心血管疾患(CVD)の主要リスクとなる高血圧は、個人の性格などが予測因子となるであろうか。この課題に早稲田大学総合人文科学研究センターのSixin Deng氏らの研究グループは、わが国における4年間の縦断的研究において、ビッグファイブ性格特性(開放性、誠実性、外向性、協調性、神経症的傾向)が高血圧リスクの予測に果たす役割を検証した。その結果、「高い開放性」は、持続性高血圧のリスク上昇と関連していることが判明した。この結果は、BMC Psychology誌2025年7月24日号に掲載された。
高血圧リスクの予測因子は性格以外にも
研究グループは、NTTデータ経営コンサルティング研究所が管理する「ヒューマン・インフォメーション・データベース」の縦断的データから、7,321人(男性4,069人、女性3,252人;平均年齢51.98[SD:13.47]歳)を抽出し、分析を実施した。性格特性はTen-Item Personality Inventory-Japanese(TIPI-J)を用いて評価され、高血圧の有無は2019~22年に毎年追跡された。階層的多項ロジスティック回帰分析を用いて、持続性高血圧と新規発症高血圧の有意な予測因子を特定した。
主な結果は以下のとおり。
・「高い誠実性」は、持続性高血圧と新規発症高血圧の両方のリスク低下と関連していた。
・「高い開放性」は、持続性高血圧のリスク上昇と関連していた。
・性格特性に加え、年齢、性別、収入などの人口統計学的要因も高血圧リスクの有意な予測因子だった。
以上の結果から研究グループでは、「性格特性、とくに誠実性と開放性は、高血圧の転帰に重要な役割を果たすこと、そして、これらの結果は、心理的要因と人口統計的要因の両方を考慮した個人に合わせた介入の重要性を示唆し、高血圧の予防と管理戦略の改善に役立つ」と結論付けている。
(ケアネット 稲川 進)