内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:7

若年層での脳梗塞、意外な疾患がリスクに?

 片頭痛、静脈血栓、腎臓病や肝臓病、がんなどは、一般に脳梗塞リスクを高めるとは考えられていない。しかし、一般的な心臓の構造的異常を有する50歳未満の人においては、このような因子が脳梗塞リスクを2倍以上に高める可能性のあることが、新たな研究で明らかにされた。ヘルシンキ大学病院(フィンランド)脳卒中ユニットの責任者であるJukka Putaala氏らによるこの研究の詳細は、「Stroke」に4月17日掲載された。  Putaala氏は、「われわれは、これまで脳梗塞のリスク因子と見なされていなかった因子(以下、非伝統的リスク因子)、特に片頭痛がもたらす影響に驚かされた。片頭痛は、若年成人の脳卒中発症の主なリスク因子の1つであると思われる」と米国心臓協会(AHA)のニュースリリースの中で述べている。

帯状疱疹ワクチンで認知症の発症リスクを低減できる可能性(解説:小金丸博氏)

「帯状疱疹ワクチンの接種が、認知症の発症リスクを低減する可能性がある」。この仮説は近年の観察研究で示唆されてきたが、2025年になってそれを強く支持する2つの高品質な準実験的研究がNature誌およびJAMA誌に相次いで報告され、大きな注目を集めている。まず、先行研究としてウェールズでの研究結果が2025年4月2日号のNature誌に報告された。2013年にウェールズで導入された帯状疱疹ワクチン接種プログラムでは、1933年9月2日以降に生まれた人が接種対象となり、それ以前に生まれた人は対象外とされた。この明確な誕生日による区分を利用し、年齢のみがわずかに違うと推定される2つの集団を比較することで、交絡因子の影響を最小限に抑えた。その結果、ワクチン接種者では、7年間の追跡期間中に認知症と診断されるリスクが20%低下(3.5%ポイントの絶対リスク減少)し、この効果はとくに女性で顕著であった。

モデルナのコロナワクチン、生後6ヵ月からの追加免疫の一変承認を取得

 モデルナ・ジャパンは5月19日付のプレスリリースにて、新型コロナウイルスワクチン「スパイクバックス筋注」について、生後6ヵ月以上4歳以下を対象とした追加免疫に関する承認事項の一部変更を厚生労働省から取得したと発表した。  これまで「スパイクバックス筋注」は、生後6ヵ月以上5歳未満に対して初回免疫のみ承認されており、追加免疫は5歳以上が対象であったが、今回の承認により、生後6ヵ月から追加免疫としても接種できるようになる。

心不全患者の亜鉛不足、死亡や腎不全が増加

 台湾・Chi Mei Medical CenterのYu-Min Lin氏らは、心不全(HF)患者の亜鉛欠乏が死亡率、心血管系や腎機能リスクおよび入院リスクの上昇と関連していることを明らかにした。Frontiers in Nutrition誌2025年4月28日号掲載の報告。  HF患者では、利尿薬やRA系阻害薬といった降圧薬の使用などが原因で、亜鉛欠乏症(ZD)の有病率が高いことが報告されている。また、亜鉛補充により左室駆出率を改善させる可能性も示唆されているが、亜鉛がHFの臨床転帰に与える影響を調査した大規模研究はほとんど行われていなかった。

カフェイン摂取とアルツハイマー病進行との関連

 アルツハイマー病は、世界的な健康問題として深刻化しており、疾患進行に影響を及ぼす可能性のある改善可能な生活習慣因子への関心が高まっている。この生活習慣因子の中でも、カフェイン摂取は潜在的な予防因子として期待されているものの、そのエビデンスは依然として複雑であり、完全に解明されていない。パキスタン・Rehman Medical InstituteのZarbakhta Ashfaq氏らは、カフェイン摂取とアルツハイマー病進行との関連性についてのエビデンスをシステマティックにレビューし、評価した。Cureus誌2025年3月20日号の報告。

コロナ入院患者の院内死亡リスク、オミクロン後もインフルの1.8倍超/感染症学会・化学療法学会

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、オミクロン株流行以降、重症度が低下したとする報告がある一方、インフルエンザと比較すると依然として重症度が高いとの報告もある。国内の死亡者数においても、5類感染症移行後、COVID-19による死亡者数はインフルエンザの約15倍に上ると厚生労働省の統計で報告されている。こうした背景から、長崎大学熱帯医学研究所の前田 遥氏らの研究グループは、COVID-19患者の入院中の死亡リスクをインフルエンザ患者と比較評価した。本結果は、5月8~10日に開催された第99回日本感染症学会総会・学術講演会/第73回日本化学療法学会総会 合同学会にて、前田氏が発表した。

高血圧診断後の降圧薬開始、1ヵ月以内vs.1ヵ月以降

 未治療の成人高血圧患者において、診断後1ヵ月以内に降圧薬単剤療法を開始すると、それ以降に開始した場合と比較して、診断後6~30ヵ月までの血圧コントロールが良好であった。一方で、1ヵ月以内に単剤での降圧薬療法を開始したとしても、30%超の患者では血圧コントロールは不十分であることも示された。米国医師会のRobert B Barrett氏らによる後ろ向きコホート研究の結果が、Hypertension誌オンライン版2025年4月21日号に掲載された。  診断および治療歴のない高血圧患者1万5,422例(平均年齢:56.0±14.8歳、18歳未満および85歳以上は除外、2019年1月~2023年1月に初回診断)が、5つの医療機関の後ろ向きコホートより抽出された。診断後最大42ヵ月までの期間において、血圧コントロール状況(<140/<90mmHg)およびコントロール不良時における降圧薬単剤療法の開始状況を経時的に評価した。初診時の血圧に対する降圧薬単剤療法開始のオッズを、人種、性別、および糖尿病の有無で層別化し、ロジスティック回帰モデルにより推定した。経時的な血圧コントロール達成状況については、Cox比例ハザードモデルを用いてハザード比を推定した。

obicetrapib/エゼチミブ配合剤、LDL-コレステロール低下に有効/Lancet

 obicetrapibとエゼチミブの固定用量配合剤(FDC)は、最大耐用量の脂質低下療法を受けている動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)既往または高リスク患者のLDL-コレステロール(LDL-C)値を、各単独投与あるいはプラセボと比較して有意に低下させたことが示された。米国・Cleveland ClinicのAshish Sarraju氏らが、米国の48施設で実施した第III相無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験「TANDEM試験」の結果を報告した。著者は、「この経口・配合剤単剤療法は、ASCVD既往または高リスク患者におけるLDL-C管理を改善する可能性がある」とまとめている。obicetrapibはコレステリルエステル転送蛋白(CETP)阻害薬で、非ASCVD患者を対象とした小規模な第II相試験で、単独投与またはエゼチミブとの併用投与でLDL-C値を低下させることが示されていた。Lancet誌オンライン版2025年5月7日号掲載の報告。

アトピー性皮膚炎への新規外用薬、既存薬と比較~メタ解析

 アトピー性皮膚炎に対する治療薬として、2020年1月にデルゴシチニブ、2021年9月にジファミラストが新たに承認された。長崎大学の室田 浩之氏らは、これらの薬剤と既存の標準的な外用薬について、臨床的有効性および安全性を評価するためシステマティックレビューおよびネットワークメタ解析を実施し、結果をDermatology and Therapy誌2025年5月号で報告した。  Medline、Embase、Cochrane、ならびに医中誌から対象となる文献を選定し、有効性の評価項目として、Eczema Area and Severity Index(EASI)スコアおよびInvestigator Global Assessment(IGA)スコアを使用した。安全性の評価項目には、重篤な有害事象、ざ瘡、および皮膚感染症が含まれた。

CT検査による将来のがんリスク、飲酒や過体重と同程度?

 米国では、年間6,200万人の患者に対して約9,300万件のCT検査が行われている。CT検査は診断に役立つが、被曝によってがんリスクを高める可能性がある。2009年の分析では、2007年の米国におけるCTの使用により将来約2万9,000件のがんが発症するとの推定が報告されたが、2007年以降、年間に実施されるCT検査数は30%以上増加しているという。  CT使用に関連する将来的ながん発症率の予測値を更新するため、カリフォルニア大学サンフランシスコ校疫学・生物統計学部のRebecca Smith-Bindman氏らは、2018年1月~2020年12月にカリフォルニア大学国際CT線量レジストリの検査データ12万1,212件を使用し、リスクモデルを用いた分析を実行した。