内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:4

高齢入院患者のせん妄、認知症リスクが増加/BMJ

 認知症がなく、せん妄のエピソードを少なくとも1回経験している65歳以上の入院患者が初発の認知症の診断を受けるリスクは、せん妄のない患者のほぼ3倍に達し、せん妄のエピソードが1回増えるごとにリスクが20%増加することが、オーストラリア・クイーンズランド大学のEmily H. Gordon氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2024年3月27日号で報告された。  研究グループは、認知症のない高齢患者におけるせん妄と認知症発症との関連を評価する目的で、後ろ向きコホート研究を行った(オーストラリア国立保健医療研究評議会[NHMRC]の助成を受けた)。

CKDへの適応が追加されたエンパグリフロジンへの期待/ベーリンガーインゲルハイム・リリー

 SGLT2阻害薬エンパグリフロジン(商品名:ジャディアンス)に、2024年2月、慢性腎臓病(CKD)の適応が追加された。この適応追加に関連して日本ベーリンガーインゲルハイムと日本イーライリリーは、プレスセミナーを共同開催した。セミナーでは、CKDの概要と最新治療、エンパグリフロジンのCKDに対するEMPA-KIDNEY試験の結果などについて講演が行われた。  はじめに「慢性腎臓病のアンメットニーズと最新治療」をテーマに岡田 浩一氏(埼玉医科大学医学部腎臓内科 教授)が講演を行った。  腎炎、糖尿病、高血圧、加齢など腎疾患の原因はさまざまあるが、終末期では末期腎不全となり透析へと進展する。この腎臓疾患の原因となる病気の発症から終末期までを含めてCKDとするが、CKDの診療には次の定義がある。

市中肺炎、12%が「不適切な診断」

 市中肺炎は一般的な疾患だが、診断の正確性とそれに関連する有害性についてはあまり知られていない。米国ミシガン大学・アナーバー校のAshwin B. Gupta氏らは市中肺炎の不適切な診断の特徴を明らかにすることを目的に、前向きコホート研究を行った。この結果はJAMA Internal Medicine誌オンライン版2024年3月25日号に掲載された。  ミシガン州の48の病院で、市中肺炎を理由に入院し、入院1日目または2日目に抗菌薬投与を受けた成人患者を対象とした。調査は2017年7月1日~2020年3月31日にカルテレビューおよび患者への電話連絡で実施され、データ解析は2023年2~12月に行われた。

米国頭痛学会声明、片頭痛に対するCGRP標的療法の位置付け

 これまで第1選択治療として考えられてきたすべての片頭痛の予防的治療は、他の適応症のために開発され、その後片頭痛予防にも採用されている。これらの治療法は、有効性および忍容性の問題によりアドヒアランス低下が懸念されていた。前臨床および臨床エビデンスよりカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)が片頭痛発症に重要な役割を果たしていることが示唆され、いくつかの片頭痛特異的な治療法が開発された。これらのCGRPをターゲットとした治療法は、片頭痛のマネジメントに革新的な影響を及ぼしたものの、第1選択治療として広く普及しているとはいえない。米国・UCLA Goldberg Migraine ProgramのAndrew C. Charles氏らは、米国頭痛学会から表明された片頭痛予防に対するカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)をターゲットとした治療法に関する最新情報を報告した。Headache誌オンライン版2024年3月11日号の報告。

約20年ぶりの下部尿路症状の疫学調査、その結果は?

 本邦では、2002年に下部尿路症状(LUTS)に関する初めての疫学調査が実施され、過活動膀胱(OAB)の有病率などが報告された。当時の調査の結果では、40歳以上の男女のうち12.4%がOABに該当するとされ、加齢に伴いその割合は高くなったと報告されていた。また、40歳以上でOAB症状を有する人は、全国で約1,000万人と推計されていた。それ以降は本邦で大規模な疫学調査は行われていなかったが、日本排尿機能学会の前身である神経因性膀胱研究会が発足されてから50年の節目となる2023年において、現在の日本国内のLUTSの有病率と日常生活への影響を明らかにすることを目的として約20年ぶりの疫学調査が実施された。その結果は山梨大学の三井 貴彦氏らにより、International Journal of Urology誌オンライン版2024年3月21日号で報告された。

断酒から“減酒”へ、アルコール依存症の新たな治療戦略

 アルコール依存症やアルコールによる健康障害を回避するためには断酒・禁酒が推奨されてきたが、昨今の風潮ではアルコール依存症の治療でも重症度によっては「減酒」が第一歩となる。なぜ、断酒・禁酒ではなく減酒なのか。株式会社CureAppが主催した『減酒治療に関するメディアラウンドテーブル』では、治療法の時代変遷とそれに基づく減酒アプリ(現在、製造販売承認申請中)の実用化について、宋 龍平氏(減酒治療アプリプロジェクトリーダー/岡山県精神科医療センター臨床研究部 医師)が解説した。

低所得者、腎機能低下・透析開始リスクが1.7倍に/京都大学

 これまでの研究により、慢性腎臓病(CKD)の発症や進行には社会経済要因(所得、教育歴、居住地など)との関連がみられ、社会経済的地位の低い人ほどリスクが高いことが示されてきた。しかし、皆保険制度のある日本での状況はわかっていなかった。  京都大学の石村 奈々氏らは全国健康保険協会(協会けんぽ)の生活習慣病予防健診および医療レセプトのデータ(約560万人分)を用いて、収入と腎機能低下の関連を調査した。本研究の結果は、JAMA Health Forum誌オンライン版2024年3月1日号に掲載された。

モデルナのコロナワクチン、通常承認を取得し、引き続き供給

 新型コロナウイルスに対するmRNAワクチンを提供するモデルナは、2024年3月29日付のプレスリリースで、特例承認を受けていた「スパイクバックス筋注」の通常承認を3月27日付で取得したと発表した。  なお厚生労働省によると、2024年4月1日以降、65歳以上の人および60~64歳で対象となる人には、新型コロナウイルス感染症の重症化予防を目的として秋冬に自治体による定期接種が行われ、費用は原則有料となる。ただし、定期接種以外の時期であっても接種を希望するすべての人が、自費による任意接種が可能である。

筋力パラメータは不安・抑うつの予測因子となりうるか

 うつ病や不安症は、主要な公衆衛生上の問題の1つである。そのため、うつ病や不安症の症状予測因子を特定することは、症状悪化を避けるうえで重要となる。筋力や筋機能(握力、timed-stands testなど)は、健康アウトカムの予測因子として広く知られているが、うつ病や不安症との関連性は、十分にわかっていない。ブラジル・Santo Amaro UniversityのGabriella Mayumi Tanaka氏らは、握力やtimed-stands testスコアとうつ病および不安症の症状との関連を調査するため、コミュニティベースの横断研究を実施した。また、筋力レベルの高い人は、低い人と比較し、不安や抑うつ症状が軽減されるかについても調査した。その結果、筋力パラメータは、不安および抑うつ症状に関連する重要な予測因子である可能性を報告した。Clinical Nursing Research誌2024年3月号の報告。

医師数統計公表、増えた診療科・減った診療科-厚労省調査

 厚生労働省は「医師・歯科医師・薬剤師統計」の最新結果を取りまとめ、3月19日に公表した。それによると、全国の医師数は34万3,275人で、前回調査(2020年)に比べ1.1%増加。人口10万対医師数は274.7人で、前回に比べ5.5人増加している。医療施設(病院・診療所)に従事する医師のうち女性は7万7,380人となり、前回よりも4.8%増と大きく数字を伸ばした。年齢階級別にみるとすべての階級で男性が多くなっているが、年齢階級が低くなるほど女性の割合が増え、29歳以下では36.2%を占めている。  「医師・歯科医師・薬剤師統計」は、厚労省が2年おきに実施しており、今回は2022年12月31日時点の届け出を集計したもの。医師数を主に従事している施設の別にみると、医療施設の従事者は32万7,444人(総数の95.4%)で、前回に比べ3,744人(1.2%)増加。介護老人保健施設の従事者は3,298人(同1.0%)で前回に比べ107人(3.1%)減少している。