内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:3

アルツハイマー病予防に必要な最低限の運動量が判明

 これまでの研究では、身体活動とアルツハイマー病リスクとの逆相関関係が示唆されている。多くの研究において身体活動の健康効果が報告されているが、高齢期における身体活動の具体的な効果は依然として不明であり、高齢者では激しい身体活動が困難な場合も少なくない。さらに、身体活動の評価方法には、実施時期やその種類など、ばらつきも大きい。米国・Touro UniversityのAmy Sakazaki氏らは、高齢期における身体活動の効果および高齢者にとっての最低限の身体活動レベルを明らかにするため、既存の文献を評価するシステマティックレビューを実施した。Journal of Osteopathic Medicine誌オンライン版2025年7月16日号の報告。

肺炎の病原体検出、肺炎パネルvs.呼吸器パネルvs.培養

 迅速な病原体検出を可能にする多項目遺伝子検査ツールは、その有用性が報告されているものの、本邦では比較データが不足しており、臨床での応用は限定的である。そこで、畑地 治氏(松阪市民病院)らの研究グループは、肺炎が疑われる患者を対象として、マルチプレックスPCR法を用いる肺炎パネル検査(BioFire肺炎パネル)、呼吸器パネル検査(FilmArray呼吸器パネル)、培養・同定検査を比較した。その結果、肺炎パネル検査は従来の培養・同定検査と比較して、病原体検出に優れ、臨床的価値が高いことが示唆された。本研究結果は、Respiratory Investigation誌2025年9月号に掲載された。

ジャガイモ、調理法によって糖尿病リスクに違い /BMJ

 ジャガイモの摂取と2型糖尿病のリスクとの関連について、フライドポテトの摂取量の多さは2型糖尿病のリスク増加と関連していたが、ベイクドポテト・ボイルドポテト・マッシュポテトを組み合わせた場合は関連していなかった。また、ジャガイモを全粒穀物に置き換えるとリスクが低下する一方、白米に置き換えるとリスクが増加したという。米国・Harvard T.H. Chan School of Public HealthのSeyed Mohammad Mousavi氏らが、同国の看護師および医療従事者を対象とした大規模前向きコホート研究等のデータを用いて行った解析の結果を報告した。BMJ誌2025年8月6日号掲載の報告。

腰痛の重症度に意外な因子が関連~日本人データ

 主要な生活習慣関連因子と腰痛の重症度・慢性度との関連について、藤田医科大学の川端 走野氏らが日本の成人の全国代表サンプルで調査したところ、脂質異常症が腰痛重症度に関連し、喫煙が腰痛の重症度および慢性度の両方に関連していることが示された。PLoS One誌2025年7月30日号に掲載。  本研究では、無作為に抽出した20~90歳の日本人5,000人を対象に全国横断調査を実施。2,188人から有効回答を得た。現在の腰痛の有無、腰痛の重症度(痛みなし/軽度または中等度/重度)、慢性腰痛の有無により層別解析を行った。主な生活習慣関連因子は、BMI、飲酒、喫煙、運動習慣、併存疾患(脂質異常症、糖尿病、高血圧)、体型に関する自己イメージなどで、多変量ロジスティック回帰分析により各因子との関連の有無を評価した。

糖尿病女性の診察では毎回、妊娠希望の意思確認を

 糖尿病既往のある女性の妊娠に関する、米国内分泌学会と欧州内分泌学会の共同ガイドラインが、「The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism」に7月13日掲載された。糖尿病女性患者には、診察の都度、子どもをもうけたいかどうかを尋ねるべきだとしているほか、妊娠前のGLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)の使用中止などを推奨している。  ガイドラインの筆頭著者である米ミシガン大学アナーバー校のJennifer Wyckoff氏はガイドライン策定の目的を、「生殖年齢の女性の糖尿病有病率が上昇している一方で、適切な妊娠前ケアを受けている糖尿病女性はごくわずかであるため」とした上で、「本ガイドラインは、計画的な妊娠の方法に加え、糖尿病治療テクノロジーの進歩、出産の時期、治療薬、食事・栄養についても言及したものだ」と特色を強調している。

輸液選択、乳酸リンゲル液vs.生理食塩水/NEJM

 日常的に行われている静脈内輸液投与に関して、乳酸リンゲル液のほうが生理食塩水よりも臨床的に優れているかは不明である。カナダ・オタワ大学のLauralyn McIntyre氏らCanadian Critical Care Trials Groupは、病院単位で期間を区切って両者を比較した検討において、乳酸リンゲル液を使用した場合に、初回入院後90日以内の死亡または再入院の発生率は有意に低下しなかったことを示した。NEJM誌オンライン版2025年6月12日号掲載の報告。  研究グループは、カナダのオンタリオ州にある7つの大学および地域病院で、非盲検、2期間、2シークエンス、クラスター無作為化クロスオーバー試験を実施した。静脈内輸液を病院全体で12週間ずつ乳酸リンゲル液または生理食塩水に割り付け、アウトカムを比較した。乳酸リンゲル液または生理食塩水使用への切り替えは、ウォッシュアウト後に行った。

「地域医療、医療DX、医薬品の安定供給」を2026年予算要求に要望/日医

 日本医師会(会長:松本 吉郎氏[松本皮膚科形成外科医院 理事長・院長])は、8月6日に定例の記者会見を開催した。会見では、「2026年度予算要求の要望事項」、「紙カルテ利用診療所の電子化対応可能性に関する調査」、「マイナ保険証のスマートフォン搭載対応」、「OTC類似薬に係る最近の状況」について説明が行われた。  はじめに松本氏が、「2026(令和8)年度予算要求要望」について内容の説明を行った。今回、概算要求事項として「(1)地域医療への予算確保、(2)医療DXの適切な推進のための予算確保、(3)医薬品の安定供給」の3つを要望していると述べた。具体的な要望内容は以下のとおりである。

日本における認知症予防、社会参加の促進はどの程度効果があるのか

 社会参加は、認知症発症リスクの低下と関連している可能性があり、近年日本において増加傾向にある。この社会参加の促進が、認知症発症率の変化と関連している可能性がある。医療経済研究機構の藤原 聡子氏らは、5つの自治体における2つの高齢者コホートの認知症発症率を比較し、その違いが社会参加と関連しているのか、あるいは社会参加の変数と関連しているかを検討した。Archives of Gerontology and Geriatrics誌2025年10月号の報告。  日本老年学的評価研究(JAGES)のデータを分析した。本研究は、要介護認定を受けていない65歳以上の地域在住高齢者を対象とした2つの3年間フォローアップ調査コホート(2013〜16年:2万5,281人、2016〜19年:2万6,284人)で構成された。生存分析を用いて、コホートおよび社会参加を説明変数として認知症のハザード比(HR)を算出した。解析は、年齢別(65〜74歳、75歳以上)に層別化し、人口統計学的因子、社会参加、社会参加に関連する変数について調整した。

循環器病予防に大きく寄与する2つの因子/国立循環器病研究センター

 心血管疾患(CVD)リスク因子については、高血圧や喫煙、体型、栄養などの関連性が指摘されている。では、これらの因子はCVDへの寄与について、どの程度定量化できるのであろうか。このテーマに関して、国立循環器病研究センター予防医学・疫学情報部の尾形 宗士郎氏らの研究グループは、高度なマイクロシミュレーションモデル「IMPACT NCD-JPN」を開発し、2001~19年に起きた循環器病のリスク要因の変化が、全国の循環器病(冠動脈疾患と脳卒中)の発症数、死亡数、医療費、QALYs(質調整生存年)にどのような影響を与えたかを定量的に評価した。その結果、収縮期血圧(SBP)の低下と喫煙率の低下が循環器病発症の軽減に大きく寄与していることがわかった。この結果は、The Lancet Regional Health Western Pacific誌2025年7月8日号に掲載された。

卵は本当にLDL-C値を上げるのか

 朝食の定番である卵は、コレステロール値を上昇させ、心臓病のリスクを高めると一般的に考えられている。しかし、卵に関する新たな研究で、1日に2個の卵と飽和脂肪酸の少ない食事を組み合わせて摂取した人では、悪玉コレステロールとも呼ばれるLDLコレステロール(LDL-C)値が低下し、心血管疾患の発症リスクが低下する可能性のあることが示された。その一方で、飽和脂肪酸はLDL-C値を上げる傾向があることも判明した。南オーストラリア大学のJonathan Buckley氏らによるこの研究結果は、「The American Journal of Clinical Nutrition」7月号で報告された。