内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:5

モデルナ、プレフィルドシリンジ型コロナワクチンを新発売

 モデルナ・ジャパンは5月26日付のリリースにて、新型コロナウイルスワクチン「スパイクバックス(R)筋注シリンジ」を新たに発売したことを発表した。本ワクチンは、12歳以上を対象とした1回接種用0.5mLを充填したプレフィルドシリンジ製剤で、医療現場での調製時間を短縮し、投与準備を簡便化する。これにより、医療従事者の負担軽減と接種の効率化が期待される。本製剤は、オミクロン株JN.1系統に対応している。  なお、2025年春夏シーズンの任意接種においては、従来からのオミクロン株JN.1系統対応バイアル製剤「スパイクバックス(R)筋注」も引き続き使用可能となっている。

研修医の自殺、研修開始後3ヵ月が最多

 米国卒後医学教育認定評議会(ACGME)が行った以前の調査によると、2000~14年の米国における研修医・フェローの主な死亡原因は自殺とがんであった。後続研究としてACGMEは2015~21年のデータを分析し、以前の結果と比較した。Nicholas A. Yaghmour氏らによる本研究の結果は、JAMA Network Open誌2025年5月14日号に掲載された。  主要アウトカムは前回(2000~14年)と今回(2015~21年)の2つの期間における研修医・フェローの死亡率の差であった。副次的アウトカムは一般の同年代との死亡率の比較、専門分野別の死亡原因の差異だった。

マイコプラズマ肺炎、大阪府のマクロライド耐性率は約6割

 大阪府の医療施設を対象とした調査において、2024年のMycoplasma pneumoniaeのマクロライド耐性変異率は60.2%に達していたことが報告された。マクロライド耐性マイコプラズマ肺炎は2000年代から増加し、2012年前後にはM. pneumoniaeのマクロライド耐性変異率が80~90%に達した。その後、マクロライド耐性変異率は低下し、2019年前後には20~30%となった。それ以降は、COVID-19パンデミックに伴ってマイコプラズマ肺炎の報告が激減したが、2024年には再流行がみられた。そこで、宮下 修行氏(関西医科大学 内科学第一講座 呼吸器感染症・アレルギー科)らの研究チームは、大阪府の医療施設を対象として、2018~24年のマイコプラズマ肺炎の報告件数とM. pneumoniaeのマクロライド耐性変異率を調査した。本研究結果は、Respiratory Investigation誌2025年4月22日号に掲載された。

肥満者の体重減少、チルゼパチドvs.セマグルチド/NEJM

 非糖尿病の肥満成人において、チルゼパチドはセマグルチドと比較して72週時の体重および胴囲の減少に関して優れていることが、米国・Weill Cornell MedicineのLouis J. Aronne氏らSURMOUNT-5 Trial Investigatorsによる第IIIb相無作為化非盲検並行群間比較試験「SURMOUNT-5試験」の結果で示された。チルゼパチドおよびセマグルチドは、肥満の管理に非常に有効な薬剤である。肥満であるが2型糖尿病は有していない成人において、チルゼパチドとセマグルチドの有効性および安全性を直接比較した臨床試験はこれまでなかった。NEJM誌オンライン版2025年5月11日号掲載の報告。

うつ病に対するブレクスピプラゾール増強療法とミトコンドリア遺伝子発現変化

 うつ病患者の20%は治療抵抗性を示し、いくつかの抗うつ薬単剤療法では治療反応が得られない。このような治療抵抗性うつ病患者には、抗精神病薬による増強療法が治療選択肢の1つとなりうる。しかし、抗精神病薬増強療法のメカニズムは、依然として解明されていない。愛媛大学の近藤 恒平氏らは、遺伝子発現レベルにおけるブレクスピプラゾール増強療法の作用メカニズムを解明するため、本研究を実施した。Journal of Psychopharmacology誌オンライン版2025年5月6日号の報告。

患者数は多いが社会的認知度の低い肥大型心筋症/BMS

 ブリストル マイヤーズ スクイブ(以下、BMS)は、閉塞性肥大型心筋症(Hypertrophic cardiomyopathy:HCM)治療薬の選択的心筋ミオシン阻害薬マバカムテン(商品名:カムザイオス)を5月21日に発売した。本剤が国内初承認されたことで、臨床現場でもHCMの見方が変わってくるだろう。5月15日にはBMS主催のメディアセミナーが開催され、北岡 裕章氏(高知大学医学部 老年病・循環器内科学 教授)が「肥大型心筋症とはどの様な疾患か? なぜ新しい治療が必要か?〜肥大型心筋症で苦しむ患者さんのために〜」と題し、HCMの過小評価の実態などについて解説。さらに、患者代表として林 千晶氏が登壇し、自身の経験から医師に知ってもらいたいこと、患者として注意すべきことについて語った。

咳嗽・喀痰の診療GL改訂、新規治療薬の位置付けは?/日本呼吸器学会

 咳嗽・喀痰の診療ガイドラインが2019年版以来、約6年ぶりに全面改訂された。2025年4月に発刊された『咳嗽・喀痰の診療ガイドライン第2版2025』では、9つのクリニカル・クエスチョン(CQ)が設定され、初めてMindsに準拠したシステマティックレビューが実施された。今回設定されたCQには、難治性慢性咳嗽に対する新規治療薬ゲーファピキサントを含むP2X3受容体拮抗薬に関するCQも含まれている。また、本ガイドラインは、治療可能な特性を個々の患者ごとに見出して治療介入するという考え方である「treatable traits」がふんだんに盛り込まれていることも特徴である。第65回日本呼吸器学会学術講演会において、本ガイドラインに関するセッションが開催され、咳嗽セクションのポイントについては新実 彰男氏(大阪府済生会茨木病院/名古屋市立大学)が、喀痰セクションのポイントについては金子 猛氏(横浜市立大学大学院)が解説した。

超加工食品の摂取は早期死亡リスクを高める

 超加工食品の摂取量が多いほど早期死亡リスクも高まるようだ。新たな研究で、超加工食品の摂取に起因する早期死亡は、総エネルギー摂取量に占める超加工食品の割合が高いほど増加することが明らかになった。オスワルド・クルス財団(ブラジル)のEduardo Nilson氏らによるこの研究結果は、「American Journal of Preventive Medicine」に4月28日掲載された。  超加工食品は、飽和脂肪酸、でんぷん、添加糖など、主に自然食品から抽出された物質で作られており、風味や見た目を良くし、保存性を高めるために、着色料、乳化剤、香料、安定剤などさまざまな添加物が加えられている。具体例は、パッケージ済みの焼き菓子、砂糖が添加されたシリアル、すぐに食べられる、または温めるだけで食べられる製品などが挙げられる。研究の背景情報によると、超加工食品の摂取は心臓病、肥満、糖尿病、一部のがん、うつ病など32種類の健康問題と関連付けられているという。

バーチャル合唱プログラムで孤立した高齢者の気分やウェルビーイングが向上

 歌を歌うことが魂にとって救いとなることがあるが、バーチャルな集団の中で歌うことにも同様の効果はあるのだろうか? その答えは「イエス」であることが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策のロックダウン中にバーチャル合唱団へ参加したことが高齢者の感情面あるいは精神面に良い影響をもたらしたのかどうかを検証した研究で示された。研究によると、孤立した高齢者からは、ZoomやFacebook Liveを介して合唱の練習に参加したことで不安が軽減され、社会とのつながりが深まり、感情的および知的な刺激を受けることができたとの評価が得られたという。米ノースウェスタン大学音楽療法プログラムのBorna Bonakdarpour氏らによるこの研究の詳細は、「Journal of Alzheimer’s Disease」に4月22日掲載された。

40%の患者が過小診断される心不全疾患とは/アレクシオン

 新たなトランスサイレチン型心アミロイドーシス治療薬アコラミジス(商品名:ビヨントラ)が2025年5月21日に発売された。これに先駆け、アレクシオンファーマが4月16日にメディアセミナーを開催し、北岡 裕章氏(高知大学医学部 老年病・循環器内科学 教授)が『心アミロイドーシスを取り巻く環境と治療の現状と課題』、田原 宣広氏(久留米大学病院 循環器病センター 教授)が『新薬アコラミジスがもたらすATTR-CMに対する新たな治療』と題して講演を行った。