内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:3

医師からのメッセージ、AIが作成しても患者の満足度は高い

 患者は通常、診療所から届いたメッセージの作成者が誰であるかを知らされなければ、それが人工知能(AI)によって書かれたものであっても気にしないことが新たな研究で明らかになった。この研究によると、AIにより書かれたメッセージと医師により書かれたメッセージを見せられた患者は、AIのメッセージを好む傾向にあったが、全体的な満足度はどちらも高かったという。米デューク大学医学部のAnand Chowdhury氏らによるこの研究の詳細は、「JAMA Network Open」に3月11日掲載された。

フィネレノン、CKD有するHFmrEF/HFpEFに有効~3RCT統合解析(FINE-HEART)/日本循環器学会

 心不全患者のほぼ半数が慢性腎臓病(CKD)を合併している。心不全とCKDは、高血圧、肥満、糖尿病といった共通のリスク因子を持ち、とくに左室駆出率が保持された心不全(HFpEF)患者ではその関連がより顕著である。レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)や交感神経系の活性化、炎症、内皮機能障害、線維化、酸化ストレスといった共通の病態生理学的経路を有する。したがって、心不全患者、とくにHFpEF患者において、腎保護が治療成功の鍵となっている。

65歳未満の市中肺炎、GL推奨の短期治療の実施率~日本人約2万5千例の解析

 肺炎診療ガイドライン2024では、市中肺炎治療において、初期治療が有効な場合には1週間以内の短期抗菌薬治療を実施することが弱く推奨されている。しかし、その実施率は高くないことが示された。酒井 幹康氏(名城大学/豊田厚生病院)らの研究グループが、65歳未満の成人市中肺炎における短期治療の実施状況について、大規模レセプトデータベースを用いて検討した結果をJournal of Infection and Chemotherapy誌2025年5月号で報告した。

強制的なランニングがストレスや抑うつ症状に及ぼす影響〜動物実験データ

 High mobility group box 1(HMGB-1)は主に有核細胞の核内に発現しているタンパクで、炎症性刺激時または細胞死に際して核内から細胞外に放出され、それが炎症応答を誘導し、敗血症や免疫疾患などの病態を増悪することが知られている。HMGB-1により媒介される炎症反応は、うつ病の病態生理学的メカニズムにおいて重要な役割を果たすと考えられる。Qian Zhong氏らは、海馬におけるHMGB-1の影響を評価し、うつ病の慢性予測不能軽度ストレス(CUMS)マウスモデルに対する強制的なランニング(FR)の抗うつ作用を調査した。Neuropsychobiology誌オンライン版2025年3月11日号の報告。

高齢者の不眠症に最も効果的な運動は?

 高齢者の不眠症の改善に最も効果的な運動は、レジスタンストレーニング(筋トレ)であるとする論文が発表された。ただし、筋トレだけでなく、有酸素運動などの有効性も確認されたという。マヒドン大学ラマティボディ病院(タイ)のKittiphon Nagaviroj氏らによる研究の結果であり、詳細は「Family Medicine and Community Health」に3月4日掲載された。  加齢とともに睡眠の質が低下する。高齢者の12~20%が不眠症に悩まされているという報告もある。不眠症はうつ病や不安症、その他の精神疾患と関連のあることが明らかになっており、さらにメタボリックシンドロームや高血圧、心臓病などの身体疾患との関連も示されている。

食道がんリスクが平均赤血球容積でわかる?

 健康診断などでよく見る平均赤血球容積(MCV)は貧血の種類を判別する指標だが、食道がんの予測因子としても使えるようになるかもしれない。静岡県立総合病院消化器外科の佐藤真輔氏、静岡社会健康医学大学院大学の菅原照氏らの研究によるもので、食道がんの発症リスクが高血圧の既往や生活習慣などとともにMCVでも予測できる可能性があるという。研究の詳細は「PLOS One」に2月11日掲載された。  食道がんは予後不良のがんであり、2020年には世界で54万人が食道がんで死亡している。症例の多くは扁平上皮がんであり、日本や中国を含む東アジアでの発症率が特に高くなっている。食道の扁平上皮がんのリスク因子は飲酒と喫煙であることが報告されている。

鉄欠乏症心不全患者に対するカルボキシマルトース第二鉄の静注は、心不全入院と心血管死を有意に減少させなかった:The FAIR-HF2無作為化臨床試験-心不全治療において貧血は難題-(解説:佐田政隆氏)

心不全では貧血を伴うことが多く、貧血は心不全の重要な予後規定因子である。心不全による貧血の進行の機序としては、慢性炎症、腎機能低下、体液貯留による血液希釈、鉄欠乏などが想定されているが、「心・腎・貧血症候群」として近年、問題視されており、その病態の悪循環を断つためにいろいろな介入方法が試みられているが、特効薬がないのが現状である。鉄欠乏は心不全患者の半数以上に合併し、心不全症状や運動耐容能の低下、心不全入院、心血管死と関連することが報告されている。鉄欠乏状態を評価するため、2つの指標が用いられている。フェリチンは体内の鉄を貯蔵するタンパク質で、血液中のフェリチンの量を測定することで体内の鉄の貯蔵量を推定することができる。一方、血清鉄は、トランスフェリンというタンパク質に結合して搬送され、血清鉄/総鉄結合能✕100(%)が鉄飽和度(TSAT)と呼ばれ、血液中の鉄と結合しているトランスフェリンの割合を指し、鉄の過不足を判断する指標として用いられる。心不全患者の鉄欠乏の基準として、血清フェリチン<100ng/mL、または血清フェリチン100~300ng/mLかつTSAT<20%と定義されており、このような患者を対象にして鉄補充の有効性と安全性をみる数々の臨床研究が行われてきた。6分間歩行や最大酸素摂取量といったソフトエンドポイントでは有効性を示した報告が多いが、心血管死と心不全入院といったハードエンドポイントでは、有効性を示すことができなかった研究がほとんどである。

ワインによる各脂質レベルへの影響~メタ解析

 ワイン摂取が脂質プロファイルに及ぼす影響について、これまで脂質をトリグリセライド、総コレステロール、LDLコレステロール、HDLコレステロール、フィブリノゲンに分けてメタ解析を行った研究はなかった。今回、スペイン・University of Castilla-La ManchaのMaribel Luceron-Lucas-Torres氏らが系統的レビューとメタ解析を実施した結果、赤ワインによるLDLコレステロール減少効果が示された。The Journal of Nutrition, Health and Aging誌2025年6月号に掲載。  本研究では、MEDLINE(PubMed)、Scopus、Cochrane、Web of Scienceのデータベースを調べ、系統的レビューとメタ解析を行った。

水中エアロビクスは減量とウエスト周囲径の減少に効果あり

 水中エアロビクス(有酸素運動)により、過体重や肥満の人の体重が2.7kg程度減り、ウエスト周囲径も2.75cm細くなったとする研究結果が報告された。論文の上席著者である国立釜慶大学校(韓国)のJongchul Park氏は、「10週間以上の水中エアロビクスによる介入により、試験参加者の体重とウエスト周囲径が大幅に減少した」と述べている。この研究の詳細は、「BMJ Open」に3月11日掲載された。  Park氏らは、論文データベースを用いて、過体重または肥満の人を対象に水中エアロビクスが人間の身体計測値(体重、ウエスト周囲径など)と体組成に与える影響を、他の介入や何もしない場合と比較したランダム化比較試験(RCT)のシステマティックレビューを実施し、10件を選出(対象者の総計286人)。これらのRCTのデータを抽出した後、メタアナリシスを行い、過体重や肥満の人における水中エアロビクスの効果を評価した。

バターを植物油に置き換えると死亡リスク17%減

 バターがあれば何でもおいしくなる、というのは料理人の格言だが、バターは健康には良くないことが新たな研究で示された。バターの摂取量が多い人は少ない人に比べて早期死亡リスクが高いが、オリーブ油のような植物性の油を主に使っている人は早期死亡リスクが低いことが明らかになったという。米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院のYu Zhang氏らによるこの研究結果は、「JAMA Internal Medicine」に3月6日掲載されると同時に、米国心臓協会(AHA)の生活習慣科学セッション(EPI/Lifestyle Scientific Sessions 2025、3月6~9日、米ニューオーリンズ)でも発表された。