、アドレナリンを主成分とするエピペンを太ももに刺すよりも点鼻スプレーを使った方が良いかもしれない。この研究では、液体または粉末のアドレナリンのスプレーによる鼻腔内投与は、注射による投与と同等か、場合によってはそれ以上の効果のあることが示されたという。英ロイヤル・ダービー病院のDanielle Furness氏らによるこの研究結果は、欧州救急医学会議(EUSEM 2025、9月28日〜10月1日、オーストリア・ウィーン)で発表された。

SGLT2阻害薬、自己免疫性リウマチ性疾患のリスクは?/BMJ

 韓国の大規模な2型糖尿病成人コホートにおいて、SGLT2阻害薬はスルホニル尿素(SU)薬と比較し自己免疫性リウマチ性疾患のリスクを11%低下させることが、韓国・成均館大学校のBin Hong氏らによる後ろ向きコホート研究の結果で示された。SGLT2阻害薬は、その潜在的な免疫調節能により自己免疫疾患への転用候補の1つと考えられているが、自己免疫病態に関与する発症経路における重要な細胞や分子に対する阻害作用が臨床的に意味を有するかどうかは依然として不明であった。著者は、「今回の結果は、SGLT2阻害薬が自己免疫疾患のリスク低減に寄与する可能性を示唆しているが、潜在的な有益性は、既知の有害事象や忍容性に関する懸念と慎重に比較検討する必要があり、他の集団や状況における再現性の検証、ならびに自己免疫性リウマチ性疾患患者を対象とした研究が求められる」と述べている。BMJ誌2025年10月15日号掲載の報告。

寝たきり原因第1位「脳卒中」、最新治療アクセス改善と患者支援の最前線/日本脳卒中学会・日本脳卒中医療ケア従事者連合・日本脳卒中協会

 日本脳卒中学会、日本脳卒中医療ケア従事者連合、日本脳卒中協会の主催による「脳卒中メディアフォーラム」が10月15日に開催された。杏林大学医学部脳卒中医学 教授の平野 照之氏が司会を務めた。「脳卒中・循環器病対策基本法」および「脳卒中と循環器病克服5か年計画」に基づき、(1)脳卒中医療体制の整備、(2)地域多職種連携、(3)患者・家族支援と社会への啓発活動という3つの柱に沿って、各団体の理事長から最新の取り組みが報告された。

蕁麻疹に外用薬は非推奨、再確認したい治療の3ステップ

 かゆみを伴う赤みを帯びた膨らみ(膨疹)が一時的に現れて、しばらくすると跡形もなく消える蕁麻疹は、診察時には消えていることも多く、医師は症状を直接みて対応することが難しい。そのため、医師と患者の間には認識ギャップが生まれやすく、適切な診断・治療が選択されない要因となっている。サノフィは9月25日、慢性特発性蕁麻疹についてメディアセミナーを開催し、福永 淳氏(大阪医科薬科大学皮膚科学/アレルギーセンター)がその診療課題と治療進展について講演した。  なお、蕁麻疹の診療ガイドラインは現在改訂作業が進められており、次改訂版では病型分類における慢性(あるいは急性)蕁麻疹について、原因が特定できないという意味を表す“特発性”という言葉を加え、“慢性(急性)特発性蕁麻疹”に名称変更が予定されている。

2型糖尿病の全死亡、亜鉛欠乏で増加

 亜鉛不足が心不全の予後に関連することはいくつかの研究より報告されているが、今回、台湾・Chi Mei Medical CenterのYu-Min Lin氏らは、2型糖尿病患者における亜鉛欠乏が全死亡および心血管系合併症リスクを有意に高めることを明らかにした。  本研究はTriNetXが保有するデータベースを用いて、後ろ向きコホート研究を実施。亜鉛測定が行われていた18歳以上の2型糖尿病患者を亜鉛欠乏群(血清亜鉛<70μg/dL)と対照群(70~120μg/dL)に分類し、傾向スコアマッチング(PSM)を行った。主要評価項目は全死亡および心血管疾患の複合アウトカム(脳血管合併症、不整脈、炎症性心疾患、虚血性心疾患、その他の心疾患[心不全、非虚血性心筋症、心停止、心原性ショック]、血栓性疾患)で、各ハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を算出した。

認知機能低下リスクを考慮した高齢者の適切な睡眠時間は

 睡眠時間は、認知機能に重要な役割を果たしており、認知機能の低下と密接に関連している。しかし、中国人を対象に睡眠時間と認知機能の関係について検討した研究は、これまで十分ではなかった。中国・北京中医薬大学のGuolin Guo氏らは、中国の中高年における睡眠時間と認知機能の関連性を評価するため、横断的研究を実施した。JMIR Human Factors誌2025年9月8日号の報告。  China Health and Retirement Longitudinal Study 2020に参加した1万5,526例のデータを用いて、エピソード記憶、思考力、総合的認知機能を含む3つの複合指標を用いて認知機能の評価を行った。また、対面インタビューにより、自己申告による夜間の睡眠時間のデータも取得した。人口統計学的、ライフスタイル、健康関連の共変量を考慮し、多重一般化線形回帰モデルを用いて調整した。