内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:7

重篤な薬疹を起こしやすい経口抗菌薬は?/JAMA

 一般的に処方される経口抗菌薬の中には、マクロライド系薬と比較して救急外来受診または入院に至る重篤な皮膚有害反応(cADR)のリスクが高い薬剤があり、とくにスルホンアミド系とセファロスポリン系で最も高いことが、カナダ・トロント大学のErika Y. Lee氏らによるコホート内症例対照研究の結果で示された。重篤なcADRは、皮膚や内臓に生じる生命を脅かす可能性のある薬物過敏症反応である。抗菌薬はこれらの原因として知られているが、抗菌薬のクラス間でリスクを比較した研究はこれまでなかった。結果を踏まえて著者は、「処方者は、臨床的に適切な場合はリスクの低い抗菌薬を優先して使用すべきである」とまとめている。JAMA誌オンライン版2024年8月8日号掲載の報告。

高K血症によるRA系阻害薬の中止率が低い糖尿病治療薬は?

 高血圧治療中の2型糖尿病患者が高カリウム(K)血症になった場合、レニン-アンジオテンシン系阻害薬(RA系阻害薬)を降圧薬として服用していたら、その使用を控えざるを得ない。最近の報告によれば、GLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)は尿中カリウム排泄を増加させ、高K血症のリスクを軽減させる可能性があることが示唆されている。今回、中国・北京大学のTao Huang氏らは2型糖尿病患者の治療において、GLP-1RAは高K血症の発生率が低く、DPP-4阻害薬と比較してRA系阻害薬が継続できることを示唆した。JAMA Internal Medicine誌オンライン版2024年8月12日号掲載の報告。

現金給付は、医療アクセスを改善するか/JAMA

 貧困は医療へのアクセスの大きな障壁となり、健康アウトカムの悪化と関連することが知られている。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のSumit D. Agarwal氏らは、現金給付が医療サービス利用と健康にベネフィットをもたらすかを無作為化試験で調べた。現金給付を受けた人では、とくに精神疾患や物質使用障害(substance use disorder:SUD)に関連した理由での救急外来の受診が有意に減少し、入院に至った救急外来の受診の減少や専門外来の受診の増加もみられた。著者は、「試験の結果は、所得支援の提供で貧困を軽減しようとする政策が、健康および医療アクセスに大きなメリットをもたらす可能性があることを示唆するものであった」とまとめている。JAMA誌オンライン版2024年7月22日号掲載の報告。

長期のコロナ罹患後症状、入院後6ヵ月時点がカギに

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、急性期以降の認知および精神医学的転帰のリスク増加と関連することが知られている。英国で行われた大規模研究ではCOVID-19による入院後2~3年間における認知・精神症状の進行を追跡し、その症状と就労への影響について調査した。The Lancet Psychiatry誌2024年9月号掲載の報告。  本研究は英国の臨床医コンソーシアムであるThe Post-hospitalisation COVID-19 study(PHOSP-COVID)の登録データを使い、英国全土の参加病院でCOVID-19の臨床診断を受けて入院した成人(18歳以上)を対象とした前向き縦断コホート研究だった。

加糖飲料とうつ病リスク〜前向きコホート研究

 加糖飲料とうつ病リスクの遺伝的素因との関連性は、いまだ明らかとなっていない。中国・天津医科大学のYanchun Chen氏らは、加糖飲料、人工甘味飲料、天然ジュースとうつ病との関連を調査し、これらの関連が遺伝的素因により変化するかを評価した。General Psychiatry誌2024年7月17日号の報告。  ベースライン時のうつ病でない39〜72歳の一般集団18万599人を英国バイオバンクのデータより抽出した。加糖飲料、人工甘味飲料、天然ジュースの摂取量は、2009〜12年の24時間思い出し法(24-hour dietary recall)より収集した。うつ病の多遺伝子リスクスコアを推定し、低リスク(最低三分位)、中リスク(中間三分位)、高リスク(最高三分位)に分類した。ハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)の算出には、Cox比例ハザードモデルおよびsubstitutionモデルを用いた。

流行株によるコロナ罹患後症状の発生率とコロナワクチンの効果(解説:寺田教彦氏)

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は、起源株やアルファ株、デルタ株といったプレオミクロン株流行時期は、重症化率・死亡率の高さから、国内でも緊急事態宣言が出されるほど公衆衛生に多大な影響を与えていた。その後コロナワクチンや中和抗体治療薬により、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症化率や死亡率は低下したが、2021年ごろから後遺症の問題が注目されるようになった。新型コロナウイルス感染症罹患後症状(以下、本文ではPASC:post-acute sequelae of SARS-CoV-2 infectionとする)は、診断基準を提案する論文はあるが(Thaweethai T, et al. JAMA. 2023;329:1934-1946.)、世界的に統一された明確な定義や診断基準はなく、病態や治療法も判明しきってはいない。  

日本における低気圧誘発性頭痛に関する性差

 片頭痛は、女性に多い疾患である。低気圧は、頭痛発症の因子であるが、性別により違いがあるかは確認されていない。慶應義塾大学のTakuma Fujimoto氏らは、低気圧誘発性頭痛の性差について、調査を行った。BMC Research Notes誌2024年7月23日号の報告。  対象は、調査会社(マクロミル)のWebパネルよりランダムに抽出された20〜49歳の慢性片頭痛および緊張型頭痛患者。対象患者は、Webベースの自己記入式アンケートに回答した。目標変数をHeadache Impact Test-6(HIT-6)の高スコア(56以上)または低気圧誘発性頭痛とし、ロジスティック回帰分析を行った。  主な結果は以下のとおり。

高齢者への低用量アスピリン、中止すると…?

 心血管疾患(CVD)を有さない高齢者において、低用量アスピリンはCVDリスクを低下させず、全死亡や大出血のリスクを上昇させたことが報告されているが1,2)、すでに多くの高齢者に低用量アスピリンが投与されている。そこで、オーストラリア・モナシュ大学のZhen Zhou氏らは、アスピリン中止の安全性を明らかにすることを目的として、CVDを有さない高齢者において、低用量アスピリン中止がCVDリスクに与える影響を検討した。その結果、低用量アスピリン中止はCVDリスクを上昇させず、大出血リスクを低下させることが示された。本研究結果は、BMC Medicine誌2024年7月29日号に掲載された。

マクロライドとキノロンを組み合わせたmacrolones、耐性菌に有望か

 2方向から同時に細菌を攻撃する抗菌薬が、薬剤耐性菌と闘うための解決策になるかもしれない。互いに異なる標的に作用する2種類の抗菌薬を組み合わせたmacrolonesと呼ばれる合成抗菌薬が、細菌のタンパク質合成の阻害とDNA複製の阻害という2つの異なる方法で細菌の細胞機能を破壊することが示された。米イリノイ大学シカゴ校(UIC)生物分子科学および薬学分野のAlexander Mankin氏らによるこの研究の詳細は、「Nature Chemical Biology」に7月22日掲載された。  Macrolonesは、広く使われている2種類の抗菌薬であるマクロライド系抗菌薬とフルオロキノロン系抗菌薬を組み合わせたものである。エリスロマイシンのようなマクロライド系抗菌薬は、細菌の細胞内にあるリボソームでのタンパク質合成を阻害し、シプロフロキサシンのようなフルオロキノロン系抗菌薬は、細菌がDNAを複製する際に必要とする酵素(DNAジャイレース、トポイソメラーゼIV)を標的にする。

コーヒー5杯/日以上で脳梗塞リスクが高まる!?

 大規模な国際症例対照研究であるINTERSTROKE研究で、コーヒー、紅茶、緑茶などの摂取量と脳卒中の関連を検討したところ、コーヒーを多量摂取(1日5杯以上)する人は脳卒中全体と脳梗塞のリスクが高く、逆に緑茶を摂取する人ではこれらのリスクが低かったという。カナダ・McMaster University and Hamilton Health SciencesのAndrew Smyth氏らがInternational Journal of Cancer誌オンライン版2024年6月18日号で報告した。